30年の苦悩の日々
第18章 裁判 1
息子が警察に逮捕されてから
初めての裁判がありました。
初公判という言い方でした。
ものすごく大勢の人が傍聴席の抽選のために集まって公園で当選した人と落選の人がざわざわしていました。もちろん私も同じようにくじを引きました。
結果当選したので初公判の傍聴席に順序よく入れてもらい、まるで
母親ではありませんみたいな感じでアカの他人のふりをして傍聴席の中ほど右寄りの席に座ることになりました。
10分ほど経つと向かって右側のところに弁護士さんが6人入ってきて風呂敷を広げて、書類らしきものを出し始めました。
そのうちに向かって左側には1人
検事席と書いてある所に男性が入ってきて黒カバンから書類を出し始めました。
その時、左の検事席のすぐ後ろのドアが開き手錠をして鮮やかな青色の縄で腰からくくり
まるで犬の散歩のような長さで刑務官が縄を持って息子が入ってきたのです。
その姿を見てしまった瞬間に
下を向いて見てはいけない光景を見てしまった事に悲しくて情けなくて表現も説明もできない胸が苦しい感じでした。
自分の息子が縄でつながれて
手錠をしていたのをはっきり見てしまったのですから吐きそうな
ぐらい気持ち悪くなりました。
真正面のドアから4人の黒いポンチョのような服を着た裁判官が入ってきて
起立、礼、座ってください。
それでは只今より第一回目公判を始めます
被告人は前へ
と言われて息子がいつのまにか手錠も腰の縄も外されてトレーナー上下とスニーカーで前に出ました。
氏名と職業は?
息子は名前を言って無職ですと言いました。
元の席に戻ってください。
息子がこちらに向いたので下を向いていました。
再び息子が座り裁判官の方を見ているので、私には息子の背中や後頭部だけが見えていました。
私の方を見る事はないと判断したので私は勇気を出して
恐る恐る顔を上げ裁判の様子を
見ることにしました。
裁判官からの指示で検察側の
息子の事が事細かく読み上げが始まりました。
とても長い時間に渡り読み上げられた内容には吐き気を、もよおす
ぐらい恐ろしいことがあからさまに読まれていきました。
まさかうちの子がという言葉がありますが本当にそれを思いながら聞いていましたが傍聴席の周りですすり泣く人達が段々と増えてきて被害者の関係の方なのかと思いました。
とてもいづらい心境でした。
検事さんの読み上げは3時間にも渡りました。
医者を目指していた息子が人の命を守るどころかたくさんの人の命を奪っていることを知りこんなことにまで巻き込まれているほど
ヨガの先生の洗脳はすごいものなのかと思いました。
それとも息子が狂ってしまって
鬼畜になってしまったのかなんの反動でこんなことまでしてしまったのか、これはいけないやめようと思えなかったのか色々色々と
頭をめぐりました。
検事さんの冒頭陳述とゆう3時間にも及ぶ読み上げが終わったあと
10分間の休憩があり裁判官の人たちは、元で出来たドアの向こうに入って行きました。
私は息子の後頭部ばかりを見ていました。
付き添いの刑務官の人が何か息子に耳打ちをして、刑務官2人と息子が立ち上がり再び手錠と腰の縄を結び刑務官が後ろ側から縄を持ち、もう1人の刑務官は息子の前を歩いて3人は検察側の後ろのドアの向こうへ入って行きました。
息子が目の前からいなくなって
ホッとしたとゆうか、緊張感は少し解放されました。
10分間の休憩の間に傍聴席1列目の記者席と張り紙のある席に座っていた人達はそそくさと後ろ側のドアから廊下へ出るとドタバタと走っていく音が聞こえました。
この10分とゆう時間が私には30分にも感じるぐらい長く長く感じていました。