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死刑囚の母  作者: TAKIMARI
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30年間の苦悩の日々

第33章 触肌

霊安室へ入らせてもらい

ロウソク、線香、ハイ壺などの台を見つけました。

すぐ近くに

ストレッチャーぐらいの高さの台がありました。

台の上には白い布でぐるぐる巻きにされた大人1人ぐらいの大きさの物が載せられていました。

息子だ

すぐに私はわかりました。

刑務官の人がひもをほどきながら

お母さんこちらへ来て息子さんかどうかお顔を見て下さい。

と言いました。

近くに行き見せてもらいました。

まさに私の息子です。触って触って撫でで撫でで顔を撫でまわし、頭を撫でまわし、冷たい感触でしたがとてもとても愛おしい我が子でした。

こんなことになるなんて

こんなことになるなんて

早く救い出せなかった私が悪いと

自分を責めて責めて息子に謝り続けながら何度も何度も顔と頭を撫でまわしました。


息子さんに間違いないですか?

刑務官の人に大きな声で聞かれました。

はい間違いありません。

と答えながらもまだまだ顔を撫でまわしていました。


置き手紙だけで出て行ったあの日から今久しぶりに息子の感触が手のひらからつたわりおかえりおかえりと心の中で言ってあげていました。


刑務官の人が

そろそろお引き取りをお願いしますのでこの紙にお母さんのお名前を書いて下さい。

ここで、何枚か書類に名前ばかり書きました。

1枚1枚何が記されていたのかは覚えていません。

説明があったか否かも覚えていません。

書類が終わる頃にはまた息子の体は白い布で頭から足先まですっぽりぐるぐる巻きにされていました。


そのまま1人の刑務官の人がドアを開けてもう1人の刑務官の人が息子のストレッチャーを押し

私はその横をついて歩きました。


全然知らない道を通って1人の刑務官の人がシャッターを開けると

私について来てくれた霊柩車の人が車で待っていました。


霊柩車の後ろを開けてくれると

刑務官の人が2人で

セーノと声をかけて

息子を荷物のように車の後ろに

放り込みました。


そして霊柩車の運転手さんに後ろを閉めるように促すと出口を開けて霊柩車を出してくれたとゆう感じではなく追い出されたような感じでした。


そのまま家まで送ってもらえるとの事でそれ以外の選択肢もなくお願いしました。


やっとほんとうにやっと息子の帰宅の日を迎えました。

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