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死刑囚の母  作者: TAKIMARI
19/22

30年間の苦悩の日々


第31章 執行

息子たちが移管されてから、何日か後にまたしてもテレビでニュース速報の音と共に白い文字が映し出されました。

そしてすぐに報道センターなどに切り替わり民間各局はニュース速報の内容を伝えてくれました。

少しの間、心臓も呼吸も止まった様な感じで耳からテレビの音声が聞こえて来ました。

ヨガ教室の生徒さんとヨガの先生を含む合計7名の死刑を執行した事をより詳しく伝えてくれました。

午前10時50分頃の出来事でした。

もう最後かもしれない

何度か息子は私に言葉で伝えてきていました。

この事を伝えてきていたのでした。

テレビを見ている時に電話が鳴りました。

息子が移管された拘置所の刑務官の方からでした。

今少しお話ししても大丈夫ですかと尋ねられましたので大丈夫ですと答えました。

この度は滞りなく執行の日を迎え先ほど全てのことが終了いたしました。つきましてはお引き取りにお越しいただきますか、無縁仏としてこちらでこのまますべてお預かりする事を希望されるのかどちらですかと思いもよらない質問でした。

連れて帰りたいので迎えに行きます。と答えました。

やっと本当にやっと息子を連れて帰れる日が来たのです。

でも息子は生きていません。

死んでしまいました。

死刑囚として慌てる事なく静かに最後を迎えました。と刑務官の方から教えられたのでした。

死んでもなお、ニュース速報や特別番組で1から細かい質問なども含めて番組が構成されていました。

処遇主席という肩書きの刑務官の方に電話の主は替わり今後の説明をメモを取りながら、しっかりと聞きました。

拘置所へのお迎えの時間は、平日午後11時から午前4時までの時間で無ければお渡しできないと言われました。

5時間の間に来てくださいとの事でした。

わかりました。では午後11時に行きます。

電話を切り夜の11時に息子を迎えに行く事を夫に話しました。

遠くを見つめながら一筋の涙を流しました。

夫にも死刑執行されたことがわかるのだと思いました。

私はタクシーを呼んで

○○拘置所までお願いします。

と言いました。

夜でしたので道はとても空いていてとても早く着いてしまいました。運転手さんに

まだ時間が早いので少し待ってください。

とお願いすると

こんな遅くにまだ早いって?ここあいてないでしょ

いえ、11時過ぎて迎えに来てと言われたんです。

え?それってもしかして今日私刑執行のヨガの人?

と聞かれましたので

はい

と答えましたら

降りて降りて縁起でもない勘弁して。他のお客さん乗せられなくなるわはよ降りて。霊柩車を呼び。

厳しく怒られてしまいました。

代金をお支払いしてタクシーを降りて、走り去るタクシーのバンパーの赤い色を見て惨めな気持ちになりました。

そのままその場から携帯電話で霊柩車の手配をしてみました。

とても感じよくすぐに向かうと言ってくれました。



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