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純愛の境-女-

作者: 芥屋 葵

「純愛ってなんだろう。」


ただ今ベッドの上、私の横で静かな寝息を立てている男の寝顔を見て答えにいきついたことの無い疑問をまた考えている。


いつも先に起きる私はルーティンワークのようにこの疑問を繰り返す。


男との出会いはもう覚えていない。

2回目に会ったのは職場だ。2回目に会ったときに男女を意識するようになったからだと記憶している。


時間を掛け、距離を保ちつつ今の私たちになった。


段々好きになるのが分かった。私の中の60兆が彼を求めて、遺伝子レベルの恋だと20数年生きてきただけの小娘なりに永遠さえ感じた。

何をするにもタイミングが合うし、何が欲しいのか、何を言って欲しいのか 目でわかるものもあるのだなと実感した程に


職場である手前控えた関係ではいたが2人になれば2人の時間が嬉しかった。


異変というか、変化に気づいたのは1年も経った頃だった。

本当に些細なことからわかったことだが、彼には家庭があったのだと。

いわゆる「不倫」という道徳外れたといわれるものだ。

まさか私がテレビや映画で表現するところの悪い女になろうとは…

ショックが隠せない、人のものを取ろうなんて思ってないし、この関係を続けるのも無理だと思った。

しかし頭ではわかっていても私のなかの60兆や遺伝子や骨の髄というものは彼を覚えているわけであって、甘えになるが、次がみつかるまで…というあるか無いかわからない条件を自身につけた。


「不倫をするやつなんてバカ」と好きな小説家のとある本の出だしであるが、最初に読んだときはその通りだと思っていたし、まさか田舎出身の自分がスキャンダラスな内容の恋愛に陥るなんて思ってもみなかった。


ただ、20代前半の仕事にもまだ不慣れな小娘を認めてくれる存在はそれはそれは大きなものだったし、最終的にいつも求めてしまった。仕事で成績が残せるようになったのもこの存在がいたからだと思った。

いつの頃からか、この人を失くしたら私の色を失くすと思う程になっていたのだ。


信頼のおける親友1人に具体的では無いが今の私を打ち明けた。

びっくりする程理解が良く

「いいんじゃない?形に囚われてる方がいい恋愛はできないし、これで家庭を壊しにかかるなら話は別にするけど、あんたの話聞いてたらそうじゃないみたいだし、それにあんたいい感じに今綺麗」

思わぬ返事に逆に焦りを感じたが、こいつが親友で良かったと思った。


世間でいうイベントであるクリスマス、ゴールデンウィークやお盆やお正月、それに誕生日も一緒に過ごすことはできないけど、別日でささやかに開催されるイベントが嬉しかった。

カレンダー通りにいかなくても立派なイベントで特別だった。

特別…それと同時に罪悪感も残ったのは事実。

この幸せな時間、家族の為に使えたのかもしれないのに…とか、そもそも私と会わなければ…とかとにかく色んな感情が頭の中を巡った。でもいつも答えに辿りつけないので関係も続いていくのだ。

冷静に考えれば、「さよなら」この4文字で片付く話なのだがそれが出来ないのだ。


この時代だ、共感する人もいるだろう。


これは賛否両論だと思うが、私は純粋に恋をしているし、純粋に愛しているのだ。

形は違えど純愛だと思うのだ。


きっとこれから先も答えはわかっているだろうが、計算過程がわからずにこの気持ちを順繰りするのだろう。


さて、隣の男がもうすぐ起きるだろう。

「待って」とも「まだ離れたくない」ともいってはいけない。

どんな顔して見送ればイイ女でいれるだろうか。

どう見送れば悪い女にならないで済むだろうか。


一歩違えば純愛から外れてしまいそう


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