表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

魔術の系統


 三月になったばかりの七号室は極寒だ。この地域で一番寒い部屋だと思う。

 暖房はないが、特別にとカイリスが暖房の術……なんてものは無く、命名を求めるとめちゃくちゃ出力を押さえたファイアボールだと、どこにでもありそうな名前を終えてくれた。


 ドミニオン発動以来、公然と術の行使が可能になったため、家計的には凄く助かっている。

 夜の移動なんかには、三人に抱きつくと言う情けない格好ながら、最高の役得もある、夜や、山など人目がない時、限定の移動手段もできた。


 夏には氷の固まりを出せると、暑がりの杏子は喜び、湿気対策の術を考案しようとカイリスが言っていた。


 電球サイズの太陽のような火の玉の下、という不思議な光景の元、話が再開された。

「それで? カイ子がデレたのには、どういう意味があったんだ?」

「……デレてはないけど、これで最大で14のギフトと5の主要な術を思い出せればマスターは完全になるという事が分かった」

「でもリズ様、送られた幹部の数とギフトの数が合いませんね……」

「杏子さんが最後と言う事ですが、本当の一番最後はリオン様だったはずですから、その後に送られた幹部達がいるのかもしれませんし、ギフトが一人一つとういう事でも無かったのかも知れません」

「そうかもね。なんにせよ、数が分かったのは大きい。これで次に会うべきシシン? が立つから」

「具体的には?」

 っと小さな太陽に焙られながらおれは聞く。


「杏子、今度こそちゃんとしようね」

「はい!! お任せ下さい!!」

 フワリと杏子の使うシャンプーの良い香りが届く。

「マスターも、ちゃんとしようね」

「……はい」


「兄さん、私は護衛官ですので、先程のガイドに対しては詳しいんです。ガイドそのものはリズ様の方が使いこなせるのですが、ガイドを発見する技は私の得意技の一つです。リオン様にガイドを行使して近づこうとする敵も数多くいましたから、護衛官は皆、自然とガイド対策に力を入れるようになったというわけです」

 ですけど、常にリオン様が誰よりも先に発見なさっておられていたんですけどっと付け加えた。


「ですので、ガイド発動には他の幹部たち以上に敏感なんです。ですから兄さんにはこれからボードの隅々にまで、順次魔力を通していただきます。それを私が観測して、兄さんの気配や術の動きにガイドっぽい特徴があればそれを兄さんに伝えていくという風になります!」


「そんなに簡単に術って発動するのか、ならビビらずに片っ端からやっておけばよかった」


「いいえ、貫一様。ガイドは術の中でも体術系の動きです。何かを創造したり、物理法則をねじ曲げたりする術というのは魔力を流した程度では反応がないのです。つまり――」

「トキさん! 兄さんに対する私の見せ場なんですから、今は黙っていてください!」

 っと杏子が抗議の声を上げた。

 時子もごめんなさいとシュンとしながら引き下がった。


「――つまりは、シドラの術系統には、体術系、創造系、特異力系という三つに大まかに分けることができるのです。それらを複合して全く新しい、別系統の術としか呼べないような大術もリオン様は作り出せたとの事です!」


「ふ~~ん、つまりは魔力を流し込んで反応があるのは、ほぼ体術系に決まっているってわけなんだな?」

「そうです! 魔力の通し方は楽な事ですし、これからは兄さんにはまず体術系の術を中心に術を取り戻してもらいます。それに慣れれば、もっと複雑な魔力的作業の必要な、創造系、特異力系といった術の捜索にかかるっというのが、兄さんのこれからの指針となります!」


「補足すると――」

「あ!? リズ様、ずるいですよ!? 全て私に任せるって!!」

「……じゃぁ、杏子耳を貸して」

 カイリスが杏子になにか耳打ちをして、杏子はフンフンとうなずいている。


「……兄さん補足します。ガイドは純粋な体術系というわけではありませんが、体術に比重の大きい特異力系となっています! ですので、……リズ様の言葉通りに伝えますと、み、未熟な兄さんが魔力を通しても、不完全なガイドである可能性が高く、それでも杏子である私が感知できるというわけです!」

 もう、なにやらカイリスから言われた事を言おうとしすぎて、目茶苦茶だ。


「マスターはやっぱり、化け物だな!」

「リズちゃんの言い方はどうかと思いますが、私も同感です!!」

 二時過ぎに、もう明日に響くからやめようとおれが言い出して、『そうか、疲れるもんな』と言った時に『いや、疲れはない。明日は遅刻できないからもう寝ないと』との返答に対する返事だった。


 いつやめるか、倒れるかを見極めようっと念話で話していたらしい。

「マスターの魔力量の底が知れない」

「流していた量って周りから解るものなのか?」


 時子と杏子が首を振り、カイリスを見た。

 術のスペシャリストのカイリスの意見待ちのようだ。


「いや、術になりかけていて失敗したら漏れるんだけど、今みたいに道に魔力を流しただけじゃわからない」


「私達の推測は、私達の使い方ならっという推測に基づいてのものです。例えば貫一様と同じように、私が魔力だけをただただヴィシャスボードに流したのであれば、きっと最初の三十分で私の魔力は枯渇しています」



「普通はもっと時間をかけてやるつもりだったけど、これなら早そうだ」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ