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ガイド

「いいですか?兄さん、隠密の術というのは文字通り……えっ?ドミニオンは英語なのに……ですか? うーーーんでは……『ガイド』なんてどうでしょうか? 術者によりそうように、目的へと導く案内人って……え!? かっこいい!!はい!ではこれからは隠密の術は『ガイド』って呼びます。え~~~~そのガイドの使い方なんですが、私の得意技の一つです。兄さんの盾でありながらも、敵からは気配を薄くして、こちらの攻撃が通りやすくするっていう簡単な技です」

杏子が伊達眼鏡姿の女教師の格好のまま、テキパキと話を進めていく。


「まずは、ボードの確認を……兄さんのボードがどう言った物かは分かりませんし、ボードの形状の話は基本他人にはタブーなのですが……」

それでも聞きたいのだろう、杏子は言葉を濁した。

「いや、おれのは別に話せるよ。みんなにはその方が話が早いだろうし」

「まず、ボードなんだけど、曼荼羅絵図みたいな……時子…カイ子にスマホで曼荼羅絵図の画面を見せてやってくれ。よし、杏子お前は続けようか、曼荼羅絵図の真ん中とか上下左右、対角線上にだな、でっかい宝石がいくつも嵌っている感じなんだ。ドミニオンを発動させると、ほぼ中央のでかい宝石が回り出す。回ってる回転が安定すると、術も安定してるって感じだ。んで、身体能力向上の術は……え?名前をつけろって?…………う~~~~ん。パワーでいいんじゃねぇの?」


「ほぅ、マスターのヴィシャスボードはこんなに豪華なんだね。ちょっと驚いた」

 カイリスがスマホを見ながら感嘆の声を上げる。


「お褒めにあずかり光栄だ。んでだ、パワーを使うと、一番外縁部の宝石とも言えないような宝石がキラキラしだす。……あ、後は――」

 試している事がある。それは三人にも詳しくは言えないが、あのお掃除玉だ。

 あれをどうにかできないかと、念じたりしていたら、ある時ボードを意識しつつやっていたら、玉が少し動いた。

 そして玉が関係しているであろう、ボードの場所も分かった。

「試行錯誤で練習している事があるんだけど……」


「もしかして、貫一様が、鏡の前でいつも集中してる時でしょうか?」

「ああ、アレか」

「え!? なんで知ってるの!?」

 バレてないと思ってた!

「え~~~~~~っとですね、兄さん。今は規制がかかってて言えませんが、かからないように言えば――術がちょっと漏れているんです。失敗すると良くあることなんです。こちらの言葉風に言えば、術にならなかった魔力が漏れているといいますか……」

 おれはお掃除玉が見えていたわけではなかったと、ホッとした。

 あれの説明はちょっと三人にはしたくない。


「多分それなんだけど、その時は宝石のどこかというより、毎回別の場所が明滅する感じに…………なる」

「マスターはその時どんな術をイメージしているんだ?」

「何かをイメージしてそれを動かそうとしてる時だな」

 一部、嘘をついた。

 お掃除玉を動かそうとしているとは言えなかった。


「その様子からすると、マスター。固有の術は目に見える宝石で、魔力を通せば道が光り出して、さらに術同士が連動し合うようなボードなんじゃないのかな?そんな複雑な仕組みのボードなんて聞いたこともないけど、リオン様の力を思うと、間違いではないと思う。その宝石なんだけど、賭けたりしていないか?」

「おお!! こんな情報なのにそんな推測するなんて流石だな、実は最近気づいたんだが、あるんだなぁ、これが」


「本当ですか!?」

「本当か!!!!????」

「流石です貫一様!!!!」

 三者三様食い付いてきた。


「欠けている数はいくつですか!?兄さん」

「で、でかいのは14で、中くらいのが5……だとおもう。そこいらは、いくら集中しても、穴が開いてるみたいになってて、なんて言うか、食べるだけ食べて、満腹にならないとか、どんどん飲み込むだけって言うか、なんか、何も起きないんだなぁ、これが」


「14!?5!?リズちゃん!!これは!!」

「うん! やった!!!! マスター!!やったぞ!!!」

 そう言ってカイリスがギューーーーーっとおれに抱きついてきた!!!!!!


 うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!

 カイ子がデレた!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 いや、今までも、デレてたけども!!!!!!!!!!!!!!!!!


「リズちゃん!?」

「リズ様!?」

「あっ!!!!、ご、ごめん、みんな!!つ、つい!!!!」

「リズちゃん!! いつもは私に怒るくせに、自分はそうやって――あっ!まさか誰もいない時はいつもそうやって貫一様に!?」

「そうなんですか!?リズ様!? 私にはいつもお小言を言われているのに、リズ様もトキさんと同じように、まさか!? 嘘ですよね!? リズ様!?」

「ち、違う!! ふ、二人とも落ち着いて!? 誤解だ!! 今はつい、抱きついちゃっただけで!!!」


 この騒ぎが収まったのは、カイリスが、二人の剣幕にしどろもどろに歯切れ悪く説明している最中に、香ちゃんがお風呂の誘いに三人を呼びに来るまで続いた。

 大家さんも含め、女性陣6人の入浴時間も終わり、俺の番が来て風呂で一日の疲れを落としてから上がると、先程の事が再開された。



「ゴメン、杏子、時子ちゃん。あんな事は、二度としません――」

「それは、困る!!!」


 と、おれが魂の叫びを上げ、湯上がりの時子や杏子が抱きついてきて、カイリスが全員を引き離したところで、本当の再開が訪れた。



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