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回想4 料理上手のなぞなぞ

「お前、お姫様だったの!?」

 アイドルにお姫様って、どれだけおれのハートを鷲掴みにするんだ!!

 前を行く、三人がが振り返った。

「ラッカン、誰が姫だって?カイリスさんは今度檄でもやるのか?」

「うっさい、お前には関係のない話だ。そのままこっち見ながら歩いて、転がり落ちろ」

 そう返答すると、柳は再び前を向いて歩き始めた。


 カイ子がサッと手を振った。

「一応、こっちからの声は聞こえ、にくくした」

 おれは余程の大声を上げてしまったのだろう。

「お前……お姫様だったのか?」

「ホラな~~~、やっぱりだ。貫一、ニヤニヤしてる」

「これは、違う。嬉しい感じのニヤニヤだ」

 そう言ってもカイリスは憮然とした表情だ。


「ほへぇ~~~!! 驚いたなぁ」

「貫一さん。そもそも『カイ』は向こうの言葉で『姫』と言うんですよ?」

「……私はだからカイリスって名乗るのは嫌だったんだ。だけどみんなが、『リオン様が遅れてやって来たときに、カイリスという名前であったのならすぐに気づくから、カイリスにしよう』なんて言うから……『イリス』だったらまだしも日本名っぽかったのに!!」

 カイ・イリス。つまりイリス姫っていうわけだったのか!

「じゃぁおれは、ずっと姫子って呼んでたわけか~~~~へぇ~~~~!!」

 ぬ~~~~~~~~っとうなり続けている。

「だから、馬鹿になんかしてないって。第一なんで馬鹿にしないといけないんだ?」

「それは…………そうだな。貫一は馬鹿にしないに決まってたな。だって――」

「――だって、リズちゃんは、リオン様の配下になった時に、絵を描いたようなお姫様で、戦闘や術以外では本当に、一般的な常識もなく、ましてやお料理なんてした事すらなかったんですから。そうそう、その当時、リズちゃんは食材が、料理された形のまま、畑に――」

「――ああ!!、時姉!!笑わないって約束はどうした!!あと、その話はもう今後一切しないって、シドラで誓ったはずだったのに!!」

 今はケルプですからっとシレっと時子は弁明した。


「妹が実はお姫様!!凄い文章だな!」

「アラ……貫一さん。ずるいですわ、リズちゃんばっかり――」

「いや、えっと。いや、驚いてるんだって!!」

 っとカイリスに新たな属性がついた事を連呼していたら、時子に拗ねられた。


「あぁぁ!!もういい!! 二人が私に謝るまで、許さないから!」

 っと言って、カイリスは足早に歩き、先を行く四人と合流した。


「怒らせたかぁ……」

 その呟きに対し、時子がフフフッと笑った。

「照れてるんですわ。貫一さん。リズちゃんの予想と違って、貫一さんがあんまり喜ぶものだから、てっきり笑われるものだと身構えていたリズちゃんは戸惑っているんです。ホラ、見てください。リズちゃんったら今にもスキップでもしだしそう」

 見れば、確かに怒っている割りには、すんなりと上機嫌な感じで前の三人の会話に加わっていた。


「双剣に、姫騎士に、輜重兵に、アベンジャー。なんか凄そうだな」

「ええ!貫一さん、あなたのケルプでの手足達はそれはそれは強かったのです!」

 ちょっと凄そうの意味をはき違えている感じがする。

 まとまりがなさそうって、意味だったんだが……。

「その、料理上手って人の二つ名は?」

「……ありませんでした」

「へぇ? 幹部みんなに付くって分けでもないんだな」

「いいえ、貫一さん。幹部の皆、二つ名を持っておりました」

「ん?…………、あぁ、じゃぁその人は幹部じゃなかったって事か」

「それも違います。ソ、………あの人は」

「今、名前言いかけた?」

「……貫一さんったら。……意地悪ですわ……でもそんな貫一さんも…………」

「いや、落ち着こうトキ。発情するのは、ちょっと状況考えようか」

 こういう事も言える間柄になったのは、ちょっと嬉しいが、歯痒い感じもある。


「……あの人は、幹部でしたが二つ名はありませんでした。でも幹部全員には二つ名がありました」

「……なぞなぞなの?」

「いえ? たいした事ではありません」

「それって、おれがたいした事すらも思いつかないって事になるんだよな?」

「ええ、貫一さんに、予防線を張らされた、いわば私からの目一杯の抵抗です」



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