貫一のイタズラ心
この第11部分の最後の数行と、次の第12部分の冒頭を作者判断で一部省略としました。
なんと、単独で術を掘り出すことに成功した。
ヴィシャスボードはこう使う物なのか!!
カイリスはアヒル荘に戻っている時間帯だ。
時子もいるかもしれない。
あ、どうせなら驚かしてやろう! カイリスは凄腕みたいだし、一石二鳥だ!
家から一㎞ほども離れた坂の下でヴィシャスボードを意識する。
『ガイド』を発動。
ついでなので、一向に上手くならない、体を動かしつつの、『パワー』も練習がてら発動させる。
杏子もいないし、どうせならと『ドミニオン』も発動する。
これでガイドとパワーも強化されるはず。
パワーの術は、なめくじレベルだが少しずつ上手くなっている。
維持するイメージとしては、宝石の角に裏から水を当てて……
よし! 回転し始めたこの回転を早めつつ、俺はソーッと目を開ける。
目を開けると回転は明らかに鈍ったが、回転自体は止まってない。
そろそろとする意味はないだろうが、慎重に、ボードを意識しつつ一歩一歩坂を登っていく。
例えるならば、スプーンにピンポン球を乗っけて走る運動会の競技のようだ。
回転は止まりかけても、完全に止まりはしなかった。
術が有効な状態になっているとみなした。
止まりかけるたびに、歩みを止め、ボードに集中する。
こんな思いをして、部屋に誰もいなかったら、笑うしかない。
アパートの入り口をくぐり、七号室のドアのノブを掴むと鍵はかかっていない。
中にいる、カイリスか杏子かが台所に立っていたのならば術をがんばって維持してきた意味はあまりなくなるが、それでも気配をここまで消すことができたことに驚いてくれるだろう。
ソーッと扉を開けていく。春休みにまいたクレ556のお陰か軋みはしない。
靴は、カイリスのだけだ。時子はいない。
カイ子ならちょうどいい実験になると思った。
術のスペシャリストで何事にも慎重なカイリスの事だ、気配探知くらいは常時張り巡らせていてもおかしくない。
それでも、バレないと嬉しいなっと思った。
のぞき込むと台所には誰も立っていない。
トイレも、入室中の赤表示はないのでトイレにも誰もいない。
台所まできて居間を見るがいない。
おれの部屋のフスマは全開だが、カイリス達の自室のフスマがしまっている。
自室かと思い、ソーッと居間へ足を踏み入れた。
一歩進んで何気なくフスマが開きっぱなしのおれの部屋を見ると――
――カイリスは今朝、おれが仕舞ったはずの布団を出し、それを枕にするようにそして、それを時々匂うようにしながら、……寝ころんでいた。
後略
■
作者注 ここに書いていた内容が性的に過ぎると思ったので一時的に、省略します。
■




