化物日和 序章
「対象は現在池袋から障壁物を破壊しながら南下中!残り40分程で新宿に到達!」
雑居ビルの中、トランシーバーから叫びに近い声で状況が報告される
「推定40m、見た目はまるで……」
「あ……、あぁぁ……」
「…まるで悪魔のようです」
トランシーバーを持つ男は薄っすらと笑う
「被害状況は?」
「避難誘導はしていますが人口が人口なので間に合うかどうか…」
「警察は!?自衛隊も居ません!!」
「お前どこの世界に住んでいるんだ、もうそんな奴らは居ねぇだろ」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!嫌だ!!!!死にたくない!!!!!」
「うるせぇよ!命乞いをするならマイクから口を離せ」
「兎に角、お前らの任務は対象のデータを採取し送信、無事に帰還する事だ。泣き叫ぶ暇があるなら任務か死ぬかどっちかにしろ」
「ヴェ…了゛解゛…」
「あと帰り際にコンビニあったらおにぎり買ってきてくれ」
「こ゛ん゛な状況でも開いてる強メンタルなコンビニなんて知りませんよ…」 ヴェ…
プツン
「で?この都市滅亡的な展開をどうするんだ?葉隠」
壁際にもたれかかってジャンプを読んでいる「サムライ風ポニテ黒スーツ眼鏡野郎」が、そいつの事を葉隠と呼ぶ
葉隠「どうするも何も、データ来てないんだしGOサインも出てないんだから動けねぇだろ」
葉隠「つか黒鷺お前そのジャンプまだ発売前だろ、どこでフラゲして来たんだよ」
黒鷺「国家機密だ、漏らしたら処される…」パラパラ
葉隠「後で読ませろよ?」
黒鷺「どうせTo LOVEるだろ」パラパラ
葉隠「よくわかったな」
「データが送られて来たよン」
ノートPCを操作している白衣のウエーブ髪の男が言う
葉隠「見せろ高円寺」バッ
高円寺「あちょッいきなり取るなよ危ねぇな」
葉隠「ほーん…、頑丈な装甲に攻撃手段は近接斬撃に周りのエネルギーを吸い取りビームとして放出、それに生命波が薄い」
黒鷺「TVの中継だと暗くてわからなかったが、これはどう見ても自然物ではないな…」
葉隠「ま、誰のかは知らんが人工兵器で助かったぜ。核生物とか二度と相手したくねぇし」
高円寺「ただ見た目は人型で翼を持っているな、悪魔と言っていたのも何となくわかる」
黒鷺「葉隠、コイツを倒すアテはあるのか?」
葉隠「いやまぁない事はないかね」
葉隠はデータ班が送って来た映像を巻き戻す
葉隠「ここのビームで、相当な量のエネルギーを吸収し圧縮しているだろ?」
高円寺「そうだな…多分それを可能にするのはこの装甲のお陰だろう」
葉隠「でだ、ビームを放出する瞬間体内にはエネルギーが凝縮されている」
黒鷺「!そうか、その時に装甲を貫く事が出来れば…」
葉隠「正解、内部から破壊出来るかもしれん」
高円寺「おい、でも放出されたエネルギーはどうすんだ」
葉隠「そんときゃそん時よ」
高円寺「無責任だなオイ…」
葉隠「よし、後は出撃許可が出るまで待機だ。おいショボーン、いつ出撃出来ても良いように武器用意しとけ」
「はいはい、その話なんだが」
葉隠にショボーンと呼ばれた男は武器を…え、この人何
真っ白な人型の着ぐるみに顔面には(´゜ω゜`)が書かれている
と言うか人間なのコイツ
ショボーン「その装甲を貫く兵器ってのがこれが中々見つからなくてな」ヨッコラセ
ドン
ショボーン「作ってみたわ」
高円寺「…ナニコレ」
3人の目の前には変わった形をした銃らしきものと、それに繋がれたフィットネスバイク
ショボーン「名付けて『俺たちのレールガン』」
葉隠「は?」
ショボーン「弾丸を電磁誘導によりマッハ7で発射する銃を開発してたんだが、電力源がなくてバイクを繋げてみたんだわ」
高円寺「はぇー頼むから日本語で話してくれ」
ショボーン「漕ぐのはお前な」
葉隠「俺かよ」
黒鷺「面白そうじゃないか、丁度対象が新宿に入る時直線道がある、そこに配置しておこう」
葉隠「他人事だな」
ピリリリリ…
「こちら本部、JOKERSに出撃命令を下す。撃破せよ」
葉隠「おせーよ、人命掛かってるんだから独断で行動させろっつーに」
「チッ…本来ならお前をクビにしているところだぞ」
葉隠「どーぞお好きに、無能な上司の元で働きたくないしね」
葉隠「おいお゛前゛ら゛ァ!!」
葉隠「今回の任務は対象の進行阻止、及び破壊だ」
葉隠「巨大な敵を撃破すると同時に人命を守るのは人間には不可能だ」
葉隠「だが俺らはただの人間ではない。人間離れした、一騎当千の化け物だ」
葉隠「暴れまくってやろうぜ!!!!」
金髪で髭を生やした青年が力強く言う
葉隠「特殊自衛部隊第7班JOKERS、出撃だ」
雑居ビルから4人の化け物が放たれた
化け物VS化け物、それは周りを巻き込んで壮絶な戦いになるだろう
彼らが何故ここまでするのだろうか
東京を守る為?人類存続の為?使命感?金?名誉?
はは、何をバカな事を言っている
葉隠「楽しいからに決まってんじゃん」
~多分続く~
ちょっとした補足と余談
彼らが所属する特殊自衛部隊は民間なので自衛隊とは大分違います
所属する殆どの人物は圧倒的な力を持っており、ショボーンの様に人外までいます
その化け物共の中で最も強いのが彼ら、第7班JOKERS
主な役割は化け物、テロリストの殲滅活動、及び一般人の避難誘導や救出等
自衛、と名乗っているので勿論こちらから攻撃する事はありませんが、逆に出撃命令が出遅れてしまうと被害が拡大する欠点もあります
それに特殊自衛部隊は正に「俺TUEEE」な連中が集まっているので、命令により力を放出出来ないストレスから内部紛争も稀に起きてしまいます
しかしこの世界の日本は無政府状態で外部からの攻撃から守るものがないので、特殊自衛部隊は必要な存在であるのは確かな事
葉隠達は外部攻撃の他にも、腐れ切った特殊自衛部隊の改革に乗り出す事になります(続きがあったら)




