おもてなし
それから夕飯の支度に移った。と言っても簡単なもので、俺がとってきた巻を使って火を起こした。そこにユラシアがとってきた魚を並べた。少ししていい香りが漂ってくる。俺がそれを食べ始めると、アリスはこちらを向いた。
「で、何であんなに血だらけだったんですか?」
「それはな、あの村を出たあとあたりから誰かにつけられてる気配がしてたんだ。だからアリスを先に行かせてそこの洞窟の入口の方でちょっとバトってた。ユラシアがベレッタ使ってたから一発だけ腕にくらっちゃったけど何とかなったからまぁ良かったんじゃないかな?」
こう答えるしかなかった。
あの能力のことばれてるかな?バレてないといいんだけどな⋯どうしよう⋯嫌な予感しかしない。
「私は初めて澪を見た時、世界一恨んでいる人にそっくりだったから、つい我を忘れちゃって⋯ごめんなさい⋯でもあんな事ってあるんだね⋯銃弾はちゃんとあったはずなのに弾切れしたり、一発しか残らなかったりと⋯奇跡みたい!」
ユラシアは目を輝かせていた。
だよねー勘づかれるよねーはぁ⋯リリアたちにもバレてないのに⋯
「それは俺の能力なんだよね⋯俺には生まれ持った能力があったから⋯」
そう言うとアリスとユラシアは目を見開いた。
気づかれてはいなかったのかー⋯言わなきゃ良かったかな⋯?
「それって、どんな能力ですか?」
分かっていたことだけど、アリスに聞かれた。だよねー聞かれるよねー
俺は仕方が無いから話すことにした。
「えっと、一応『全てのことが思い通りになる程度の能力』を持ってる。内容は名前の通り、全てのことが俺の思った通りになるってことだ。この能力のデメリットは使う度に眠くなるってとこだな。今のところ範囲が広かったり普通ではありえない力を出したり、天気を変えたりすると相当眠くなる。でかいのだと3回が限度かな?細かいのだったら10回以上はできる。あ、でも不可能なこともある。例えば宇宙の星の数を変えろとか、人を増やせとか他の人を能力持ちにしろとかは無理だ。とまぁ、こんな感じかな?」
俺が説明し終わると2人はポカーンとして見ていたが、すぐに目を輝かせた。
言いたいことはだいたい分かる。「その能力見せて!」とか「羨ましいなぁ」とかだろう。
俺がそんなことを考えていると2人同時に口を開いた。
「わぁ!すごーい!羨ましいなぁ⋯その能力見せてください!」
全く同じことを言っていたため、聞き取りやすかった。
やっぱりな⋯っていうか俺が予想したことどっちも入れてくるのかよ⋯流石に「わぁ!すごーい!」は予想していなかった。
「わかったよ⋯細かいことだけな⋯」
と言うと2人はキャッキャと喜んだ。
その後俺は1つのことを想像した。
⋯木、倒れろ⋯
すると近くにあった1本の木が倒れた。2人は目をぱちくりさせ、すぐに完成をあげた。
「凄いねー!これからも宜しくお願いしますね!」
アリスがそう言うと、俺はあることを思い浮かんだ。
⋯2人の服、ドレスに⋯
すると2人の服はドレスになった。そしてすぐにもう一つ、
⋯ケーキ、2つ⋯
するとケーキが2つ出てきた。チョコレートのホールケーキと普通のホールケーキだ。2人はさらに歓声をあげ、ナイフを使って食べ始めていた。
アリスのドレスは普段のイメージから薄い水色のドレスだ。所々に白い猫の模様が入っている。髪には白い髪飾りをつけていた。
ユラシアのドレスは紫を基調としたドレスだ。ドレスの裾にはピンク色のリボンが付いている。髪にはピンク色のカチューシャのようなものを付けていた。そこには紫の小さな花が2つ付いていた。
ぼーっとしながら見ていると、2人が不思議そうな顔をしているのに気づいた。
「なんだ?なんか付いてるか?」
「ううん、何でこんなことしてくれたのかなーって」
ユラシアに聞かれ、俺は答えた。
「これから一緒に旅するんだから、おもてなしってやつだよ。もっと食べたかったら言えよ?」
「ありがとうございます!こんなにおいしいケーキ⋯」
アリスが言う。ユラシアも嬉しそうに食べた。ケーキを見るともう2個目がなくなる所だった。俺がケーキを増やすと2人が食べる⋯を繰り返し、いつの間にか2人は、並んで寝入っていた。ケーキも10個ほど食べていた。俺もかなり眠くなっていたため、後片付けをすると意識が薄れていった。
こんばんはー!
今回は澪くんが日本人だったので日本要素を入れたつもりです!
おもてなしをね?
やっと澪くんの能力が明かされましたね!
次はユラシアとアリスが⋯?