連携技ってこうやってやるんだな
かなり経った。雨は上がっていた。
疲れた⋯普通にやばい⋯足いてぇ⋯
ポンッという軽い音がした。音のした方を見ると、アリスが元の姿に戻っていた。
「やった!戻りましたよ!雨はあんまり好きじゃないかもです⋯」
アリスは喜んだかと思うとシュン⋯と暗い顔をした。理由はわかっていた。戦闘できずにぼーっと見ているのが詰まらないんだろう。だが、俺はそうは思わなかった。
「そうか?俺はどっちも可愛いからいいと思うんだけどな。」
と言って、前を歩いた。するとボンッと、何かが軽く爆発したような音がした。音のする方にはアリスしかいなかった。アリスは顔を真っ赤にしていた。
暑いのかぁ?俺はそうは感じないんだけどなぁ⋯
⋯霧雨が降ればいいのにな⋯
すると、霧雨が降ってきた。アリスは上を見て、
「ふぅ⋯」
と、息をついた。それからしばらく歩くと、奥の茂みの方に2体のゴブリンを確認した。どうやら相手はまだこちらに気づいていないらしい。後ろを向いて話している。
いや、あれは、話しているというのか⋯?
アリスは弓を手に取り、構えた。俺もさっき拾った投げナイフを構え、アリスを見た。アリスは相手に集中している。俺が投げナイフを投げ、ワンテンポ遅れてアリスが弓を射る。ナイフと矢はほぼ同じタイミングでゴブリン2体の体に刺さる。2体は倒れ、アイテム化した。
連携技ってこうやってやるんだな。
それからアイテムを回収し、また歩き始めた。アリスはなんだかニコニコとしていた。
「どうした?」
と聞くとアリスは慌てて
「な、何でも⋯無いですよ?!」
と返した。
不自然だったが、そういうことには触れないでおこう。面倒そうだし⋯
雑談をしながら歩いていると一件の家が見えてきていた。アリスは興奮気味に
「あ!あれは!寄っていきましょう!集落です!」
と言った。
「そうだな⋯少し休ませてもらおう」
俺も返し、集落に入ることにした。