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第41話 捜索

 「さて、先生を迎えに行くのに、闇雲に探すのは無意味だ。それは人海戦術で探していた騎士団が証明している」

 ナブォさんは続ける。

 「ジョーカーの性格を分析し、隠れている場所を絞りこまねばならん。私が見る所ジョーカーの行動原理には笹と言う人物を重く見ているようだ。その証拠にまず笹を手元に置いて置きたがっている。笹は、ジョーカーが最初に召喚した人物ですが、その後も最初に拐われているからね」

 私は不思議に思って質問する。

 「笹さんは、ジョーカーに虐げられているように見えました、とても大切にしているようには見えませんでしたけど」

 「大切にするのは愛おしい時、虐げるのは憎しみからと考えるなら、笹への憎しみが行動原理にあるのかもしれない。ともかく笹を手に入れ逃走し隠れるとなる、と王宮からまず町外れを目指し、そこから潜伏先に向かうだろう。捜索範囲は王宮周りからとなるな」

 ナブォさんは、私とお兄ちゃんの方をちらりと見ると、話を続けた。

 「そして大事なことなのだが、一度悪魔に操られた者は心身の衰弱によってはまた操られる。谷口はそれで再度操られた可能性がある。と言うのも、今回のジョーカーの宿主はレッサーデーモンで前回インプとは悪魔としての格が段違いに高く洗脳力も段違いに高い。よって、異世界から来た者の単独行動は禁止とする。念話の使える私とタキは別な班として、私ナブォとアルベルト・亮介で1班、タキ・コトネ・王子・ルルで2班として捜索する」

 手際よくナブォさんは捜索範囲を指定して出発準備を整えると、

 「それでは諸君、先生を迎えに行こうかね」

 と言った。


 王宮は街の中心からかなり東に偏って建っている。

 街の東は切立った崖になっており、天然の要害になっているからだ。

 城の西は市場などもあり栄えているが、東には住宅と官舎あとは倉庫が立ち並ぶ。

 今回はその東側と、更に城壁を越えた街外れまでを範囲として捜索する。

 倉庫などはナブォさんの使い魔で捜索するので、私たちは廃墟の地下室など使い魔の鳥が入れない、又は入れても見えない場所を捜索する。

 

 私は捜索中に不安になってタキさんに聞いてみる。

 「王都の1/10程度まで絞り込んでいるとはいえ、たった2班じゃ探しきれないんじゃ」

 「そうですね、しかし騎士団の捜索は目立ちすぎるので、こういった静かな所での捜索では気づかられて逃げられます。むしろ西側で派手に捜索してもらってこちらに追い込んで貰うのに一役買ってもらいましょう」

 「なるほど、それでアルベルトさんも今日は音のしない軽装の鎧なのか」

 「そうですね、おっと念話です、しばしお待ちを」

 そんな脇では、相変わらずヒラヒラのメイド服のルルさんと、一般庶民からすると派手な服装のウィリアムくんが居ますけど大丈夫なんでしょうかね?

 「さて、2ブロック先の廃墟の捜索に向かいます。付いてきて下さい」

 王子様はマイペースに、メイドはうやうやしく返事をする。

 「はーい」

 「承知しました」

 うん、これはこれで目立ってるね。


 私達は炎天下の中、街外れの元教会の廃墟の前に居た。

 捜索は3日目に入った、足は棒の様になり靴ズレが痛い。

 しかし泣き言は言わない、私はタダでさえ足手まといなのだから。

 街の中のめぼしい所は大体捜索したと思う、しかし見つからない。

 不安が募る、本当にこの範囲に居るのだろうか? もし西側に居たら見つからないんじゃないか?

 「コトネさん、大丈夫ですか?」

 「う、うん、ごめん少し考え事してた」

 「ここから暫らく様子を見ます。見つからないよう隠れてて下さい」

 そう言うと、タキさんは呪文を唱え、持っていた直径5センチほどの水晶球を地面に転がす。

 水晶球は生き物の様にフラフラと転がって建物のドアから入っていった。

 水晶球はドローンの様に、そこから見えたイメージを術者に送信する。

 使い魔と違い、操れる距離が短いのと操作中常に精神集中が求められるのが難点だ。

 「…見つけた」

 タキさんはそうつぶやいた。

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