第26話 時間割
私は、教室に入り皆に挨拶する。
「おはようー」
「おはよー、コトネー」
「おはようございます、コトネさん」
ウィリアム君は元気に、ルルさんはおとなしめに挨拶する。
「おはよう」
アルベルトさんはそう言うと、机に突っ伏した。多分騎士団での仕事で疲れてるんだろう。
笹さんが入ってくると、その後ろから先生たちも入ってくる。
朝の挨拶とホームルームがあって、今後の教科と先生が発表される。
歴史はタキ先生、数学と体育と文学は谷口先生。
だいぶ形になってきた語学を午前に、午後を日替わりでそれぞれの授業に当て る、そして午後3時には授業を終えて、それぞれの仕事をする事になったのだ。
アルベルトさんは元々語学のみだったので、午前中の授業が終わったら騎士団に戻る事に。
とりあえずコッチの一週間での時間割が出た。
月 歴史
火 数学
水 文学
木 歴史
金 数学
土 体育
日 休み
と、来週からこのようになるらしい。
お昼休みになり、昼食を食べつつこの事が話題になった。
「いやー、数学が入ってくるのかぁ。私苦手なんだよねぇ」
「数学ですか、僕は楽しみですよ。魔術にも応用が効くかもしれないし」
「タキ君も授業受けるの?」
「はい、ここでも四則計算はありますけど、通貨の繰り上がりが相場に寄って変わったりするので、完全な10進数での計算式は発達しなかったんですよねぇ」
「へー、相場で繰り上がりが違うのか」
「今は大体、銅貨50枚で銀貨に、銀貨16枚で金貨1枚になります。これも来週には変わってるかもしれません」
「面倒くさいですねぇ」
「その辺も、歴史に絡めて教えていきますよ」
「はーい、楽しみにしておきます」
すると、急ぎ昼食を済ませたアルベルトさんが、
「じゃタキ、俺は今日はこれで」
「あれ? アルベルトさんもう帰っちゃうの?」
「ああ、すまないねちょっと本職が立て込んでてな」
「アルベルト、気を付けてね」
「おお、じゃあな」
アルベルトさんはそう言うと、急ぎ足で食堂を出て行った。
「何かあったの?」
私は、タキさんに聞くと、
「うん、ここの所人が拐われる事件が数件起きてましてね、コトネさんも明るいうちに帰るようにして下さいね」
「うん、あーでも今日からバイトするから遅くなるかもしれない」
「おや、何処でです?」
「よく行く、[親の心子羊亭]でウエイトレスする事に」
「わかりました、谷口先生にも話しておきます」
「ありがとうー」
「そろそろ、午後の授業の用意があるので行きますね」
と言って席を立つタキさんを、ヒラヒラと手を振り送り出した。
「コットネー、ウエイトレスするの? 僕も食べに行きたいなー」
近寄りながらそう言って、ルルの方を見るウィリアム君
「ダメです、暴漢程度ならどうとでもなりますが、毒物を混入された場合私では対処できません」
「ルルは心配性だねぇ、僕程度暗殺しようなんて人居ないって」
ルルは、僕程度と言う所で、ピクリと反応したが声のトーンは変えず、
「ウィリアム様に、もしもがあっては私が困ります。聞き分けて下さい」
「ルルが困るからやめて欲しいんだ、ふーん」
ヤバイ、ちょっと二人が嫌悪な雰囲気になってきた。私は椅子を引いて立ち上がろうとするが、
「コトネー、ルルは冷たいよねっ」
「コトネ様、王子のわがままを諌めて下さいまし」
わー、コッチに飛び火したぁ。