第2話 自己紹介するよ
私は異世界に来てしまった、ようだ。
魔法使いはこう続けた、
「はじめまして、僕の名前はタキです、あなたのお名前を聞いてもよろしいですか?」
「はじめまして、私は佐渡琴音といいます。長かったらコトネでいいです。」
私はタキの顔をまじまじと見る、同じくらいの歳かなぁ?
髪金色で短く、飼葉用に丸めた干し草の様、少しタレ目でつぶらな瞳、線の細そうな可愛い感じの男子だ。
あんまりまじまじ見過ぎたか、ちょっと照れてる、かわいいなぁ。
「あっ、えっと。よろしくコトネ。あっちの大きいのがアルベルト」
と指を指す。
アルベルトさんは、倒れた丸太にだらしなく座り、鎧を止めている紐を緩めて、風を入れている。
紹介されて、チラッとだけコッチを見て、ダルそうに片手だけ上げる。
髪は長く金髪、今は汗で顔に張り付いてうっとおしそう。顔は彫刻像の様に整って白い肌も手伝って、石膏像見たいだ。
背は高く、ガッチリとした体格、バレーボール選手みたいで、凄く強そう。
こちらは完全な歳上かな、外人みたいな顔つきでわかりにくいけど20歳前後だろう。
「よろしく、アルベルトさん」
私は投げやりな挨拶をアルベルトさんに投げかけると、タキ君に向き直り、
「どうして、わたしここに居るんですか?帰れるんですか?帰れるんですよね!」
イカンイカン、我ながら取り乱しすぎた、落ち着こう。
タキ君はさっきまでのハキハキした口調から打って変わって、
「えーとですね、原因は向こうに死んでる悪魔ジョーカーのせいでしてね。
奴は追いつめられると仲間を呼ぶんです、それでコトネさんは無理やり仲間として召喚されまして・・・」
「ふぁ?、な、なんで」
あの悪魔野郎勝手に私を仲間にして呼んで、異世界から召喚し腐ったと!
意味がわからん、もう一度殺してやる。
わたしの釣り上がる両目にビビったかタキ君は、
「お、おそらく、そのダガーみたいな武器持ってて、呼ばれちゃったんじゃないかと思いま・・・」
「そんな包丁武器って言うなら、私以外だって・・」
「運も悪かったみたいですね、心中お察しします」
「・・・・」
運が悪い、で片付けられた。
そして私は、肝心な事を聞いてない事に気がついた。
「帰る方法は?どうやって帰ったら・・」
「今の所、帰る方法は見つかってません。ですが同じ境遇の方なら、いらっしゃいますので、そちらの施設にご案内します」
でも、私はその時、帰れないショックよりも、麻婆豆腐を作ってた中華鍋の火を、止めたかの方が気にかかっていたんだ。