第18話 換算すると
顔を洗い、朝食をとり、黒板を持って教室に入る。
まだ誰も着ていない。
すると、朝食の終わったタキさんが教室に入ってきて、
「昨日の分、やっちゃいますか」
と言ってホームルーム前に、昨日やるはずだった授業をしてくれた。
私はなんだか恥ずかしくて目が合せられない、頭のなかには運命だとか未来だとか変な単語が駆け巡る。
タキさんは告白したら喜んでくれるかな、それとも迷惑かな、なんて浮かれていた。
「ちゃんと聞いてますかー、コトネさん」
「はい! 大丈夫です」
と根拠の無い返事をした時、タキさんの顔が曇った気がしたけど気のせいだろう。
そんなやり取りをしていると、先生やアルベルトさんが入ってき、ウィリアムさんとルルさんも来た。
「笹様は本日もお休みになるそうです」
ほぼ毎日告げられる報告を受けて、谷口先生は授業を始めるのだった。
まだしばらくは言語のみ、いずれはそれ以外の授業も開始する旨、伝えられる。
私は魔法を早く習いたいな、やはり先生はタキ先生って事になるのかな。
うん、モチベーションが上がった。
授業が終わり、私は思い出したように先生の時計合せをしてあげようと、職員室に向かった。
「先生ー、わたし先日時計合わせたので良かったら合せてあげますよー」
「おぅ、ありがとさん。毎日10分も狂うと役に立たなくなるからなぁ」
そう、この世界の1日はおよそ23時間50分なのだ。
「先生この世界の一年って何日なんですかねぇ?」
と、思いついたので聞いてみると
「一ヶ月約32日の10ヶ月、およそ320日ですね」
と、廊下側から答えが飛んできた。
タキさんは職員室へ入ると、
「そちらの世界は何日だったんですか?」
と聞かれたので
「一年365日、四年に一度366日です」
と答える。
んー、私14歳なので 14×365.25÷320でこちらの年齢になるのか。
久しぶりにスマホの電源を入れて、計算機アプリを立ち上げる。
ポチポチポチポチ・・・
15.97歳、14歳になってもう何日も過ぎてるから、16歳だな。
「タキさん、私こっちでは16歳でした! やっぱり年齢近かったんですよ!」
「なるほど、そうなりますか。僕はそっちでは15歳、やっぱり1個違いですね」
「となると先生はー、えーと数が多いな。先生こっちでは37.6歳かぁ」
それを聞いて谷口先生は、ガックリと肩を落としていた。