第16話 Acute Stress Disorder
結局あの後は眠らず、日が昇るまで先生と話をしていた。
ちょっと眠たいけど、大分元気が出たような気がする。
顔を洗ってさっぱりしたら、昨日進められて市場で買った果物を朝食に食べる。
うん、みんなのオススメだけあって、瑞々しく甘酸っぱくて美味しい。
美味しいだけあって値が張るので、毎日食べるわけにも行かないけど。
まだ授業までは時間があるので、洗濯物をして布団と一緒に干す。
布団単体よりは目立たないだろうと言う、姑息な知恵だけど。
意外と洗濯に手間取り、慌てて教室に入るとみんな席についていた。
笹さんは今日も休みのようだ。
今日もタキさんと谷口先生の二人体制で授業だけど、私は寝不足のせいかちょっと頭が痛くなってきた。
先生に告げると、
「保健室は無いから、部屋、いや職員室で休んでろ」
と言われて職員室に向かう、部屋に帰ってもベットに布団が無いから職員室なんだろうな。
後ろから、パタパタと足音が聞こえるので振り返るとタキさんだった。
「大丈夫ですか? 朝からあまり顔色が優れない感じでしたけど」
私は好調なつもりだったけど、そうは見えてなかったらしい。
「昨日はしゃぎ過ぎて疲れたのかも、です」
とごまかしておいた。
お昼休みには、みんなが心配して観に来てくれた。
嬉しいけど、心配を掛けてるのがちょっと心苦しい。
やっぱり寝不足だったのか、お昼を少し食べたら眠くなって、そのまま寝た。
目が覚めて頭がぼぉっとしてしてたけど、谷口先生とタキさんの話し声が聞こえる。
「・・・ストレス・・・ナイ・・心因性・・・・・薬・・・専門・・」
なんだろう、起き抜けの頭に難しそうな話は入ってこない。
私が身体を起こすと、二人の会話はピタリと止まり、
「おはようございます、コトネさん」
「おきたか、佐渡。洗濯物と布団はルルが取り込んでくれてたぞ」
「おはようございます、授業終わっちゃったんですか?」
私は寝ぼけ眼で二人にそう言った。
「ああ、そうだ。明日からその分頑張れよ」
「は、はい」
「あと、おまえ今日はここで寝ろ」
と谷口先生から言われた。
そう、過去に谷口先生がジョーカーに洗脳されていた時、それを解いたのはタキさんとその師匠だった。
だから私の悪夢も何とかなるかもしれない、と言うことだった。