第13話 コトネの部屋
翌日、起きると布団を持って自分の部屋へ、ぼんやりとした頭を目覚めさせるため中庭に行き井戸で水を汲む。
顔を洗うだけなんだけど、既に目が冷めそうな重労働。
紐の着いた桶があるだけで、滑車やポンプが無いから、汲んだ水が多いとかなり重たい。
んしょんしょんしょっ、やっと持ち上げて、浅いオケに移し替えると顔を洗う。
昨日のパンは歯がモゲそうに固かったから、今朝は火で炙って柔らかくして食べよう、そう思って部屋からパンを持って食堂に行くのだった。
食堂には先生もいて、朝食を取っていた。
「佐渡ー、ちゃんと野菜とっているか?」
「はい、大丈夫だす。ちゃんと食べてます。今朝はたまたま無いですケド」
慌てて変な言葉になった。
いや、この世界の野菜はちょっとしたトラウマだったわ。
レタスそっくりなのに凄い苦かったり、洋なしみたいな果物が凄い生臭かったり。
しばらくは見たことのある、安全に食べられる野菜だけでいいわ。
しばらくモソモソと食べてると、タキさんが来た。
なんでも、暇な時は授業を手伝ってくれるそうだ。
私は早く、魔法を習いたいんだけどなぁ。
今日は先生が二人、谷口先生とタキ先生。
生徒も笹さんとやらが休みで、生徒は3人プラスメイド。
授業と言うより、家庭教師の個人レッスンな感じだね。
昼休みに、タキさんにメイドって割りと沢山いるのか聞いてみた。
「そんな事は無いですよー、偉かったりお金持ちの人だけです」
と言うから、
「じゃウィリアム君はどっちなの?」
っ聞いたら、
「前者ですね、ウィリアム君は王子様ですから」
王子様かぁ、地味な見た目からは想像つかなかったなぁ。
「あーあと、ウィリアム君もコトネさんより歳上ですからね、たしか16歳になられたはず」
「あちゃ、また君付けで呼んでました」
この世界の人は童顔が多いのかな? 気をつけよう。
「でも、末っ子で本来は専属メイドとか付かないんですけど、彼女は特別です」
「ほうほう、どう特別なのですかしら?」
あっ、いま私、谷口先生に物凄くババ臭いっ、て言われた状態になってると思いつつ聞く。
「んっんー!」
と咳払いが聞こえて、振り返ると厨房の奥からルルさんが見ていた。
タキさんはバツが悪そうに照れ笑いして、それ以上は教えてくれなかった。
でも、ウィリアムさんが歳上だったり王子様だったり、それだけでも十分驚きだよ。
午後の授業も、つつがなく終わる。
私は文法を習いつつ単語の暗記が目下の課題。
しかし、この世界のいい所一つ見つけたよ。
教科書と参考書が無く、ノートも無いから宿題が出しにくいんだね。
谷口先生は、なるべくアルベルトさんやウィリアムさんと会話をして慣れろ、と言っただけで宿題は出なかった。
お互いまだ会話出来るレベルではなかったので、タキさんが間に入って補助してくれた。
そういえばこっちの世界にも曜日の概念があって、それは7日周期だと言う。
先生に聞いたら、
「天地創造には7日くらい掛かるのが相場なんだろう」
って言ってた。
明日は、日曜に応る休みの日だ。
何処へ遊びに行こう、楽しみだ。




