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歴代内閣考察  作者: 騎士星水波
昭和時代戦後
56/58

第44代 幣原喜重郎内閣

第43代 幣原喜重郎内閣

 在任期間1945年10月9日~1946年5月22日(226日)


 国務大臣

内閣総理大臣 43 幣原喜重郎(元外務大臣)貴族院議員同和会→日本進歩党

外務大臣   73 吉田茂(前外務大臣)外務省官僚→貴族院議員無所属 再任

内務大臣   67 堀切善次郎(元内閣書記官長)貴族院議員研究会 公職追放

68 三土忠造(元大蔵大臣)貴族院議員研究会

大蔵大臣  56 澁澤敬三 貴族院議員研究会

陸軍大臣 57 下村定(前陸軍大臣)陸軍大将 1945年12月廃止 再任

第一復員大臣 未設置

       1 幣原喜重郎 兼任 1945年12月設置

海軍大臣   52 米内光政(前海軍大臣・元総理大臣)海軍大将 1945年12月廃止 再任

第二復員大臣 未設置 

       1 幣原喜重郎 兼任 1945年12月設置

司法大臣   59 岩田宙造(前司法大臣)貴族院議員同和会 再任

文部大臣 71 前田多門(前文部大臣)貴族院議員同成会 公職追放 再任

72 安倍能成 貴族院議員同成会

厚生大臣 14 芦田均 衆議院議員日本自由党

農林大臣 2 松村謙三(前厚生大臣)衆議院議員日本進歩党 公職追放

3 副島千八 民間(証券取引所)

商工大臣   2 小笠原三九郎 衆議院議員日本進歩党

運輸大臣   3 田中武雄 衆議院議員日本進歩党

       4 三土忠造 兼任

       5 村上義一 鉄道院官僚・日本通運株式会社社長

戦災復興院総裁国務大臣 未設置

       1 小林一三(元商工大臣)貴族院議員無所属倶楽部公職追放

         空席

国務大臣     次田大三郎貴族院議員同成会

国務大臣(憲法問題調査委員会代表兼任) 松本烝治貴族院議員無所属倶楽部

国務大臣     楢橋渡衆議院議員無所属

国務大臣     石黒武重衆議院議員無所属

内閣副書記官長 54 三好重夫 内務省官僚

        欠員

        55 木内四郎 大蔵省官僚


 ◇参考

・ウィキペディア『幣原内閣』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%A3%E5%8E%9F%E5%86%85%E9%96%A3

・首相官邸HP『幣原内閣』http://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/kakuryo/44.html

・歴代内閣に関するデータベース『第45代・幣原喜重郎内閣』http://www.geocities.co.jp/since7903/Syouwa-kyukenpou/45-Shidehara.htm


 主な出来事

1945年10月 ・幣原喜重郎内閣成立。

         ・徳田球一・志賀義雄ら政治犯11名が釈放。

         ・GHQの五大改革と憲法改正を指令。

         ・長崎県壱岐島沖で珠丸が機雷に触れ沈没、乗客・乗組員240人死亡。

         ・治安維持法が廃止される。

         ・駅名の表記が左書きに統一される。

         ・GHQの「日本教育制度ニ対スル管理政策」発令。

         ・国際連合憲章の発効に伴い、国際連合発足。

         ・台湾光復式典。台湾の領有権が、大日本帝国から中華民国に転換。

         ・憲法問題調査委員会設置。(委員長松本烝治)

         ・警視庁が、東京都内における待合茶屋・バー・料亭などの営業を許可する。

         ・日本勧業銀行が第1回宝くじを発売する。

         ・GHQの「教育及ビ教育関係官ノ調査、除外、認可ニ関スル件」発令。

     11月 ・日本社会党結成。(書記長片山哲)

       ・新日本婦人同盟結成。(会長市川房枝)

         ・GHQの財閥解体を指令。

         ・日本自由党結成。(総裁鳩山一郎)

         ・インドネシア独立戦争

         ・福岡県内のトンネルで旧日本軍の火薬約532トンを焼却処分したら大爆発し死者147          名。(二又トンネル爆発事故)

         ・日本進歩党結党。(書記長鶴見祐輔)

         ・GHQの戦争犯罪人の逮捕を指令。(松岡洋右・小磯国昭ら11人)

         ・ドイツで戦犯を裁くニュルンベルク裁判開廷。

       ・角川書店設立。

     12月 ・マニラの連合国軍軍事裁判で山下奉文陸軍大将に死刑宣告。

         ・GHQ、連合国司令部記述として全国の新聞へ太平洋戦争史を連載させる。

         ・GHQ、農地改革を指令。GHQによって「眞相はかうだ」の放送が開始される。

         ・日本でGHQが神道指令を発する。

         ・日本でGHQの監督で衆議院議員選挙法が改正される。婦人参政権が認められる。

         ・衆議院解散(終戦解散、戦後初の衆議院解散)

         ・生田警察署襲撃事件

         ・第89臨時議会召集。

         ・モスクワ三国外相会議で極東委員会および対日理事会設立が決定。世界銀行発足

         ・日本のNHKラジオ第1で『紅白音楽試合』(『NHK紅白歌合戦』の前身)放送。

       ・高野岩三郎「改正憲法試案要綱」発表。

       ・GHQ、「修身、日本歴史及ビ地理停止ニ関スル件」を発令。修身、国史、地理の          授業は中止、教科書は回収される。

1946年 1月 ・詔書(いわゆる昭和天皇の人間宣言) : 濁点・句読点が付された初めての詔書

         ・富坂警察署襲撃事件

         ・GHQ: 超国家主義団体の解体を指令

         ・GHQ:公職追放を指令

       ・手塚治虫「マアチャンの日記帳」連載開始(少国民新聞)

         ・公職追放

         ・生田警察署襲撃事件

         ・GHQ:衆議院総選挙の時期を3月15日以降とするよう指示

       ・野坂参三が延安より博多に帰国

         ・たばこ「ピース」発売

         ・GHQ:青函連絡船の1等・2等船室を接収

         ・南朝子孫と自称する熊沢天皇が名乗出て話題となる

         ・マッカーサー元帥が極東国際軍事裁判所の設置を命令

         ・NHK「のど自慢素人音楽会」(後のNHKのど自慢)放送開始

         ・自由党が憲法改正案要綱を発表

         ・GHQ:公娼廃止を指令

         ・神社本庁設立

         ・七条警察署襲撃事件

         ・GHQ:映画検閲を指令 (SCAPIN-658, Motion picture censorship)

         ・日本ジャーナリスト連盟設立(聴濤克巳・鈴木東民・阿部眞之助ら)

         ・英軍が日本進駐開始

         ・秋葉原電気街が露店として開業。

      2月 ・第1次農地改革実施

       ・軍人恩給停止

         ・マッカーサー元帥が憲法3原則をGHQ民政局に指示

       ・通化事件が起き中国在留日本人が多数殺害される。

         ・帝国大学総長会議にて南原繁東京帝大総長が「女性にも門戸を開く」と言明

         ・政府が憲法改正要綱(松本試案)をGHQに正式提出

         ・秘密にされていたヤルタ協定全文が発表

         ・「みなと新聞」「山口新聞」の前身、「西部水産速報」発刊

         ・GHQ:憲法改正松本試案を拒否しGHQ案を手交

         ・進歩党が憲法改正案要綱を発表

         ・政府が「預金封鎖」を告知

         ・天皇が神奈川県下を行幸

       ・部落解放全国委員会結成

         ・ソ連が千島列島・樺太の領有を布告

         ・山下奉文元陸軍大将の絞首刑が執行

         ・社会党が憲法改正案要綱を発表

         ・GHQ:東京宝塚劇場を接収しアーニー・パイル劇場とする

         ・極東委員会第1回会議がワシントンで開催

         ・内閣統計局(麻布)火災: 国勢調査カードなどが焼失

         ・公職追放令公布

      3月 ・労働組合法施行

       ・医学雑誌「医学のあゆみ」創刊。初代編集長は緒方富雄。

       ・国鉄運賃値上げ

         ・政府が憲法改正草案要綱を発表(主権在民・天皇象徴・戦争放棄)

       ・日刊スポーツ創刊 (日本初のスポーツ紙)

         ・高崎市民オーケストラ (後の群馬交響楽団) 創立

         ・文藝春秋社が解散届を提出

         ・文藝春秋社従業員代表池島信平が続刊の意思表明

         ・国鉄労働組合結成

       ・片岡仁左衛門一家殺害事件。

         ・婦人民主クラブ結成

         ・警視庁講習所で初の婦人警官入所式

         ・劇団俳優座第1回公演 (「検察官」、東京劇場)

         ・米陸軍アイケルバーガー第8軍司令官が米将兵に日本女性への公然な愛情表現を禁          止する旨指令

         ・国民の国語運動連盟(代表安藤正次)が公文書を口語体にする旨首相に建議

         ・GHQ:特殊慰安施設閉鎖

         ・立命館土曜講座開始

      4月 ・マッカーサー元帥が極東委員会に対し「総選挙の結果次第では再解散も考慮」と回          答

       ・学習研究社設立

         ・マッカーサー元帥が米将兵に日本女性との醜行自粛を訓示

         ・連合国対日理事会第1回会合開催 (東京)

         ・ひめゆりの塔建立

         ・国民学校で最後の入学式

         ・GHQ:総選挙の投票・開票は米軍が監視する旨発表

         ・第22回衆議院議員総選挙: 婦人議員39名当選

         ・GHQ:禁止されていたペニシリンの製造を森永製菓・万有製薬に限定して許可

         ・政府がひらがなで口語体の憲法改正草案成文を発表

         ・持株会社整理委員会令公布施行

         ・幣原総理辞意

       ・「サザエさん」連載開始 (夕刊フクニチ)

         ・沖縄民政府発足

         ・初の婦人警官が勤務開始

         ・日本映画演劇労働組合結成

         ・鳩山一郎自由党総裁が自由党の単独組閣を表明

       ・経済同友会創立

      5月 ・メーデー復活(第17回、11年ぶり)

       ・広島・長崎に白血病患者が出始める

       ・読売報知が題号を『読売新聞』に復元。

         ・極東国際軍事裁判所開廷

         ・GHQ:鳩山一郎自由党総裁が公職追放該当と通告: 首相後任選出が振り出しにも          どる

         ・日光中宮祠事件が発生する。

         ・東京通信工業(現在のソニー)設立

         ・米アイゼンハワー陸軍参謀総長来日

         ・アイゼンハワー元帥が「日本の再建はドイツより容易」と表明

         ・長崎警察署襲撃事件

         ・吉田茂が自由党総裁を受託

         ・吉田茂に組閣命令

         ・第90臨時帝国議会召集

         ・東京で食糧メーデー、プラカード事件発生

         ・前日の事件を受けてマッカーサー元帥が「組織的指導下の大衆的暴力と物理的脅迫          手段は許さない」と声明

         ・GHQ:皇族特権廃止の覚書を交付

         ・幣原内閣総辞職、第1次吉田内閣成立


 ◇参考

・ウィキペディア『1945年』https://ja.wikipedia.org/wiki/1945%E5%B9%B4

・ウィキペディア『1946年』https://ja.wikipedia.org/wiki/1946%E5%B9%B4


 概要

 さて、今回紹介しますのは、幣原内閣です。幣原総理。幣原喜重郎。この名前、どこかで彼の名前を聞いたことがないでしょうか? そうです、彼は戦前の政党政治の時代に民政党系の内閣において協調外交を進めた外務大臣です。そんな彼ですが、まだ生きていました。当時の新聞記者すらも幣原が総理になった時に幣原さんはまだ生きていたのかという逸話が残っているほど当時の彼は政界から離れており忘れられた存在だったのです。そんな彼を総理にしたのは実は吉田茂と言われています。自身が総理になるために幣原を総理にしたとも他にも説があるのため正しいかどうかわかりませんが、この話だけを一応しておきます。

 幣原内閣において日本は民主化の道を進みます。その過程で公職追放として戦前の日本に協力した者が多く公職から追放される政策も実施されています。この時、幣原内閣の幾人かの閣僚も追放の対象となって辞任に追い込まれています。

 幣原内閣での大きな動きは憲法改正です。よく間違われる人がいますが、日本国憲法は正式には大日本帝国憲法(明治憲法)を改正し成立したものであります。そのため、よく問題となるのが憲法がアメリカ人に押し付けられたという説ともう1つこの憲法改正は無理であり今の憲法は無効だという説です。まず、前者は、押し付け憲法論は右翼の人がよく言いますし、現に自民党の憲法改正派の改正理由の一つになっています。自主憲法の制定ですが、日本は幣原内閣の時に松本讓治国務相を憲法改正の担当大臣として憲法改正試案をGHQに提出しています。しかし、中身が大日本帝国憲法の文言を変えたぐらいのものであり、マッカーサーは日本人に憲法改正の能力がないと判断し改正します。こうして数日のうちにGHQ案(マッカーサー原案)が作られたのです。ちなみに押し付け憲法論において問題となっているのが日本人の自主憲法の話ですが、大日本帝国憲法も実は純日本製ではなくプロイセン憲法を多く真似しています。そのこともしっかりと大日本帝国憲法がいいと言っている右翼の方は理解しているのでしょうか……自主憲法ならもういっそ新しいものをつくり、大日本帝国憲法に戻すとか言ってほしくありません。

 2つ目の話ですが、憲法改正限界説です。八月革命説ともいわれています。詳しくは下のサイトより見てもらいたいですが、簡単に言うと大日本抵抗憲法の改正の際に国体を護持する範囲という条件があります。この改正では国体を大きく変更していると見ていいので、果たして憲法改正はいいのかという問題があります。

 このような憲法の問題は現代においてもありますが、とりあえずは成立します。

 幣原内閣は1946年4月の総選挙において事実上首相の幣原率いる与党進歩党(ちなみに総選挙の後日に総裁に就任する)は鳩山一郎率いる自由党に敗北し内閣総辞職します。

 今回はここまで。次回は最終回です。第1次吉田内閣です。


 ◇参考

・ウィキペディア『八月革命説』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E6%9C%88%E9%9D%A9%E5%91%BD%E8%AA%AC

 次回で最終回です。

 今回は大臣紹介をする予定はありません。

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