第２７代 浜口雄幸内閣
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第２７代 浜口雄幸内閣
在任１９２９年７月２日～１９３１年４月１４日（６５２日）
国務大臣
内閣総理大臣 27 濱口雄幸 衆議院立憲民政党総裁
内閣総理大臣臨時代理 幣原喜重郎
外務大臣 42 幣原喜重郎 貴族院同和会
内務大臣 44 安達謙蔵 衆議院立憲民政党
大蔵大臣 34 井上準之助 貴族院無所属→立憲民政党
陸軍大臣 35 宇垣一成 軍人:陸軍
臨時代理 阿部信行
海軍大臣 31 財部彪 軍人:海軍
32 安保清種 軍人:海軍
事務摂行 濱口雄幸
司法大臣 39 渡辺千冬 貴族院研究会
文部大臣 44 小橋一太 衆議院立憲民政党
45 田中隆三 衆議院立憲民政党
農林大臣 ⑦ 町田忠治 衆議院立憲民政党
商工大臣 ⑦ 俵孫一 衆議院立憲民政党
逓信大臣 39 小泉又次郎 衆議院立憲民政党
鉄道大臣 ⑩ 江木翼 貴族院同成会／立憲民政党系
拓務大臣 ② 松田源治 衆議院立憲民政党
班列（陸軍大臣臨時代理）阿部信行 軍人:陸軍
内閣書記官長 30 鈴木富士弥 衆議院立憲民政党
政務次官
外務政務次官 ＊永井柳太郎
内務政務次官 ＊斎藤隆夫
大蔵政務次官 ※大口喜六
＊小川郷太郎
陸軍政務次官 溝口直亮 貴族院議員・伯爵
伊東二郎丸 貴族院議員・子爵
海軍政務次官 矢吹省三 貴族院議員・男爵
司法政務次官 ※浜田国松
＊川崎克
文部政務次官 ＊野村嘉六
農林政務次官 ＊高田耘平
商工政務次官 ※吉植庄一郎
＊横山勝太郎
逓信政務次官 ※広岡宇一郎
＊中野正剛
＊中村啓次郎
鉄道政務次官 ＊山道襄一
＊黒金泰義
拓務政務次官 ＊小坂順造
※立憲政友会所属衆議院議員 ＊立憲民政党所属衆議院議員
参与官
外務参与官 織田信恒 貴族院議員
内務参与官 ＊内ヶ崎作三郎
＊一宮房治郎
大蔵参与官 ※山口義一
＊勝正憲
陸軍参与官 八田宗吉
吉川吉郎兵衛
海軍参与官 松本君平
粟山博
司法参与官 ＊井本常作
文部参与官 ＊大麻唯男
農林参与官 ※砂田重政
＊山田道兄
商工参与官 ＊岩切重雄
＊野田文一郎
逓信参与官 ※向井倭雄
＊福田五郎）
鉄道参与官 ＊山本厚三
拓務参与官 ＊武富済
※立憲政友会所属衆議院議員 ＊立憲民政党所属衆議院議員
◇参考
ウィキペディア『濱口内閣』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BF%B1%E5%8F%A3%E5%86%85%E9%96%A3
首相官邸ＨＰ『濱口内閣』http://www.kantei.go.jp/jp/rekidai/kakuryo/27.html
歴代内閣に関するデータベース『』
主な出来事
１９２９年 ７月 ・濱口内閣成立
・日本が「戦争抛棄ニ関スル条約」（不戦条約）を批准
８月 ・北海道鉄道疑獄事件
９月 ・武蔵高等工科学校（武蔵工業大学（現東京都市大学）の前身）開校
・ダイヤ改正（列車増発・時間短縮）、列車愛称始まる（一・二等特急「富士」・三 等特急「櫻」）。
・田中義一前内閣総理大臣死去。
１０月 ・ブラックサーズデー（世界恐慌の引き金の１つ）
１１月 ・光州学生事件（朝鮮）
・近鉄花園ラグビー場が開場。
１２月 ・東京駅に八重洲口開設
・人形クラブ（現人形劇団プーク）結成第一回公演
・第５７議会召集。
・唐津町信用販売購買組合（現唐津信用金庫）設立、事務所を唐津市呉服町に置く
１９３０年 １月 ・鉄道省が全線でメートル法実施
・朝日賞第１回授賞式（坪内逍遥ら）
・濱口内閣の主導で日本が金本位制に復帰（金解禁）
・第１回全日本スケート選手権大会開催（青森県八戸市）
・梅蘭芳来日
・ロンドン海軍軍縮会議開催
・衆議院解散
２月 ・若槻軍縮会議全権が英放送局から日本へ向けて演説放送（初の国際中継放送）
・宮城道雄が東京音楽学校講師に就任（盲人で初めて）
・第１７回衆議院議員総選挙
・鹿島組（後の鹿島建設）設立
・総選挙結果発表（政友会１７４議席に対し民政党２７３議席獲得で圧勝）
・共産党員全国一斉検挙開始
３月 ・谷口雅春が新宗教生長の家を開教。
・鎮海で陸軍記念日の活動写真フィルムが炎上し小学生が焼死
・横須賀線が電車に切換え
・京劇場開場式
４月 ・上野駅に地下商店街が誕生
・福岡県若松・戸畑間の連絡船第一わかと丸が転覆(７６名死亡)
・銀座三越開店
・日本神学校開校
・東京板橋の貧民街岩の坂で養育金目当ての板橋貰い子殺し事件発覚。大正以来４１ 人を殺害。
・北海道紋別で大火
・秋田市で大火
・第５８特別議会召集
・ロンドン海軍軍縮会議終結。米英日の３国で軍備制限条約締結
・鉄道省が国際観光局を開設
・統帥権干犯問題が発生
・ローマで日本美術展開催
・天長節祝典: 宮城平河門内覆馬場で３７０年ぶりの天覧相撲開催
５月 ・川崎武装メーデー事件
・第１回日本一健康優良児表彰式開催
・日華関税協定調印
・重巡高雄進水式（皇后臨席）
・共産党シンパ事件で三木清らが検挙
・第一次間島暴動。間島で朝鮮人の反日武装暴動発生。
・台湾で烏山頭貯水池(八田ダム)竣工
・田辺元、論文「西田先生の教を仰ぐ」(「哲学研究」)。西田幾多郎の西田哲学を、 厳しく批判した。
６月 ・加藤寛治軍令部長が天皇に辞表を提出
・軍令部長後任に谷口尚真を任命
・浅間山爆発
・折口信夫「古代研究」第II巻 民俗学篇
・劇団新東京第1回公演(東京劇場、「フィガロの結婚」)
７月 ・米国でフーバーダム建設開始
・明治神宮プール公開
・長沙の日本領事館が中国共産党軍に焼かれる
８月 ・輸出補償法施行
・谷崎潤一郎夫人千代子が離婚して佐藤春夫と再婚する三者合意声明が細君譲渡事件 として話題になる
・逓信省が東京・大阪間で写真電送開始
・蟹工船エトロフ丸漁夫虐待事件発覚
９月 ・震災記念堂落成式
・浅間山爆発 (東京まで降灰)
・米価大暴落、大豊作で1917年以来の安値(豊作飢饉)
・蟹工船エトロフ丸が函館に入港
１０月 ・第3回国勢調査
・東京・神戸間に特急燕運転開始(8時間55分)
・第二次間島暴動
・霧社事件: 台湾霧社の現地人が反日暴動、内地人など多数殺害、鎮圧に軍隊出動
・醍醐天皇千年式年祭挙行
・支那との外交文書における名称を支那共和国から中華民国に変更する旨、閣議決 定。日本国内では従来どおり支那が用いられ続ける。
・豊田佐吉死去。
・田健治郎元司法大臣死去。
１１月 ・日比谷交差点に国内初の自動交通信号登場(米国製)
・名古屋市で市営電気バス登場
・大原美術館開館(岡山県倉敷市)
・北陸線親不知で急行列車が転落(死傷者20名以上)
・濱口首相遭難事件: 濱口首相が東京駅で佐郷屋留雄に狙撃され重傷
・第1回全日本柔道選手権大会開催(武道館)
・富士瓦斯紡績川崎工場争議で煙突男が出現
・牧口常三郎と戸田城聖が、創価学会の母体である創価教育学会を設立。
・最初の国立癩療養所長島愛生園開設
・警視庁がエロ演芸取締規則を各署に通達
・伊豆地方大地震(死者行方不明者331名、全壊4317戸)
・九鬼周造「「いき」の構造」
１２月 ・講談社レコード部発足 (後のキングレコード)
・省営自動車開業(岡崎駅-多治見駅間・瀬戸記念橋駅-高蔵寺駅間)
・静岡・小田原の御用邸廃止
・第５９議会召集
１９３１年 １月 ・二代目市川猿之助らが松竹を脱退し春秋座を再建、旗揚げ公演（市村座）
・台北放送局 (JFAK) 放送開始。
・霧社事件の引責により台湾総督石塚英蔵が退任。
・霞ヶ関離宮の払下げ決る。
・全日本学生庭球連盟発足。
・「少年倶楽部」で田河水泡の漫画『のらくろ』連載開始。
２月 ・三等寝台車を新設（東海道線 東京-神戸間）
・三菱重工設立（三菱造船より改名）
・三菱石油（現・JXエネルギー）設立
・婦人公民権案を衆議院で可決（3月24日に貴族院で否決）
３月 ・三重県上空で日本空輸旅客機から乗客1人が初の飛降り自殺
・パラシュートガール宮森美代子が千葉県津田沼で降下し大人気
・全農第4回大会で左右両派が激突し左派多数が検挙され右派が役員を独占する（全農 分裂）。
・金杉惇郎・長岡輝子らテアトル・コメディ結成第一回公演
・全国産業博覧会開催（浜松市）
・政治結社「桜会」によるクーデターの計画が発覚（三月事件）。
・イネの画期的な交配種、水稲農林1号の育成成功。
４月 ・中央本線新宿 - 甲府間電化完成
・重要産業統制法公布
・NHKラジオ第2放送が開局。
・濱口内閣総辞職。
◇参考
ウィキペディア『１９２９年』https://ja.wikipedia.org/wiki/1929%E5%B9%B4
ウィキペディア『１９３０年』https://ja.wikipedia.org/wiki/1930%E5%B9%B4
ウィキペディア『１９３１年』https://ja.wikipedia.org/wiki/1931%E5%B9%B4
概要
さて今回の内閣は濱口雄幸内閣です。この内閣は憲政常道により田中義一政友会内閣の総辞職によって成立したことより野党第一党であった立憲民政党による内閣です。立憲民政党は、１９２７年に憲政会と政友本党が合併してできた政党であり戦前において立憲政友会と並ぶ二大政党制を確立させた政党です。そして、その民政党の初代総裁である濱口が総理に就任します。
さて、この内閣における重要な政策としては金解禁、緊縮財政、産業合理化そしてロンドン海軍軍縮条約の締結があります。また、外交については引き続き民政党系（旧憲政会）の幣原外相による幣原外交が行われます。
最初に金解禁について。金解禁とは金の輸出の制限を解除して金本位制に戻ることを言います。日本は金本位制を導入していましたが第一次世界大戦の時にヨーロッパ諸国に倣い金本位制を一時的に停止します。そして、第一次世界大戦後多くのヨーロッパ諸国が金解禁を実施する中日本も行おうとしますが、不況がたびたび起こったことによりずるずると行えないでいました。そこで、井上準之助大蔵大臣は今までの内閣が行いたかった金解禁を断行します。金解禁は産業界が望んでいたことでした。理由としては円が直接金とリンクすることで円の確かな価値があり貿易において役に立つからでした。
この濱口内閣の時に起こった主な事件について。やはり世界恐慌でしょう。世界恐慌というのはみなさんもご存じのとおりアメリカのウォール街で株が急に下落したことを発端とする一連の金融恐慌のことです。これがアメリカ１国に留まればよかったものをその後世界にも伝播していきます。これによりのちのち第二次世界大戦の発端ともなります。
最後にロンドン海軍軍縮条約についてから。これらが右翼からの反感を買い、１９３０年１１月に濱口首相が東京駅構内にて右翼団体愛国社党員の佐郷屋留雄に銃撃されて執務不能となると、慣例により閣僚の中で宮中席次が最も高かった幣原が内閣総理大臣臨時代理を務めましたが、幣原は民政党員でない上に臨時代理が長期に及んだこと（結果的に最長不倒記録の１１６日）などから、その失言をきっかけとして野党政友会からの激しい攻撃を受けることになり、加療入院中の濱口が杖を突きながら復帰することとなったが、病状の悪化により結局は４月に総辞職することになりました。その４か月後に濱口は死去しました。
さて、今回はここまで。次回は再び再登場。第二次若槻礼次郎内閣です。
◇参考
ウィキペディア『金解禁』https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E8%A7%A3%E7%A6%81
