1 ぬるぬるな告白/ベタベタなミス
サブタイは出来る限りこのスタイルでいこうと思います。
なぜこんなことになった・・・
俺は今、下校途中である。当たり前のことだ。学校の授業が終わり、特に部活動をしているわけでもない。勤勉な奴らは残って勉強だ、とかいってがんばっているが、俺は不良でこそないがそこまで真面目でもないので、これには当てはまらない。よって俺には帰るという選択肢しか残されていないというわけだ。
ちなみに、うちの学校は、そこそこ高い丘の上に建っている。そのため、多くの生徒は丘を下って帰っていくわけだ。しかし、俺はその多くの生徒には当てはまらない。俺の家だけは学校の上に建っている。つまり、俺は誰かといっしょに下校するってことはありえないはずだ。しかし、俺のとなりには人がいた。いや、人というのは正確じゃない。
俺を放課後の屋上に呼び出し、告白をして、そして溶けた彼女が今、俺のとなりをニコニコしながら付いて来ているわけだ。
本当に、なぜこうなったんだ・・・
***
「なっ!」
俺は言葉が出なかった。なんだ、一体全体なにが起こっている。理解しようと思っても、たった今俺に告白した女の子が突然溶け始めたという、まったくもって意味のわからない説明が出来上がるだけだ。
「キャー!」
彼女の悲鳴があがる。当たり前だ、自分が溶け始めたら俺は正気を保つ自信が無い。
「また、やっちゃった。なんでこんな大事なときにこうなっちゃうだろう」
ん?まてよ、今またって言ったよな。あれ?突然溶けたんじゃないってこと?
「あっ、ううう魚ノ目君、見ないで!」
手遅れです。しかとこの目に焼き付けました。
しかし、溶けたからすごくグロくなるかと思ったけどそうでもないようだな。足から溶けるからなのか、青色に変化してから溶けるためなのかどうかわからないけど。
「大丈夫か?」
「だっ大丈夫、すぐにもとに戻るから」
いや、現在進行形で溶け続けていてまったく収まる様子がないのですけど。
「落ち着くのよ私。えぇと、確か手のひらに人って字を三回書いて飲みこめばいいのはず」
なんかまたベタな対処法できたぞ。ん?よく見るとあれはまさか・・・
「なぁ、それって『人』じゃなくて『入』じゃないか?」
「えっ!?あっ、・・・・・・」
一瞬の沈黙、そして
「間違えたぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
なぜか絶叫した。しかしなんだ、ミスもまたベタだな。
「大丈夫、今度こそ!」
「・・・なぁ、ちょっといいか?」
「な、何?大丈夫だよ、次こそ落ち着てみせるから!」
「そういうこと言える時点でもう落ち着いている気がするが」
まぁ、ちょっと前には溶けるのも収まっていたしな。
「・・・あれ?私、落ち着いてる?」
「おぉ、落ち着いてる落ち着いてる、大丈夫だ」
「素数とか数えなくて大丈夫?」
「まて、さらりとなにをやらかそうとしてるんだ!偉い先生に怒られるからやめとけ!」
「?、えっだって誰かが素数を数えると落ち着くって」
「それで落ち着くのはある神父と作者くらいだ」
「作者?」
「いや、なんでもない。それより本当に数えられるのか?慣れてないと以外と難しいぞ」
「任せなさい」
彼女はドンと自分の胸を叩く。
・・・そこそこあるな。Bじゃないな、Cか、もしかしたらDもありえなk・・・
「ちょっとまって、なに考えてるの?」
「いやいやいや、なにも考えてない。なにも。ほら、早く数えたらどうだい」
「ん〜、まっいっか。いくよ〜」
危なかった。だって視界に入っちゃったから。健全な男子高校生ならしょうがない。うん、俺は悪くない…はずだ。
さて、あれはさすがにやらないと思うが。いくらなんでもベタすぎる。
「え〜と、1・・・」
「やったよ、やっぱりやっちゃったよ!1は素数じゃないよ!ミスがベタすぎだろ!何回ベタ言えばいいんだよ!」
なんかもう限界だった。ちなみに彼女はちょっと引いてる。いきなり叫べばこうなりますよね。うん、反省しよう。
そういえば、彼女彼女連呼しているが、名前を知らないな。当然か、初対面だし自己紹介もしていない。あっちは俺のことを知っているようだし、このドン引きに乗じて聞いてしまえ。
・・・俺、名前も知らない女の子の前で叫んだのか。溶けたことよりこっちのショックのほうがでかい気がしてきた。
「えぇと、いまさらだけど名前は?」
「え?書いてませんでした?」
「いや、書いてないぞ、特に」
俺は下駄箱に入っていた手紙を再確認するが差出人の名前はない
「・・・ちょっと貸してください!」
彼女は目にも留まらぬ速さで手紙を奪い取る。
「・・・本当だ。書いてない。書き忘れたんだ」
手紙に名前の書き忘れねぇ。また、ベタだよ。もうツッコミをする気にもならん。
「えぇと、どうしよう」
「とりあえず自己紹介したらいいじゃないかな?」
「そっ、そうだよね。自己紹介、自己紹介すればいいだよね」
うん、これで正体不明の女の子じゃなくなれば、まぁなんとかなりそうだ。
「私の名前は池井 流美です。えぇと、あとは・・・」
なるほど池井さんか。聞いたことないから他学年か?でも、リボンの色は俺と同じ一年生の色だな。じゃあ他クラスだからか?
「1年3組32番で・・・」
なんてのんきなこと考えている俺の思考回路は彼女こと池井さんの一言でまた停止した。
「スライムです」
作者は慌てると本当に素数を数え始めます。ちゃんと「落ち着け素数を…(中略)…孤独な数字、私に勇気を与えてくれる」と言ってから数え始めます。
なお作者の一人称は俺です。