1/13
プロローグ
「好きです!」
今、俺こと魚ノ目孝助は人生初の告白をされている真っ最中だ。
今日の朝、下駄箱に呼び出しの手紙が入っていた。ベタだ。
放課後に屋上で待っていてくださいといった内容だった。これもベタだ。
もしやこれは、と思いながら行ったところ、そこには初めて見るかわいい女の子が待っていた。
まさか、いや、ついに、とか思っている俺の前で彼女は定番のセリフを言った。やっぱりベタだ。
それが今だ。にしてもベタ多いなベタ。すごく普通の告白なのだがベタベタしてるみたいになってきたぞ。
だがしかし、いかにベタだろうがベタベタだろうが、これまでまったくモテず、女子と付き合うどころか、まともにしゃべりもしたことのない俺だ。ここでついに俺の灰色の高校生活にさよならして、人生の春を満喫してやるぜ!
と、思っていた。
赤面しながら、思いを告げた彼女がドロドロと溶けだすまでは。
作品に対する感想は随時募集中です。よろしくお願いします。