☆一年が経った
前回更新日 2015/4/16
前回のお話 マリー視点
俺がこの国に来てから一年が経過した。
事業に関してははまだまだ好調だ。
資産に関しては使い切れないくらいまで膨らんでる。
なので拠点の改造をずっと行っていた。
まず拠点の壁だが高く強固にし物見台をつけた。
そこにはクロスボウを大きくしたものを固定している。
戦国時代の城のようなイメージだが、一般的に知られている石垣を積んでるようなものではない。
戦用の砦のようなイメージだ。
そしてさらに外側を大きく囲むように壁を作った。海側には壁が無いが殆どの獣は海から入ってこないので問題ない。
海の生物が陸に上がってきてもそう慌てることなく対処もできるはずだ。
内側と外側の壁の間には集合住宅を建てれるだけ建てた。
三階建て程度のものが多く一階を店舗に使えるような形状にしている。
そして他の町からの移住も募集した。
実は住人を募集するときに町ともめたのだ。
壁の外に住まれると税収も下がるし当たり前のことだろう。
俺としては保護を求めるような女性を助けるために引き取っていたのだが、そうするとどうしても男性が足りなくなる。
そんなわけで独身の男性を中心に町への移住を募集したのだ。
そういう理由のため別に町ともめるつもりもなかったので商業ギルドを通して話し合いをした。
その結果、内壁の外の住人からは徴税し、一部を俺の経費として引いた後俺が税金として納めることで話しがついた。
町としても責任を負う必要もなくある程度の税収だけが上がることになるので文句は無いようだ。
俺は拠点で働いてくれれば商売の利益が上がるので別に問題もない。
そんな感じで良好な関係は保てそうだったが、念のために軍事関連にも力を入れることにしている。
最悪逃げるための船の用意も徐々に行っているのだ。
その一環としての壁の強化と物見台というわけである。
それ以外には物見台に取り付けてるものと同じ弓を複数つけた船を量産中だ。
逃げるときにも使う予定だ。
逃げた後に俺の奴隷達が路頭に迷わないように、サーシャさんには俺が犯罪者として扱われた場合には残った奴隷を解放しても
らうようにお願いしている。
さらに幾らかの資産を預けてあるのでそれの分配もお願いした。
俺としては全くもめてもないし事を構えるつもりはないのだが出る杭は打たれるというか、保護範囲外に住んでる俺が誰かに襲
われて資産を奪われてしまうということはありえるだろうと一応警戒だけはしているわけなのだ。
正直日本に居た頃の異世界のイメージがあるので、権力のある人を全く信用してないということだ。
こんな感じでこっそりと軍備を行っているので町には警戒はされてないはずである。
今でも普通に商売や保護奴隷の引き取りなどのために町に繰り出してるが今まで通りである。
こうして護身のための準備を行うことによって、皆の荒事への対応練度が上がってきた。
切も良いので以前から考えていたこの地域以外へも足を運んでみようかと考えだした。
旅行兼商品の売り込みである。
その為の馬車も新たに作っておいてた。
中で寝泊まりができる形にしている。
今回の旅で利益を上げるつもりは無いので、積載商品は少なめだ。
ここで問題なのは残るメンバーの選定である。
俺が居なくても長期運営ができるものと言えば初期メンバーになるが、長期間の旅となるとそのメンバーを連れて行きたい。
皆との話し合いの結果ユーリには残ってもらうことになった。
これには二つの大きな理由がある。
一つ目は俺の代わりに拠点の面倒を見てもらえるものということ。
もう一つは俺に何かがあった時に資産を引き継ぐものということだ。
そしてユーリの補佐としてアリシアにも残ってもらう。
連れていくメンバーはカチュアと荒事担当の者たちの計七人となった。
馬車には四人ずつ乗ることになる。
メンバーも決まり出発日も決まったので準備を開始した。
出発日迄は居残り組へのサービスを行う日々になりそうだ。
相変わらず遅いですが暖かい目で見てやってください。
魔王が出たり戦争で英雄になったりなどという展開ではなく、できるだけ一般日常的な話しにしたいです。でも大商人になったのでそれなりに冒険してもいいかな?




