☆町の食堂
前回投稿 2015/3/10
前回のお話 奴隷として引き取るのではなく従業員として保護されてる子を引き取ることを考えた。
拠点に戻り夕飯の時間になった。
自宅に同居してる者だけだがもう一度解放についての意見を聞いてみた。
自分から出て行かない限りは生活を保障すると説明したがここにいてる皆は誰一人解放を望まなかった。
俺と離れたくないので強制的に一緒に居られる今の立場には、子供が作れないという事以外のデメリットが何もないから絶対に解放はいやだといわれた。
嬉しいが女性にとって子供が出来ないことは最大のデメリットではないかと思う。
今更になるがこの奴隷には子供ができないということの理由を説明する。
まず労働力としての奴隷に子供ができると労働力が下がり主が困るということと、役立たずとなった奴隷が捨てられる可能性が出るということがある。
それ以外には気に入った奴隷に子供を産ませたいと思った時に解放するしかないため地位の向上が見込めるというのも理由だった。
そんなわけで子供は出来ないがおそらく随時低年齢の奴隷も増えていくだろうからそういう子を自分達の妹や子供のように育てることも出来るから問題ないとのことだった。
地域で子供を育てるという今の日本に無くなった意識があるのは良いことだと思う。
そして数日が過ぎた。
この数日間は俺も遊んでいたわけではない。
というか今までも遊んでるつもりはなかったが、ただ女の子達と話してるだけの日々を送っていたことと比べると忙しかった。
町で食堂を開く為の物件を探していたのだが良いところが見つかった。
人通りがそう多くない場所であったため以前の店は旨く行かず設備がそのまま使えるのだ。
正直儲からなくても良く今後のための修行の場となればいいので場所は気にしていない。
いくら人通りが多くないとは言っても毎日誰一人来ないということはないだろう。
それに俺の店には魚という武器がある。
ものの相場をあまりに下げるのは良くないのでそれなりの価格で販売することにはなるが、それでも庶民が無理すれば食べれるような価格設定で出そうと思っているのだ。
魚の原材料は掛かっていない。奴隷と俺の労働力くらいのものだがそれを一般的な食品の数倍の値段で売るわけだからかなりの儲けがでる。
そのまま使えるといっても補修などは必要になるので、木工部隊を連れてきて改修してもらうことにした。
改修が終了するまではこの建物に寝泊りする事になるが俺は拠点に戻る必要があるため念のためにクレアに許可証を渡しておいた。
この建物は俺のものなのでこの中に居る限りは許可証は必要ないのだが、生活用品を買いに行ったりと外に出ることもあるだろうと思ってだ。
先日店舗の契約に訪れたときに拠点の建築要員を頼んでいたのでギルドに向かった。
それと町の食堂の用心棒として警備員を二人ほど探してもらうことにもしたのだ。
通常は家族経営しており男手があることが多いだろうが、今回は女性だけの店となる。
酔っ払い絡んでくる客も考えられるので三人の安全を考えて警備の男性を雇うことにしたのである。
建築要員は確保してもらっていたので、今から呼び出してもらえることになった。
集まってくれた人たちは直ぐにでも動けるということなのでそのまま拠点に連れて帰る。
今回頼んだのは集合住宅の建築だ。
今後も色々な人が増えていく可能性もあるため宿以外にも住居を増やそうと考えた。
基本的にはワンルームのアパートのような形と思っている。
壁で囲った敷地内に建てれるだけ立ててもらうよう依頼した。
中心に公衆浴場もあることだし生活しやすい一帯となると思う。
それからさらに数日が経過し町の店舗の改修が完了したので従業員を連れて町に向かった。
まだまだ新人三人だけだと不安が残るためユーリに店舗の監督を任せようと思ったのだが俺から離れることを嫌がった。
俺のところに来たばかりの頃は素直に何でも聞いてくれたのにいつの間にか我侭になったようだ。
特に困ることもないのだが奴隷の主としての振る舞いを間違えてるのだろうか。
無理を頼む代わりに定期的に二人きりで過ごす時間を作ると提案するとすんなり受け入れてくれた。
この国では殆どの人が生きるだけで精一杯のため特に休日等を設けていない。その為俺も含めて奴隷達にも休日はなかったのだ。
今回のことでユーリも初めて本当の意味での休日を与えることになると思うのだが、今後皆にも休日を与えていかないといけないだろうと思う。
奴隷の身であれば休日をもらったからと言って何か出来るわけではないのが可愛そうだと思う。
こうしてひっそりと町の食堂はオープンすることになった。
まずは明日の朝に魚を運んでくる必要がある。
漁を空が白んできた頃からはじめ直ぐに町に運ばないと昼食に間に合わないので皆にも無理を頼むことにした。
その分夕方の仕事を早めに終えるか、日中に長時間の休憩を入れるかを考えようと思う。




