strong girl3
ユキトが転校してきてから、数日が経った。
相変わらず私は、力仕事の時に呼ばれるんだけど、なせだかその度にユキトがついてくる…
毎回大丈夫だって言ってんのに、返ってくるのは"女の子"なんだから、だけで。
その度に、なんかモヤモヤする………
「セナ! 帰ろー」
「あっ、うん!」
友達に呼ばれてはっとした。
うん! もう気にしなくていいや!
何が"女の子"だし!! バカにするなっての!
「セナさ、なんかユキトくんと仲良いよねー?」
「はい!? どこが?」
驚いて立ち止まってしまった。
「だって、セナが先生とかに呼ばれると、いっつもついてくしー?」
「それはユキトが勝手に着いて来てるだけじゃん!」
「えーでもー…」
…はたから見てる人には、仲良しに見えるのか……
「じゃーねー」
そんな話をしていたら、いつのまにか友達が帰る駅に着いていた。
「あ、うん、また明日!」
……ユキトかぁ………変なやつだよなぁ。
あんだけ私が力仕事任せられてるの見たのに、"女の子"なんだから、とかって…
…そういえば、"女の子"扱いされるのって、初めてかも……?
気づいたら、商店街の方まで歩いて来ていた。夕方だから、結構混んでる。
やばいな私…最近ぼーっとしっぱなしじゃん! 無意識に歩いてることが多々あるような………
「きゃーっ!!」
え!!? 何!?
いきなりの女の人の悲鳴。
見ると、自転車が倒れていて、側に女の人がいる。
「引ったくり!!!」
何!? 引ったくりだとぉー!!?
男の人がこっちに走ってくる。
あいつか!!
この私の近くで、堂々と犯行に及ぶなんて…運の悪い犯人だ!
「待ちなさい!!」
犯人の前に立ちはだかる。
「!?」
不意をつかれたのか、うろたえる犯人。
「逃げられると思ったら………」
それは私が飛びかかろうとした瞬間だった。
犯人の手に、銀色にキラリと光るものが目に入った。
やばい…! 相手凶器持ってる…!?
相手が凶器を持ってる場合、迂闊には近寄れない。
でも…このままじゃ、周りの人たちも危ない!
それに、手を攻撃して、払い落とせればいけるかもしれない。
…行くしか、ない!!!
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
包丁らしきものを振り回しながらこっちに向かってくる犯人。
やばい! これじゃ取り押さえられない!!
「おおおおおおお!!!」
やられる!!!!!
…と、私が身構えた瞬間だった。
ドッ、と、人が倒れる音がした。
え…? まさか、他の人が!?
恐る恐る前を見てみると、…犯人が倒れていた。
そして…
「えっ!? ユキト!!?」
そこにはユキトが立っていた。