Never give up! 2
それは、いつものごとく、一緒に帰ろうと言われ、駅に向かっている途中だった。
「あ、あのっ。裕樹くん!」
顔を真っ赤にして、裕樹に話しかけたのは、超かわいい女の子。
「何?」
裕樹が立ち止まる。
「その…私…、裕樹くんのこと好きです!! 良かったら…私とつきあってください!」
おおお!! リアルに告白だ…!
「…ごめん」
え? 裕樹?
私が告白に感動している側で、裕樹はそうつぶやいた。
いや…ごめん、って!! 短すぎないか!?
「…わかった」
かわいい女の子は、そう言って走って逃げてしまった。
「ごめん、桜子。帰ろっか」
いやいやいや!
「いや私なんかどうでもいいから! あの子…いいの?」
「いいの、って…俺、あの子のこと、全然知らないんだぜ? そんな人からいきなり好きとか言われても……」
やっぱり、裕樹から離れた方がいいな。
これ以上一緒にいて、好きになったら、辛いだけだ。
あんなにかわいい子に、見向きもしないんだもん…
私なんか蚊帳の外の外だ。
もう一緒に帰るのも、今日で最後にした方がいいかな…
うん、部活終わったら、すぐに帰ろう。
普通の日は、友達のところへ行けばなんとか…
「なぁ、桜子。ちょっと相談してもいい?」
「えっ?」
何だいきなり?
「ああ、うん。私でよければ…」
って! ダメじゃん!! もう仲良くするのやめなきゃなのに…
でも、めっちゃ真剣な顔してるし。
困ってるなら…ほっとけないよね。
「俺さ…」
「うん?」
「俺…好きな人がいるんだ」
!!!!!
「へ、へぇー。それで? 相談は?」
できるだけ、平静を保って言った。
裕樹から目を逸らす。顔見てたら、まともにしゃべれないから。
「その子…俺は、結構仲良くしてるつもりなんだけどさ。全然俺の気持ちに気づいてくれなくて。好きだってバレるようなこと、たくさんしてるのに。…どうしたらいいと思う? やっぱり、俺のこと、なんとも思ってないのかな」
裕樹でも、悩んだりするんだ。
裕樹、その子のこと、すごい好きなんだな…
「そんなことないんじゃない? ただ単に、裕樹のサインに気づかないだけだよ! もっとアピールしてみなよ」
私には、こんなことくらいしか言えない。でも、裕樹をなんとも思わない女子なんかいないよね。…そんなことは言えないけど。
「そっか。そうだよな! じゃあ、そうしてみる。ありがとな、桜子」
「うん、大したこと言えなくてごめんだけど」
「そんなことないよ。それじゃ、また明日!」
「うん、バイバイ…」
手を振る腕に、力が入らない。
…やっぱり、多少なりともショックだよ。
もう、私、裕樹のこと…好きになっちゃってたのかな…
でも、まだ大丈夫! 諦められる!!
この際、裕樹には、恋を成就させてもらおう! そうすれば私だって、諦めつくから。
裕樹の好きな人、か。
どんな人なんだろう…