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天を仰げど  作者: ゆぅ
2/2

episode#2


「おはようございます」

「はい、おはよう」




 先生の声や生徒の声が聞こえてくる。そう、ここの生徒なら誰もが知ってる挨拶週間だ。

入学式が終わってちょうど1ヶ月後に実施される挨拶運動で、新入生が最もだらける時期がこの5月なのである。



生徒会に風紀委員などが毎朝、登校時間である8時からの30分間、正門前に立って、生徒の風紀など身だしなみをチェックするのが目的であり、ついでに挨拶という感じで2週間程度行われる。大概、注意されるやつは決まっており、教室に入って黙って机につっぷすやつは、この挨拶運動に参加したのだとわかる。単に夜更かしをして睡眠不足で寝るやつも中にいるが、この時期だと余計に挨拶運動で注意を促されたんだろうとおおむねおもう。



僕はそんな億劫なことは嫌いだから最初からきちんとした身だしなみで登校するわけだが、佐奈がお隣ということもあり、寝起きの悪い僕を姉の特権みたく起こし来てくれる。そこはとても感謝するところで、むしろ嬉しくもあるんだけど、なんせ洗顔するところから、寝癖を整えるところまでじっくり観察される。いつ頃からか忘れたが、毎朝、佐奈が

僕の身だしなみを気にするようになった。その甲斐もあってか、挨拶週間が始まってからまだ1度も注意されずに済んでいる。



で、雄太はというと、きっちり注意を受けている。こればかりは幼馴染の僕が言ったところで、改善するのは当の本人なわけで、助けてあげることはできない。雄太も僕の目から見れば、普通だとおもうんだけど、この学校は市内でも風紀面で厳しく、そして学業に専念するイメージがもたれている分、指導する側も手を抜けない。1度ついたイメージはなかなか変えることは難しい上に、1度でも不祥事を起こせば、いっきにイメージも悪くなる。ゆえに、あるべき姿を保とうと躍起になる先生もいる。結良町は人口が多くて、子供もたくさんいるため入学してくる生徒を1人でも多く我が高校に入れたいという校長の考えもあり、悪いイメージよりかは多少、風紀等に厳しい学校であると認知されるほうがいいのだろう。




雄太が毎日用意する必死な言い訳に、努力のベクトルが間違ってるとおもいつつ、懲りないやつだなと半分哀れみを含んだ目で「僕は先に教室に行ってるから、また後で」とコンタクトし、門をくぐった。



上履きに履き替えて、1-Aの教室に入る。1年はランダムに分けられた5クラスで編成されており、4階建て校舎の2階を使っている。2年生は3階という具合だ。こんなところまで縦社会になっているんだなとおもった。中学の頃は

その逆で1年が最上階だった。その理由は1階に購買部があり上級生が人気のある惣菜のパンなどを勝ち取るためにと

生徒会に頼んで、校長にもお願いをしたところ実現した。高校ではそんなこともなく、わりと穏やかである。途中で列を割ってはいる輩は居ない。何故なら、厳しい先生が見張っているからである。




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