第3話 奇妙な入学式
周囲にはタクシーが整然と並んでいる。
よく見たら全ての運転手が同じような顔つきをしている。
周囲は生徒しかいなく親のすがたは見当たらない。ざっと200人はいるだろうか。全員、困惑している。
春を感じさせるように僕の視界がピンクに染まっていく。さっきまでの不気味さが4月の温かみによって溶けていく。
木々が等間隔に植えられている。見た感じだが寸分の狂いもない。花びらの散り方さえも全て同じように見えてくる。
「入学式の会場はこちらです。押さないように気をつけて進んでください。入学式の会場はこちらです」
微かに聞こえた声に、僕は視線を向ける。体育館の方にいる女性が声をかけていた。言葉を覚えたばかりのインコのように同じ2文だけを延々と繰り返している。
タクシー運転手を探すもどこにもいない。いつの間にかタクシーとともに消えていた。探そうとも思ったが、周りの生徒の流れに合わせて進んでいくことにした。
体育館に入ると約半数は座っている。誰も微動だにしない。
体育館内は空気が固まっていて、押しつぶされそうだ。
その中でも先生はまだ入学式の準備をしていた。
「どこでもいいので赤色の席に座ってください。後ろの青の席は座らないようにしてください」
僕はステージへ向かう真ん中の通路をまっすぐ歩いていく。
座ったときにはもうほとんどの人が着席しており、ここで親と思われる人たちがゾロゾロと入ってきた。
母親はどこにも見つからない。周りの生徒も見つけていないようだ。椅子の空き場所は一つ。通路の真横だ。
僕は隣の女の子に話しかける。
「はじめまして、氷室です。これから3年間よろしく。」
急に話しかけると、驚いて固まったが、すぐに笑顔になった。
「初めまして、小林だよ。よろしくね」
友達としてはうまくやっていけそうなタイプだな。あれ?隣にいるのは誰だ?
「君の志望理由を聞かせてくれないかい?周りの意見が聞きたくてね」
少しためらったが、話し始めてくれた。
「ここで私の話す内容は誰にも言ってはいけない。ちなみに証拠は必ず残る」
急に声色が変わり、僕の耳に顔を近づけてきた。そして語り始める。
「新設校なのにここまで人が集まったのはなぜだと思う?」
確かにそうだ。それには必ず理由がある。僕はオープンハイスクールもいってないし、自宅で受験をした。他人の受験の情報は何も知らない。
一つ、中学の時に宣伝をみかけた。確かに魅力のある宣伝ではあったが人間は最初、疑いから入っていくものだ。
「半分はね、君と同じヒトなんだよ。全ては彼の掌にある」
そう言って僕から離れていった。
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