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第9話 停学者

「何もしないまま停学を受け入れる。もしくは、ボタンを押す。君はこの2択に迫られている」

 

 これは、高校からの支給品である以上、すべてを可能性の範疇(はんちゅう)に入れておく必要がある。

 彼は僕の言葉に頷き、ボタンを押し始める。

 

「あと5分以内に参加できなかった人は停学となる」

 

 僕はもう一度、名簿を見返して番号のない席を探す。

 

「2番と16番、そして25番か」

 

 と誰にも聞こえない声を発する。3人に共通する特徴があるのではと思い、まずは外見を観察する。集中が限界まで達した時に、

 

「参加できたー。よっしゃー」

 

 中川の声が教室中に響きわたった。

 

「おめでとう」

 

 初めて喜んでいる顔をみた。さっきまで少しイキっている感じがあったけど、

 

「うるさい。少しは周囲のことも考えろ」


この言葉は彼の顔を真顔にさせた。僕はあることを思った。


こいつの根は真面目だ。もしかしたらこれが入試においていちばんの加点材料になっていたのかもしれない。

 入試での合格基準が定めきれていない。どんなやつらがこの高校にはいるんだ?

 先生が時計を確認する。

 

「それでは2番と16番は1週間の停学とする。まずはマップをみて校長室を訪ねなさい」

 

 2番の生徒は反抗して先生に殴りかかろうとする。だがそれを冷静に1番がとめる。

 

「退学になりたいの?」

 

 その一言で彼の動きはとまる。その後バッグを持ってすぐに教室から出て行った。あと追うようにして16番も出ていく。

 

「今から名前の設定をおこなう。どんな名前にしようが自由だが、こちら側が不適切と判断すればこれからは番号で呼ばれることになる。その点は気をつけるように」

 

もちろんメールでの回答だ。そして僕は

 

作兎(さくと)

 

 と入力し、教室内に設置されているたった一つの時計を(にら)んだ。早川は全員が入力したのを確認し、次の連絡を始める。

 

「すべてはメールに書いてある通りだ。今から時間を与える。詳しい説明や質問が聞きたい場合はあとで挙手してくれ。クラス全体に共有しておこうと思う。それでは20分間の時間をとる。先生は用事があるので出るがくれぐれも騒がないように」

 

と言って去って行った。

読んでいただきありがとうございます!

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