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三題噺もどき5

自宅待機

作者: 狐彪
掲載日:2026/03/05

三題噺もどき―はっぴゃくさんじゅうろく。

 




「……」

 暇だ。

「……」

 やることがないわけではない。

「……」

 来週には学年末テストがあるから。

「……」

 勉強をしないといけない。

「……」

 それでも。

「……」

 ひまだ。

「……」

 一応、机には向かっているのだけど。

 何も手につかず、スマホを片手に時間を溶かしているだけだった。

「……」

 レースカーテンの引かれた窓から、程よく晴れた空が見えている。

 最近は1日置きに雨が降ったり、こうして晴れたり、天気も気温も忙しない。

 まぁ、でも、今月に入ったあたりからは割と気温は落ち着いてはいるのか。

 毎日、学校にいる間は、昼間は暑いと思いながら生活している。

「……」

 去年の3月がどうだったかは覚えていないのだが、さすがにこんなに暑くはなかった。

 と思う。もう少し、春先の冷たさというか、なんというか……まださすがに寒かった日があったのでは。どうだろう……3月なんてこんなものか。

「……」

 今は室内というか、家の2階にある自室に居るので、少し寒い。

 この部屋には陽が入らないから、昼間だろうとなんだろうと少々冷えている。冬場なんて、冷凍庫の中にでも放り込まれたような気分になれる。

「……」

 学校では今頃、制服を着た中学生がせっせと問題を解いている頃だろう。

 地元の高校なので、大抵は見慣れた中学の制服が並んでいる事だろう。あそこに受験に来るのは、この辺りの中学……2校くらいだろう。他から来ることはないのでは……。

「……」

 その内、1校は私も通っていた中学だ。

 あの子と、初めて会ったのは、中学だった。

 話すようになったのは、実は中3になってからだったりする。

 クラスが違ったし、私は所謂転校生という立場だったりしたから。

「……」

 中2の中途半端な時期に転校してきた。もう少し経てば、山をもみじが彩ろうと言う時期だった。校庭の銀杏の端が黄色くなり始めていたはずだ。

 まぁでも、元々小学はこちらの学校に通っていたので、顔見知りはいたのだ。

 そういえば、あの子は小学も同じはずだけど、その頃は会ったことはなかったな……惜しいことをしている。

「……」

 幼なじみと言うのもまぁ、いなくはなかったが……アイツとは色々あったので、登校手段が変わった3年の頃に交流を断った。あれ以降関わりはない。高校も違う場所に行っている。

 まぁ、おかげであの子に会えたと思えば。

「……」

 暇だ。

「……」

 学校が休みというのは、あまり私にとってメリットがないんだよな。

 嫌いな教師に会わなくていい、嫌いな授業を受けなくていい、嫌いなスカートを着なくてもいい。……家にいると思いだすようなことを、考えなくてもいい。

 そういうメリットはある。少なくとも。

「……」

 だが、あの子に会えないのもあるし、家に居ると何もやる気が起きない。

 本を読む気にもなれないし、音楽を聴く気にもなれない。

 昼夜関係なく、遠くから聞こえるサイレンに、思いだす事がある。

 何よりもう、あの子と話が出来ないのが一番大きい。……気がする。

 やるべきことはあるのに、出来ない、しない、と言う罪悪感みたいなものがじわじわと沸き上がりつつある。ならばさっさと手を動かせと言うところだが、それが簡単にできれば苦労はしない。

「……」

 でもいい加減何かはしなくては。

 とはいうが、何をするんだと言う感じはある。

 テストに向けての勉強って、何をどうしたらいいのか正直分からないよな……学年末なんて特に分からない。

「……はぁ」

 暇だ。

 何もしたくない。












 お題:もみじ・制服・スカート

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