自宅待機
三題噺もどき―はっぴゃくさんじゅうろく。
「……」
暇だ。
「……」
やることがないわけではない。
「……」
来週には学年末テストがあるから。
「……」
勉強をしないといけない。
「……」
それでも。
「……」
ひまだ。
「……」
一応、机には向かっているのだけど。
何も手につかず、スマホを片手に時間を溶かしているだけだった。
「……」
レースカーテンの引かれた窓から、程よく晴れた空が見えている。
最近は1日置きに雨が降ったり、こうして晴れたり、天気も気温も忙しない。
まぁ、でも、今月に入ったあたりからは割と気温は落ち着いてはいるのか。
毎日、学校にいる間は、昼間は暑いと思いながら生活している。
「……」
去年の3月がどうだったかは覚えていないのだが、さすがにこんなに暑くはなかった。
と思う。もう少し、春先の冷たさというか、なんというか……まださすがに寒かった日があったのでは。どうだろう……3月なんてこんなものか。
「……」
今は室内というか、家の2階にある自室に居るので、少し寒い。
この部屋には陽が入らないから、昼間だろうとなんだろうと少々冷えている。冬場なんて、冷凍庫の中にでも放り込まれたような気分になれる。
「……」
学校では今頃、制服を着た中学生がせっせと問題を解いている頃だろう。
地元の高校なので、大抵は見慣れた中学の制服が並んでいる事だろう。あそこに受験に来るのは、この辺りの中学……2校くらいだろう。他から来ることはないのでは……。
「……」
その内、1校は私も通っていた中学だ。
あの子と、初めて会ったのは、中学だった。
話すようになったのは、実は中3になってからだったりする。
クラスが違ったし、私は所謂転校生という立場だったりしたから。
「……」
中2の中途半端な時期に転校してきた。もう少し経てば、山をもみじが彩ろうと言う時期だった。校庭の銀杏の端が黄色くなり始めていたはずだ。
まぁでも、元々小学はこちらの学校に通っていたので、顔見知りはいたのだ。
そういえば、あの子は小学も同じはずだけど、その頃は会ったことはなかったな……惜しいことをしている。
「……」
幼なじみと言うのもまぁ、いなくはなかったが……アイツとは色々あったので、登校手段が変わった3年の頃に交流を断った。あれ以降関わりはない。高校も違う場所に行っている。
まぁ、おかげであの子に会えたと思えば。
「……」
暇だ。
「……」
学校が休みというのは、あまり私にとってメリットがないんだよな。
嫌いな教師に会わなくていい、嫌いな授業を受けなくていい、嫌いなスカートを着なくてもいい。……家にいると思いだすようなことを、考えなくてもいい。
そういうメリットはある。少なくとも。
「……」
だが、あの子に会えないのもあるし、家に居ると何もやる気が起きない。
本を読む気にもなれないし、音楽を聴く気にもなれない。
昼夜関係なく、遠くから聞こえるサイレンに、思いだす事がある。
何よりもう、あの子と話が出来ないのが一番大きい。……気がする。
やるべきことはあるのに、出来ない、しない、と言う罪悪感みたいなものがじわじわと沸き上がりつつある。ならばさっさと手を動かせと言うところだが、それが簡単にできれば苦労はしない。
「……」
でもいい加減何かはしなくては。
とはいうが、何をするんだと言う感じはある。
テストに向けての勉強って、何をどうしたらいいのか正直分からないよな……学年末なんて特に分からない。
「……はぁ」
暇だ。
何もしたくない。
お題:もみじ・制服・スカート




