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乙女ゲームに悪役令嬢は存在しないらしい

掲載日:2026/01/31

「乙女ゲームには悪役令嬢っていないんだよね」

「はあ」

親友のありさがそんなことを言い出した。

話は数分前に遡る。


「この世界は本当は乙女ゲームだと思ってるの、わたし」

「は?」

私の隣に座ったありさはスケート靴の紐をしばっている。

「あ、乙女ゲームってわかる?」

「わ、わかるけど…」

プレイしたことはない。だけどネット小説の舞台によくなっていたから知っていた。

「私、乙女ゲームのヒロインなんだよね、…あ、頭おかしくなったと思ってるでしょ」

「…ううん、続けて?」

「この世界って、乙女ゲームなんだよね、ほら、物語の中の人間は自分達が物語の中にいるなんて考えないよね、それと同じでみんな、そんなこと気付かないし気にしてないの」 

「まあ、そうでしょうね」

「それで、私はこの世界に転生してきたの、ゲームの中に転生ってちょっとおかしいけど、ただにてるだけの世界なのかもしれない」

ありさが靴の紐を結び終わったが、まだ話を続けるらしい。私の方に近づいてきた。

「私ね、高校の時、めちゃくちゃモテたのね、まあ顔も可愛いし、有名だったから。学校でも有名なイケメンたちにね」

「なに、自慢?」

「まあ聞いてよ、それで、その人達みんな聞き覚えある名前だったから、思い出したら、それ、前世プレイした乙女ゲームのキャラだったんだよね」

「なに、前世の記憶ある系だったの、ありさ」

「そーなの、私、前世の記憶があるのよ」

にやりと笑うありさ。

「でね、その乙女ゲームはパラメーターを上げる式の乙女ゲームだったの。RPGみたいに賢さとか運動とかのパラメーターがあって、それにイケメンたちが惹かれてくるの。それで、頑張ればヒロインも何か才能を評価される事ができるの。どんな才能でもね。ヒロインは、金の卵だったのよ」

わたしね、とありさは続ける。

「前世もフィギュアやってたの。でも、結果は出せなかった。少し上手い人で終わっちゃった。努力はしてたわ。だけど、フィジカルが全然足りなかった。これは才能だから。それで、そのまま、病気で早死にして…、ここにいるの。」

悔しそうな表情だった。まるで、本当にそんな経験をしたみたいな表情。

「私は、今度こそフィギュアで頂点を取りたいのよ。だから、ヒロインの体が手に入ったのは願ったり叶ったりだった。この子の体はフィギュア向きよ。顔も小さくて、手足も長くて、間接が柔らかくて…。妖精みたいな体型で…。」

前世の私と全然違うの。と言った。

「私、ヒロインがこの体を返してって言ってももう返せないわ。だってね、どんなに努力しても手に入らなかったものがあるのよ。ねえ、アナスタシア、あなたは、もしそんなことがあったら、自分の体を渡せる?」

「渡せないわ」

だって、それでもここまで頑張ってきたのは自分なのだ。

「そうよね、だから、あなたにこの話をしたの…。」

「ねえ、悪役令嬢はなにに関係があったの?」

「ああそう、それはね…。あなたが本当なら、私のいた学校に来て、ライバルキャラになるはずだったから、悪役令嬢じゃなくてね。乙女ゲームには悪役の女キャラってあまりいないのよ。それに悪役令嬢って用語も伝わったし、あなたも転生者なのかなと思ったから、どう?」

ありさはにこっと笑った。天使みたいな笑顔。だけどその下には悪魔みたいな、競技への執念がある。

「…どうかしらね」

「とぼけるの?まあいいわ、でも私はね、あなたをヒロインのライバルだと思ってるから。氷の上でのね。ちゃんと向き合いたかったの」


私は言い返す。

「ヒロインね、まだ自分をそう思うのは早いんじゃない?私はこれまで互角だった。だけど、今回はそうはいかないわ」 

こう言うと、ありさはいたずらっぽい笑みを浮かべて言う。

「ま、そうね。そもそも私、ヒロインとか悪役令嬢とか、そういう観念好きじゃないのよね、だって…。」


「みんな、自分の人生の主人公じゃない?」

そう笑うありさは確かにヒロインっぽかった。

「…そろそろ私の出番だわ」

「あ、そう。頑張ってね、アナスタシア!負けないけど!」

「ふん」

私もスケート靴を縛る。

ここは大きなスケートリンク。舞台はオリンピックだ。私達は今氷上で戦おうとしている。


「本当はね、ありさ」

「なに?」

「私も転生者なの」

「…そう」

ありさと違って好きなのは悪役令嬢ものだったけど。ヒロインが嫌いだったから。だって、恵まれているから。私は前世フィギュアをやりたかったけど、家にお金がなくてそのための機会すら与えられなかったから。だから、ヒロインが嫌いだった。

だけど、ありさに言われて気づいたのだ。誰だって誰かにとってのヒロインだったり、悪役令嬢だったりする。それが視点で変わるだけ。私にとっての悪役令嬢は…、いや。

「私にとってもあなたはライバルよ、ありさ。だけどー、負けない。」

彼女は悪役ではない。ただの対等な、私のライバルだ。


テレビでフィギュアやってて思いついてそのまま書いたのですが、知識がほとんどないので会話劇で終わってしまいました。ありさとアナスタシアはそれぞれ別の国のスケート代表選手で、いまぶつかるぞ!という設定です。分からなかったらすみません。

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