魂の8割
AI、そして母との共同執筆です。
イライジャとシオンは、ギルドでも稀に見る「共鳴」したバディだった。
思考の八割が一致しているかのように、一人が動けばもう一人がその意図を完璧に汲み取り、動く。
彼らにとって、互いは鏡であり、最も信頼できる半身だった。
だが、その「八割の共鳴」が悲劇の引き金となった。
あるダンジョンのある階層。
休息中、イライジャが何気なく口にした「松明の置き場所」というほんの些細なこだわりが、シオンの逆鱗に触れた。
「なぜ分からないの!? 効率を考えれば、そこじゃないでしょう!?」
「効率? 僕は安全を優先して言っているんだ!君なら分かるはずだろ!」
普段、完璧に理解し合えていたからこそ、残りの二割の「ノイズ」が耐え難い不快な波となり二人に押し寄せた。
それはまるで、完璧に研ぎ澄まされた名剣の刃に、たった一箇所だけついた小さな刃こぼれのようなものだった。一度それを見つけてしまえば、他の部分がいかに切れようとも、その些細な欠けばかりが気になって仕方がなくなる。
二人は互いに己の正しさを押し付け合い、その「刃こぼれ」を削り落として、再び完璧な一振りになろうと躍起になった。
だが、しかしここはダンジョンという危険領域である。
言い争いに没入し、互いの「欠陥」をなじり合っていた二人は、背後から忍び寄る「影」に気がつかなかった。
完全無欠の連動を誇っていた二人の足並みは、怒りと失望というノイズによって決定的に狂っていた。
モンスターの気配を感じ、回避行動をとった二人。しかし、タイミングが、一秒、いやコンマ数秒、ズレてしまった。
モンスターの爪がイライジャの脇腹を裂き、彼を庇おうとしたシオンの喉を別の牙が貫いた。
冷たい石畳の上で、二人は重なり合うように倒れた。
溢れ出す血が混ざり合い、ようやく二人は気づいた。
「……あぁ、そうか。……シオン、君は、君だったんだな……。」
「……ええ。全部、同じじゃなくて……よかったのに……。」
完璧な剣など、この世には存在しない。
戦いの中で刃はこぼれ、傷つき、それでもなお獲物を断とうとするその不完全な歪みこそが、共に歩んできた「共有」の証だったのだ。
互いを自分の色に染め上げようとした代償は、あまりにも重く、そして冷たかった。
二人は、残りの二割の「分かり合えなさ」を愛おしむ時間さえ与えられないまま、その不完全な鼓動を同時に止めた。




