表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

99/104

魂の8割

AI、そして母との共同執筆です。

イライジャとシオンは、ギルドでも稀に見る「共鳴」したバディだった。

思考の八割が一致しているかのように、一人が動けばもう一人がその意図を完璧に汲み取り、動く。

彼らにとって、互いは鏡であり、最も信頼できる半身だった。

だが、その「八割の共鳴」が悲劇の引き金となった。

あるダンジョンのある階層。

休息中、イライジャが何気なく口にした「松明の置き場所」というほんの些細なこだわりが、シオンの逆鱗に触れた。

「なぜ分からないの!? 効率を考えれば、そこじゃないでしょう!?」

「効率? 僕は安全を優先して言っているんだ!君なら分かるはずだろ!」

普段、完璧に理解し合えていたからこそ、残りの二割の「ノイズ」が耐え難い不快な波となり二人に押し寄せた。

それはまるで、完璧に研ぎ澄まされた名剣の刃に、たった一箇所だけついた小さな刃こぼれのようなものだった。一度それを見つけてしまえば、他の部分がいかに切れようとも、その些細な欠けばかりが気になって仕方がなくなる。

二人は互いに己の正しさを押し付け合い、その「刃こぼれ」を削り落として、再び完璧な一振りになろうと躍起になった。

だが、しかしここはダンジョンという危険領域である。

言い争いに没入し、互いの「欠陥」をなじり合っていた二人は、背後から忍び寄る「影」に気がつかなかった。

完全無欠の連動を誇っていた二人の足並みは、怒りと失望というノイズによって決定的に狂っていた。

モンスターの気配を感じ、回避行動をとった二人。しかし、タイミングが、一秒、いやコンマ数秒、ズレてしまった。

モンスターの爪がイライジャの脇腹を裂き、彼を庇おうとしたシオンの喉を別の牙が貫いた。

冷たい石畳の上で、二人は重なり合うように倒れた。

溢れ出す血が混ざり合い、ようやく二人は気づいた。


「……あぁ、そうか。……シオン、君は、君だったんだな……。」

「……ええ。全部、同じじゃなくて……よかったのに……。」


完璧な剣など、この世には存在しない。

戦いの中で刃はこぼれ、傷つき、それでもなお獲物を断とうとするその不完全な歪みこそが、共に歩んできた「共有」の証だったのだ。

互いを自分の色に染め上げようとした代償は、あまりにも重く、そして冷たかった。

二人は、残りの二割の「分かり合えなさ」を愛おしむ時間さえ与えられないまま、その不完全な鼓動を同時に止めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ