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冒険者タグはなぜ壊れないのか

AIとの共同執筆です。

新人冒険者がギルドに登録した際、最初に渡されるのが金属製の『身分証タグ』だ。

それは鈍い銀色の輝きを放ち、どんなに力自慢の戦士が曲げようとしても、魔法使いが火を放っても、傷一つ付かない。

「へへっ、これだけ頑丈なら、俺たちの体も守ってくれそうだな」

そんな軽口を叩く新人に、受付嬢は決して笑いかけない。彼女たちは知っている。そのタグがなぜ、持ち主の肉体よりも遥かに頑丈に作られているのかを。

1. 最後に残るもの

ある冒険者のパーティが、地下迷宮の奥底で「それ」を見つけた。

巨大なスライムの残滓がこびりついた、湿った地面。そこには、肉も、服も、骨さえも溶けて消え去った跡があった。

だが、その泥の中に一際強く輝く「銀の破片」があった。

それが、かつて「英雄」を夢見て迷宮に挑んだ男の、唯一の遺品だった。

スライムの強酸は、人間の皮膚を数秒で溶かし、骨を数分でスープに変える。だが、ギルドが魔法銀と特殊合金を練り合わせて作ったタグだけは、スライムの胃袋の中でも、魔獣の鋭い牙の中でも、決して損なわれることはない。

2. 誰かが見つけるその日まで

タグが頑丈なのは、持ち主を守るためではない。

**「持ち主が消えた後も、そこに彼がいたことを証明するため」**だ。

魔物の糞の中から。

崩落した岩の下から。

あるいは、何十年も誰も踏み入らなかった暗闇の奥底から。

タグは、持ち主がどれほど無惨に食い散らかされ、どれほど惨めに命を乞うて死んだとしても、その輝きを失わずに待ち続ける。

いつか、別の冒険者がそこを通りかかったとき。

その輝きを拾い上げ、ギルドに持ち帰るその日まで。

3. 届くはずのない「ただいま」

ギルドの窓口には、時折、清掃員や別のパーティから届けられた「汚れたタグ」が山積みになる。

受付嬢はそれを手慣れた手つきで洗浄し、名簿と照合する。

「……登録番号8821、カイル。未帰還。死亡確定です」

彼女たちの仕事は、そのタグを遺族に届けることだ。

中身が空っぽの棺桶の上に、その冷たい銀の板を置く。それが、冒険者が家族に返せる唯一の「形」となる。

タグが破壊不能な素材で作られている本当の理由。

それは、彼らがこの世界に生きたという「最後の足跡」を、魔物の胃袋の中でも守り抜くためという、ギルドなりの残酷なまでの親切心であった。

ギルドからの報告と警告(特別編)

報告番号: ALL-REF-0000

対象項目: 冒険者規格識別票ドッグタグの取り扱いについて

概要:

本タグは、摂氏2000度の高熱、超高圧、強酸、および物理的な破砕衝撃に対して完全な耐性を有しています。

補足事項:

冒険者の皆様。

あなたがどれほど惨めに敗北し、その肉体が一片も残らず消え去ったとしても、このタグだけはあなたの名前を刻んだまま、暗闇の中で輝き続けます。

あなたがこのタグを首にかけるということは、**「自分の肉体が失われた後、この銀板一枚が自分の全存在になる」**という覚悟を背負うことに他なりません。

警告:

• タグを外すな: あなたが死んだ際、このタグがなければ、あなたの遺族には「依頼失敗の通知」すら届きません。あなたはただの「行方不明の家畜」として処理されます。

• タグを汚すな: このタグは、あなたがこの世界に刻んだ唯一の、そして最後の証拠です。

このタグが、あなたの肉体よりも遥かに長生きすること。その意味を、今一度考えなさい。

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