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餅は餅屋

AIとの共同執筆です。

不純な動機


その男、ジュリアスがギルドに現れた時、周囲の冒険者たちは一様に鼻を鳴らした。

彼はここら一帯では高名な中堅貴族の次男坊で、名門士官学校を首席で卒業したという自負を、金に物を言わせた煌びやかな鎧と共に纏っていた。傍らには、彼が私金で雇い、兵法を叩き込んだ「優秀な部下」たちが整然と控えている。

ジュリアスが冒険者になった理由は不純だった。

「どこぞの馬の骨がドラゴンを討ち、英雄として詩に詠われる。そんな底辺の成り上がりなど、歴史への冒涜だ」

真の英雄とは、高貴な血と完璧な規律を持つ者であることを証明すること。それが彼の目的だった。


華々しい初陣


ジュリアスとその一隊の快進撃は、当初、ギルドでも話題になった。

相手がオーガのような「真っ向勝負」を挑んでくる魔物であれば、彼の学んだ士官学校の陣形は完璧に機能した。

「ぬるい!やはり規律こそが勝利を呼ぶ。野蛮な冒険者どもには分からぬ理屈だ」

部下たちは一糸乱れぬ動きでジュリアスを称え、彼は確信した。冒険など、戦場の延長線上に過ぎないのだ、と。


死を呼ぶ下賤の集団


事態が急転したのは、ある薄暗い森でのことだった。

相手は、彼が「知性の欠片もない小鬼」と切り捨てていたゴブリンの集団だ。

だが、彼らは規律を持たない代わりに、交渉の余知もない「純粋な悪意」を持っていた。

先手を取られたのは、ジュリアス達の方だった。

木々の上から降ってきたのは、糞尿と死骸の腐汁を混ぜて作られた、騎士達の常識を逸脱した劇薬。

視界を奪われ、鼻を突く悪臭に陣形が乱れた瞬間、錆びた短剣を持った小鬼たちが群れをなして飛びかかってきた。

「怯むな! 第一陣形、死守せよ!」

ジュリアスが叫ぶ。だが、戦場では通用したその命令も、死の恐怖に直面した「金で雇われた部下」たちには届かなかった。

命を懸けて守りあう信頼など、そこには最初からなかったのだ。

「ひっ、助けてくれ!」

「規律など知るか!」

忠誠を誓っていたはずの部下たちは、我先にと武器を捨て、ジュリアスを見捨てて散り散りに逃げ出した。

「待て! 戻れ! 命令だ!」

ジュリアスの叫びは、喉を狙ったゴブリンの汚れた刃にかき消された。

錆びた刃が彼の喉を抉り、手足は数に勝る小鬼たちに半ば引きちぎられるようにもがれていく。

激痛にのたうちまわりながら彼が見たのは、逃げ出した部下たちもまたパニックで罠に嵌まり、あるいは数に押し潰され、自分と同じようにボロボロの肉塊にされていく光景だった。

「なんだこれは…冒険者になんか……なるんじゃ、なかった……」

冷たい土の上で、部下達の断末魔の悲鳴を子守唄にジュリアスはようやく悟った。


冒険と戦争は違うのだ、と。

戦争にはルールがあった。規律が自分達を守ってくれていた。

しかし、ここにはそんなものはない。

ここは歴史を綴るペンを持たぬ者たちが、ただただ己の生存のために泥を啜る場所だ。

彼が守ろうとしたプライドも、磨き上げた理論も、ゴブリンたちが今夜貪り食う「餌」以上の価値はなかったのだった。


まさしく餅は餅屋。

彼は高潔な戦場にさえいれば一角の将として語り継がれたかもしれなかったのに…。




番号ーG1108X

事案名:元軍騎士パーティ、ゴブリン集団による奇襲及び全滅

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