裏切りの報酬
AI、及び友人からの情報提供により作成。
「はは、悪いな!」
暗い洞窟内に、鈍い肉音とバルトの嘲笑が響いた。
ドラゴンの猛火を潜り抜け、満身創痍で宝の山を目前にしたリーダーの背に、バルトの短剣が深く突き立てられた。
「きさまぁぁぁぁ!!!!! バルトおおおおおおお!!!!」
リーダーの絶叫が反響する。だが、バルトは止まらない。隣で呆然としていた女僧侶の細い首筋を、休まず真横に喉を切り裂いた。彼女は「カハッ……」と短く空気が漏れるような音を立てて崩れ落ち、二度と動かなくなった。
共に死線を越えた仲間たちが、信頼していた男の手によって瞬く間に物言わぬ肉塊へと変わっていく。
最後に残ったのは、血塗られた剣を握るバルトと、沈黙したドラゴンの遺骸。そして、最奥に鎮座する巨大な宝箱だけだった。
「……ははっ、見ろよ。これが『英雄』たちのなれの果てだ!!!!ドラゴンさえ倒せりゃ、こいつらは用済みさ!!
この宝は全部俺様のものだぁぁぁぁ!!!!!!!」
バルトは仲間の死体を踏みつけ、震える手で宝箱の蓋に手をかけた。
血塗られた欲望が成就する瞬間。
「さあ……お出ましだ、俺の、俺だけの――」
バルトが、勝利の余韻に酔いしれながら、無防備にその「宝」へと指をかけた、その時。
――ギチッ。
木箱の継ぎ目から、聞いたこともないような湿った、肉厚な音が響いた。
「――えっ?」
次の瞬間、宝箱の蓋が「上顎」へと変貌し、バルトの両腕を肩口から丸ごと飲み込んだ。
「ぎ、ぎゃあああ!? なんだ、これ、離せ! 離せぇ!!」
箱の中から無数の岩石のような牙がせり出し、彼の腕骨を粉々に磨り潰す。
「あ、が……っ! 聖職者! 回復だ! 早くしろ、死ぬっ、死んじまうッ!!」
激痛にのたうち回りながら、バルトは反射的に背後へ叫んだ。
しかし、そこにあるのは、先ほど自らの手で喉を裂き、絶命させた女僧侶の冷たい死体だけだ。
助けを呼ぶ声は、自らが撒き散らした静寂に吸い込まれていく。
「いやだ、助け、誰か……! ぐ、あああああああ!!」
ミミックの内部から伸びた粘着質の巨大な舌がバルトを完全に「箱」の中へと引き摺り込んでいく。
彼が最期に思い出したのは、金貨の輝きではなく、自ら奪った「癒やしの手」の温もりだった。
数分後、そこにはただ、血で汚れた「空の宝箱」が静かに佇んでいるだけだった。
G2311V
事案名:バルト、及びドラゴン討伐隊の全滅
調査結果(ギルドの推測)
現場の状況から、バルトによる組織的な裏切りが行われたと推測される。
バルトは計画通りドラゴン討伐後ドラゴンとの対峙から解放された安堵、及び財宝への執着により、高度な擬態能力を持つミミックの気配を完全に失念。
宝箱の開錠を試みた際に捕食されたものと断定する。
捕食の際、バルトは同行していた僧侶に助けを求めた形跡があるが、その僧侶は直前にバルト自身の手によって殺害されており、生存の可能性を自ら完全に断絶させていた。
警告
「戦利品を独占したい」という欲望は否定しない。しかし、周囲の安全確認を怠り、かつ唯一の回復手段を自ら殺害した上で「宝箱」に手をかけた判断は、冒険者としての一線を画す愚行である。
裏切りの代償として「回復役がもう存在しない絶望」が際立つ形になりましたが自業自得といえるでしょう。




