仏の忍耐
AIと共同執筆です。
ゼノは、ギルド内でも「仏のゼノ」と呼ばれるほどの人格者だった。
誰に対しても穏やかで、どんなに無能な新人の失敗も黙ってフォローする。彼はその寛容さで、自分の内側にある深淵をひた隠しにして生きてきた。
一方でアポロは、ただただ下劣だった。
実力もないのに酒場では女を囲んで他人の悪口を吹き込み、ダンジョン内でも「腹が減った」「足が痛い」と愚痴をこぼし、挙句の果てにはゼノが必死に守った成果を「運が良かっただけだ」と嘲笑う。彼が口を開くたび、周囲の空気は腐った。
その日、最下層へ向かう静寂の道中。アポロはあろうことか、ゼノが大切にしていた「孤独な沈黙」さえも汚し始めた。
「お前さ、いつも黙ってて不気味なんだよ。本当は俺に感謝してんだろ? 俺みたいな人気者が一緒にいてやってるんだからよ」
ゼノの歩みが止まった。
彼はゆっくりと、いつもの穏やかな手つきで、鞄から無機質な黒鉄のメリケンサックを取り出した。
アポロはそれに気づかず、まだニヤニヤと唾を飛ばして喋り続けている。
ゼノは微笑んだまま、アポロの喉元を掴み、壁に叩きつけた。
「……あ、え?」
そこからは、作業だった。
ゼノは人格者らしく、非常に丁寧に、そして一撃一撃に心を込めてアポロの顔を「掃除」し始めた。
一発目は、その汚い言葉を吐き出す口を。
二発目は、他人を値踏みするその卑しい瞳を。
アポロが泣き叫び、命乞いをするほどに、ゼノの手つきはより正確に、より丁寧になっていった。
骨が砕ける音。肉が潰れる感触。
ゼノは一切の怒鳴り声を上げず、ただ無言で、アポロが生物としての原形を留めなくなるまで、その拳を垂直に落とし続けた。
最後の一撃が終わった時、ゼノは血に濡れた手をハンカチで拭い、そのままダンジョンを引き返した。
彼は真っ直ぐに衛兵の詰め所へと向かい、血のついたメリケンサックを机に置いて、静かに自首した。
ギルドからの報告書
番号ーG2311V-RND773
事案名:アポロの累積的不快指数超過による物理的消去
詳細:
ゼノは、長期に渡る忍耐の果て、同行者アポロに対し過剰な殺意を行使。
アポロは生存時、著しく知性が欠如し、かつ他者への精神的寄生を繰り返していたことが判明。
ゼノによる撲殺は突発的な発狂ではなく、環境を清浄に保つための極めて理性的かつ丁寧な処置であったと推測される。
本人の自首により事件が発覚。
現場は完璧に沈黙している。
アポロの遺体は個体識別不能なまで粉砕されており、ゼノは自首の際も極めて冷静な精神状態を維持していた。




