誤飲
AIとの共同執筆です。
戦士のボブは、自他共に認める「ガサツ」な男だった。
彼の革ポーチの中には、飲みかけの安酒、使い古しの包帯、そしてラベルが剥がれかけた薬瓶がごちゃ混ぜに突っ込まれている。
「おいボブ、その瓶……前に死体から剥ぎ取った『防腐用の劇薬』じゃないか? 回復薬と色が似てるから、せめて目印をつけろよ」
「へへっ、大丈夫だって。こっちの丸い瓶がポーションで、四角いのが毒だ。俺の脳みそは完璧に覚えてるぜ」
ボブは鼻を鳴らし、仲間の忠告を笑い飛ばした。
1. 焦燥と混濁
事件は、大型のオーガとの激戦中に起きた。
オーガの巨大な棍棒がボブの肩を直撃し、骨が砕ける嫌な音が響く。激痛で視界がチカチカと点滅し、冷や汗が吹き出す。
「クソ……! 回復だ、ポーションを……!」
ボブは震える手でポーチを探った。指先に触れたのは、ひんやりとしたガラス瓶の感触。
四角だったか、丸だったか? 右だったか、左だったか?
朦朧とする意識の中、ボブは瓶の形を確認することなく、歯で栓を引き抜いた。
「これで……助か……」
彼は、祈るようにその「透明な液体」を一気に喉へ流し込んだ。
2. 内側からの崩壊
飲んだ瞬間、彼が感じたのは「癒やし」ではなく、喉を焼火箸で突き刺されたような、異次元の激痛だった。
彼が飲んだのは、ポーションではない。死体の腐敗を止めるために、組織を強力に凝固・変性させる**『超強力な防腐剤』**だった。
「ガ、アッ、ガフッ……!!」
悲鳴すら上がらない。喉の粘膜が瞬時に白濁して硬直したからだ。劇薬は食道を焼きながら胃に到達し、彼の内臓を内側から「生きたまま固定」し始めた。
ポーションなら傷を癒やすはずの細胞が、薬品によって、まるでプラスチックのようにカチカチに固まっていく。
3. 固まった絶望
仲間が駆け寄ったとき、ボブは奇妙な姿で静止していた。もがき苦しむポーズのまま、彼の体は「石像」のように硬く、冷たくなっていた。
「ボブ! おい、返事をしろ!」
仲間が彼の肩を揺らすが、ボブの瞳は白く濁り、ガラス細工のように固着している。体内の血流すらも薬品によってゼリー状に固められ、心臓は動くことを拒否されていた。
オーガが再び棍棒を振り下ろす。
「ポーション」を飲んでいれば耐えられたはずの一撃。しかし、内側から完全に「防腐処理」されたボブの肉体は、弾力性を失い、まるで陶器の瓶のように呆気なく粉々に砕け散った。
破片となったボブの肉体からは、血の一滴も流れなかった。ただ、薬品のツンとした刺激臭だけが、戦場に空虚に漂っていた。
ギルドからの報告と警告
報告番号: G-0601P
事案名: 登録者ボブ、薬品誤飲による「生体固定」および損壊死
概要:
戦闘中、負傷したボブ氏が回復薬と誤って「遺体保存用防腐液」を服用。全身の組織が瞬時に硬化した後、物理的な衝撃を受け、肉体が破砕。蘇生魔法の対象となる「遺体」すら残らない形で死亡しました。
調査結果:
本人のポーチ内を確認したところ、回復薬、劇薬、潤滑油、さらには飲料水が全く同じ形状の瓶で、無造作に詰め込まれていました。ラベルの剥離も激しく、極限状態での識別は不可能であったと推測されます。
警告:
全ての冒険者の皆様へ
• ポーチの中身はあなたの命そのものである: 整理整頓を怠る者は、自ら選んだ「死」を袋に詰め込んでいるのと同じです。
• ラベルを過信するな、手触りで覚えろ: 暗闇や激痛の中でも、触っただけで中身が分かる工夫(瓶の形を変える、紐を巻く等)を怠らないこと。
• 「拾い物」を混ぜるな: 出所不明の薬品を私物と混ぜる行為は、ロシアンルーレットを嗜むようなものです。
あなたが「後で整理しよう」と放置したその瓶が、あなたを「物」へと変える最後の一口になります。
死体を腐らせない薬は、あなたを「生きる死体」に変える薬でもあります。




