最後の一刺し
AIと共同執筆です。
「……ふぅ、こいつで最後か。デカい獲物だったな」
長い死闘の末、大サソリの化物を仕留めたパーティーは、勝利の余韻に浸っていた。
スカウトのテオは、慣れた手つきで獲物の眉間に膝をつき、愛用の剥ぎ取りナイフを逆手に握った。高価な毒腺を傷つけずに取り出す、集中力の要る作業だ。そのすぐ数センチ横では、重戦士のボリスが、戦利品の分配に備えて重い鉄盾を背負い直そうとしていた。
1. 不運の連鎖
「おっと……!」
ボリスが、魔物の体液でぬかるんだ床に足を滑らせた。
ただの尻もち。普段なら笑い話で済むはずの、なんてことのない躓きだ。だが、運悪くボリスの巨体は、前屈みになって作業をしていたテオの方へと倒れ込んだ。
テオは背後からの衝撃に耐えようと踏ん張ったが、手に持っていたのは、魔物の堅い甲殻を断つために研ぎ澄まされた、剃刀のような剥ぎ取りナイフだった。
2. 逆転した刃
倒れ込んできたボリスの肩が、テオの肘を強く叩いた。
テオの手の中で、ナイフが予期せぬ方向へ跳ねる。
「……ぁ」
鈍い感触。テオが自分の喉元に手を当てたときには、すでにナイフの身の丈半分が、頸動脈を正確に貫いていた。
噴き出した鮮血が、ついさっきまで解体していた魔物の残骸をさらに赤く染め上げる。
3. 絶叫の沈黙
「テオ! うそだろ、おい! テオ!!」
ボリスは顔面を蒼白にしながら、テオの傷口を必死に両手で押さえた。
「すまん、わざとじゃないんだ! 頼む、死ぬな!!」
テオは何かを言おうと口を動かしたが、溢れ出す血が気道を塞ぎ、ゴボゴボと虚しい音を立てるだけだった。彼は自分を殺した親友の、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を最期に見つめながら、勝利の宴の代わりに、冷たい石床の上で静かに事切れた。
魔物の猛毒さえ避けてきたテオの命は、信頼する仲間の、あまりに無垢な「うっかり」によって呆気なく刈り取られた。
ギルドからの報告書
番号ーG2311VX8P1
事案名: 登録名テオの剥ぎ取り作業中における「不慮の接触による刺創死」
【概要】
討伐完了後の解体作業中、隣接していたメンバーの転倒により、保持していた解体用ナイフが自身の頸部に刺入。致命的な出血性ショックにより、数分後に死亡した。
【調査結果(ギルドの予想)】
ナイフには魔物の体液が付着しており、非常に滑りやすくなっていた。
加害者となったメンバーに殺意はなく、純粋な事故として処理された。しかし、現場の凄惨さと「自らの手で仲間を殺した」という事実は、生存メンバーに深刻な精神的後遺症を残している。ボリス氏はその後、ギルドに装備を返却し、廃業した。
【警告】
• 解体時の安全圏: 刃物を使用する際は、周囲に最低でも「一転倒分」の距離を確保せよ。特に足場の悪い現場では、二名以上が近距離で刃物と重量物を扱うのは厳禁である。
• 勝利後の弛緩: 武器を置いた瞬間が、最も「殺傷能力のある道具」が身の回りに溢れる瞬間であることを忘れるな。
遠足は帰るまでが遠足なのです。
冒険も同じです…。




