表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/70

最後の一刺し

AIと共同執筆です。


「……ふぅ、こいつで最後か。デカい獲物だったな」

長い死闘の末、大サソリの化物を仕留めたパーティーは、勝利の余韻に浸っていた。

スカウトのテオは、慣れた手つきで獲物の眉間に膝をつき、愛用の剥ぎ取りナイフを逆手に握った。高価な毒腺を傷つけずに取り出す、集中力の要る作業だ。そのすぐ数センチ横では、重戦士のボリスが、戦利品の分配に備えて重い鉄盾を背負い直そうとしていた。

1. 不運の連鎖

「おっと……!」

ボリスが、魔物の体液でぬかるんだ床に足を滑らせた。

ただの尻もち。普段なら笑い話で済むはずの、なんてことのない躓きだ。だが、運悪くボリスの巨体は、前屈みになって作業をしていたテオの方へと倒れ込んだ。

テオは背後からの衝撃に耐えようと踏ん張ったが、手に持っていたのは、魔物の堅い甲殻を断つために研ぎ澄まされた、剃刀のような剥ぎ取りナイフだった。

2. 逆転した刃

倒れ込んできたボリスの肩が、テオの肘を強く叩いた。

テオの手の中で、ナイフが予期せぬ方向へ跳ねる。

「……ぁ」

鈍い感触。テオが自分の喉元に手を当てたときには、すでにナイフの身の丈半分が、頸動脈を正確に貫いていた。

噴き出した鮮血が、ついさっきまで解体していた魔物の残骸をさらに赤く染め上げる。

3. 絶叫の沈黙

「テオ! うそだろ、おい! テオ!!」

ボリスは顔面を蒼白にしながら、テオの傷口を必死に両手で押さえた。

「すまん、わざとじゃないんだ! 頼む、死ぬな!!」

テオは何かを言おうと口を動かしたが、溢れ出す血が気道を塞ぎ、ゴボゴボと虚しい音を立てるだけだった。彼は自分を殺した親友の、涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を最期に見つめながら、勝利の宴の代わりに、冷たい石床の上で静かに事切れた。

魔物の猛毒さえ避けてきたテオの命は、信頼する仲間の、あまりに無垢な「うっかり」によって呆気なく刈り取られた。


ギルドからの報告書


番号ーG2311VX8P1

事案名: 登録名テオの剥ぎ取り作業中における「不慮の接触による刺創死」

【概要】

討伐完了後の解体作業中、隣接していたメンバーの転倒により、保持していた解体用ナイフが自身の頸部に刺入。致命的な出血性ショックにより、数分後に死亡した。

【調査結果(ギルドの予想)】

ナイフには魔物の体液が付着しており、非常に滑りやすくなっていた。

加害者となったメンバーに殺意はなく、純粋な事故として処理された。しかし、現場の凄惨さと「自らの手で仲間を殺した」という事実は、生存メンバーに深刻な精神的後遺症を残している。ボリス氏はその後、ギルドに装備を返却し、廃業した。

【警告】

• 解体時の安全圏: 刃物を使用する際は、周囲に最低でも「一転倒分」の距離を確保せよ。特に足場の悪い現場では、二名以上が近距離で刃物と重量物を扱うのは厳禁である。

• 勝利後の弛緩: 武器を置いた瞬間が、最も「殺傷能力のある道具」が身の回りに溢れる瞬間であることを忘れるな。


遠足は帰るまでが遠足なのです。

冒険も同じです…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ