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脆い盾

AIと共同執筆です。

「くっそ!この岩盤……かてぇ!ぬあああ!」

頭上で、ロジャーの怒鳴り声が響く。ニックは崩落した岩と地面のわずかな隙間に挟まれ、身動き一つ取れなかったが、その声を聞いて「ああ、助かった」と、魂の底から安堵した。

1. 消失する笑顔

「ニック!今すぐ出してやるからな!」

ロジャーが岩の隙間に顔を寄せ、ニックの右手を力強く掴んだ。その横には、ケイン、リン、ガイル……仲間全員の顔が見える。松明の灯りに照らされた彼らの表情は、確かにニックを救おうとする意志に満ちていた。

「……ロジャー、ありがとう……」

ニックが掠れた声で礼を言った、その瞬間だった。

ロジャーの顔が、不自然にピタリと止まった。

さっきまでニックを励ましていた笑顔が、一瞬で「理解不能な何か」への困惑に変わり、その瞳が大きく見開かれる。

「……ど、どうした……?」

ニックが問いかけるより先に、ロジャーの巨体が、凄まじい力で「上」へと跳ね上げられた。岩盤を掴んでいた彼の左指が剥がれ、ニックの右手を握っていた掌から、力が抜けていく。

2. 連鎖する逃走

「……あ」

通路にいた他の三人も、同じだった。

ニックの視界には、ロジャーの背後から伸びた、あの細長く、不気味な**「穿岩顎せんがんがく」**の口吻が、ロジャーを闇の中へ放り投げる影だけが見えた。

ケインが顔面を蒼白にして「逃げろっ!!」と叫ぶ。その悲鳴を合図に、リンもガイルも、ニックへ伸ばしていた手を一瞬で引っ込め、背中を見せて闇の奥へと転がるように逃げ去った。

「待ってくれ!行かないでくれ!!」

ニックの叫びは、仲間の逃走の足音と、闇の奥から聞こえてくる「ゴリッ」という嫌な咀嚼音にかき消された。

3. 祈りの逆転

静寂。そして、戻ってきた足音。

さっきまでロジャーが「かてぇ!」と怒鳴りながら壊そうとしていた、ニックを縛り付ける憎き岩盤。

だが、穿岩顎が戻ってきて、その強靭な鉤爪で岩盤を「バリバリ」と剥ぎ取り始めた瞬間、ニックの祈りは真逆に跳ね上がった。

「壊さないでくれ!…頼む岩盤、もってくれ!壊れないでくれ!!」

岩が砕け、ついにニックの剥き出しの足が月明かりに晒される。怪物はその細長い口を差し込み、岩に挟まって固定されたまま、逃げることさえ許されないニックを、まるで「貝殻から身を穿り出す」ように、少しずつ、丁寧に削り取り始めた。


ギルドからの報告書


番号ーG2311VM4B9

事案名: 登録名ニックの崩落区域における「捕食者による殻剥き食害」

【概要】

崩落により岩盤に固定されたニック氏の救助中、大型魔物「穿岩顎せんがんがく」が急襲。救助者のロジャー氏が捕食され、残りのメンバーは撤退。ニック氏は岩盤ごとかきむしられ、捕食された。

【調査結果(ギルドの予想)】

現場の岩盤には、ロジャー氏が「ニックを助けるために岩を壊そうとした跡」と、その直後にニック氏が「魔物から逃れるために岩を掴んだ跡」が重なって残されていた。

この捕食個体は、獲物を包む岩盤を「邪魔な殻」と見なして破壊した。ニック氏にとって、先ほどまで自分を縛っていた憎き岩盤が、最後には唯一の防壁となった。その防壁が少しずつ剥がされる恐怖は、計り知れない。

【警告】

• 救出中の全方位警戒: 救助者の「壊す音」と「叫び声」は、高次捕食者を呼び寄せる。

• 岩盤の二面性: 固定された場所での生存は、外敵がいないことが前提である。一歩間違えれば、そこは安全な家ではなく、動けないまま解体を待つ「まな板」になる。


皮肉なことに、彼が「かてぇ!」と願った岩盤は、怪物の前ではあまりもろかったようだ…。

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