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本当の暗闇

AIとの共同執筆です。

「……おい、これで最後か?」

暗闇の中で、リーダーのアルドが声を潜めて言った。手元の松明がパチパチと不吉な音を立てて爆ぜる。炎はすでに小さく、周囲の岩壁を舐める影は心許ない。

「すまねぇ……予備の油袋、入り口のキャンプに置いてきちまったみたいだ」

荷物持ちの若者が震える声で答える。いつもなら笑って済ませられるミスだ。だが、ここは地下三階。光の届かない「深淵」の入り口だった。

1. 視界の消失

最後の一滴が燃え尽きた。

シュッ、という小さな音と共に、世界から「色」が消えた。

完全な暗闇。それは目を閉じているのとは違う。どれだけ見開いても、目の前のかざした自分の手すら見えない。平衡感覚が失われ、上下左右の区別すらつかなくなる。

「動くな。下手に動くと崖から落ちる……」

アルドの声が震えている。その時、暗闇の奥から「それ」が聞こえてきた。

――カサ。カサカサ。

最初は、乾いた葉が擦れるような音だった。それが次第に、カチカチと硬質な節足が岩を叩く音へと変わる。数千、数万。想像を絶する数の「何か」が、床、壁、天井を埋め尽くしながら、こちらへ向かって這い寄ってくる音だ。

2. 蟲のインセクト・タイド

「うわあああ! 何か、何かが足を登ってくる!!」

若者の悲鳴が響く。アルドも自分の体にも「それ」を感じた。硬くて冷たい、無数の足。

最初は足首、次に膝。さらに太ももへと、波のように這い上がってくる。

「払え! 叩き落とせ!」

必死に手を振り回すが、触れるのは常に、ヌルリとした粘液をまとった甲殻の感触だけだ。一匹は小さい。だが暗闇で視覚を奪われた彼らにとって、それは「どこを攻撃すればいいか分からない恐怖」だった。

「アガッ……口に! 口の中にまで……っ!」

若者の声が、不自然な音を立てて途切れた。数千の蟲が彼の服の隙間から潜り込み、耳、鼻、そして叫ぼうと開いた口の中へと、津波のように雪崩れ込んだのだ。

3. 収穫の終わり

数分後。洞窟には再び静寂が訪れた。

ただ、何かが「咀嚼」される湿った音だけが、闇の中に響いている。

彼らが忘れた、あるいはケチった、たった一本の松明。

その数百円程度の代償は、彼らの骨の髄まで吸い尽くされるという結末で支払われた。

翌日、別のパーティがその場所を通りかかった時、そこには装備品だけが不自然に積み上げられていた。鎧の中身は空っぽ。衣服の繊維さえ食い荒らされ、真っ白に磨き上げられたような「人間の形の骨」だけが、暗闇に転がっていた。

ギルドからの報告と警告

報告番号: G-0303I

事案名: 登録者アルド、および随行員、照明器具の枯渇による集団遭難死

概要:

探索パーティが地下三階にて照明(松明用燃料)を完全に喪失。完全暗黒下において、音と熱に反応する肉食蟲『ピット・ビートル』の群れに遭遇。抵抗不能な状態で全身を摂食され、死亡しました。

調査結果:

現場には、十分な予備燃料を携行していれば容易に回避可能であった痕跡が残されています。ピット・ビートルは光を極端に嫌う性質があり、一本の松明さえあれば、彼らが獲物の喉笛を食い破ることはなかったでしょう。

警告:

全ての冒険者の皆様へ

• 洞窟などにおいて「光」は剣よりも重要な防具である: ダンジョンにおいて、視覚を失うことは死を意味します。予備の予備まで明かりを用意しなさい。

• 暗闇の住人を侮るな: 深層の魔物の多くは、目を使わずにあなたを感知します。あなたが「何も見えない」と怯えている時、彼らは「最高の食事」がどこに座っているか、完璧に把握しています。

• パニックは最大の自死: 暗闇で叫び、暴れることは、周囲の捕食者に「ここに弱った獲物がいます」と宣伝する行為です。

あなたが油袋の重さを嫌って荷物を減らした時、暗闇の蟲たちはあなたの骨を「掃除」する準備を始めています。

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