扉
AIと共同執筆です。
深層迷宮の最下層。満身創痍の冒険者ゼノの前に、重厚な装飾が施された「黄金の扉」が現れた。
その豪華さは、ここが宝物庫であることを確信させるに十分だった。
1. 招き入れられた獲物
「……っし、ようやく着いたぞ。これで一生遊んで暮らせる」
ゼノは震える手で重いノブを回した。扉は一切の軋みもなく滑らかに開き、中からは柔らかな光と、嗅いだこともないような甘い香りが漂ってきた。
部屋の中には眩いばかりの金貨の山と、ふかふかの絨毯。ゼノは歓喜に震え、吸い寄せられるようにその広大な「部屋」へと足を踏み入れた。
2. 閉じる境界線
ゼノが部屋の中央へ辿り着いた瞬間、背後で「ドスッ」という、肉がぶつかり合うような不快な音が響いた。
驚いて振り返ると、今入ってきたはずの黄金の扉が消えている。そこにあるのは扉の形をした「硬い角質」と、それを固く締め出した分厚い肉壁だった。
「なっ……なんだ、壁か!? 扉はどこへ行った!?」
パニックに陥り壁を叩くが、手応えは石でも木でもなく、温かく湿った、巨大な生き物の粘膜そのものだった。
3. 咀嚼の始まり
突如、部屋全体が激しく脈動を始めた。足元の絨毯が波打ち、強烈な粘着液が溢れ出す。天井からは雨のように胃液が降り注ぎ、四方の壁が「咀嚼」のためにゆっくりと収縮を始めた。
「熱い! 溶けてる……脚が……! 頼む、開けてくれ!! 誰かあああ!!」
逃げ場のない立方体の胃袋。壁が迫るたびにゼノの骨が軋み、折れ、肉が潰れる音が部屋に響き渡る。彼は押し潰される圧力の中で絶叫し続けたが、その声が肉壁の外へ届くことはなく、ただ自身の肺から絞り出された空気が泡となって胃液の中に消えていくだけだった。
ギルドからの報告書
番号ーG2311VQ5Z2
事案名: 登録名ゼノの深層迷宮における体の消失。
【概要】
ゼノ氏は迷宮最深部の宝物庫付近で消息を絶ちました。後日の調査により、現場に存在したはずの「宝物庫」そのものが移動能力を持つ超大型ミミック(ハウス型)であったことが判明しました。
【調査結果】
現場に残されていたのは、溶解を免れたタグと、壁にこびりついた氏の指紋、爪だけでした。指紋の形状から、氏は最後まで出口を求めて壁を掻き毟っていたことが推察されます。この個体は「満腹」になると数週間にわたって石造りの部屋に擬態し、獲物を完全に分解するため、捜索は困難を極めました。
【警告】
• 閉鎖空間の罠: 扉を開けるのは「招かれている」からではなく「選別されている」からです。黄金の輝きに目が眩んだ時点で、あなたは既に胃袋の真ん中に立っている。
• 脱出不能の定義: この手の怪物の内側から生還した例は皆無よ。物理的な強度ではなく、全方位から押し寄せる「肉の圧力」に勝てる人間など存在しない。救助を待つ時間は与えられず、ただ静かに、あるいは叫びながら消化されるのみです。
宝の山に囲まれて死にたいという夢は、これ以上ない形で実現したわけです…。




