隙
AIと共同執筆です。
その巨躯が地響きを立てて倒れたとき、バルトは全身の力が抜けるのを感じた。
相手は、この森の主と恐れられた「双頭の牙獣」。数時間の死闘の末、バルトの剣がようやくその心臓を貫いたのだ。
1. 束の間の安堵
「はぁ……はぁ……、よっしゃあ!!!!ついに!!!!倒したぞおおおおおおおおお!!!!!」
バルトは天を仰いで叫び、その場に膝をついた。辺りには静寂が戻り、森の空気が冷たく肌を撫でる。彼は愛剣を鞘に収め、戦利品である牙や皮を回収するため、腰から剥ぎ取り用のナイフを抜き放った。
「こいつの素材なら、半年は遊んで暮らせるな」
勝利の喜びに口角を上げ、無防備に巨体へ歩み寄った。
2. 残響
絶命したはずのそれは目を見開き、凄まじい断末魔と共に、切り落とされかけた片方の首をバネのように弾けさせた。
「ぎゃあああああああ!!」
死に際の一撃。剥ぎ取りナイフを握ったままの右腕を根元から食い千切られ、バルトは血の海でのたうち回った。
3. 終わらない追走
血の臭いを嗅ぎつけ、茂みから「掃除屋」ラット・スカベンジャーがわらわらと這い出してきた。
「くそっ、……くるな! くるなッ!」
バルトは残った左手で数匹を叩き潰し、群れが一瞬だけ怯んだ隙に、失った右肩辺りを抑えてヨタヨタと逃げ出した。
だが、彼が転ぶたびに、少し休むたびに、ラットの群れは再び距離を詰めてくる。一匹殺せばまた次が足元を這い、彼の足首を、指を、執拗に齧り続ける。
「あ、……ぁ、……た、助けて……」
逃げても逃げても、背後からは無数の爪音と耳障りな鳴き声が止まない。精神が限界に達し、力尽きて倒れたバルトを待っていたのは、とてつもない数のラットが、重なり合うようにして彼を呑み込んでいく光景だった。
ギルドからの報告書
番号ーG2311VM7R2
事案名: 登録名バルトの森の主討伐後、付近で「損壊死」
【概要】
行方不明となっていたバルト氏が、討伐対象「双頭の牙獣(森の主)」の死骸から数百メートル離れた地点で、骨のみの状態で発見されました。現場の不自然な遺留状況から、ギルドは以下の通り推論します。
【推論される経緯】
森の主の骨付近に、氏のタグや装備品の一部が残されていたことから、討伐直後の作業中、絶命前の最後の抵抗を受け右腕を喪失したと思われます。
その後、周辺に散乱するラットの死骸と血痕から判断し、氏は重傷を負いながらも逃走を試みたのでしょう。しかし、執拗なラットの群れの追走により、立ち止まるたびに肉を削られ、精神的・肉体的な限界を迎えて捕食されたものと断定します。
尚、余談ではあるが森の主もおそらくラットに食べられたのか死体は綺麗に骨だけが残っていました。
【警告】
• 油断するな: 勝った直後、気の緩みを死神は見逃さない。冒険中は常に気を緩めるな。緩めていいのは帰還後に酒場で財布の紐だけだ!
• 孤立の危うさ: ソロはやはり危険。仲間がいた方が安全よ。もし傍らに仲間が一人でもいれば、群がるラットを追い払い、バルト氏を「英雄」として連れ帰ることができたでしょう。
刹那の油断が、勝利の美酒を腐らせ、死神の晩餐へと変える…。




