酸の泉
AIと共同執筆です。
暗闇の中で意識を取り戻したとき、カイルが最初に感じたのは、下半身を焼き切るような凄じい激痛だった。
1. 孤独な空洞
「あ、熱っ……! いてぇ、いてぇよー! ちくしょう!」
反射的に立ち上がろうとしたが、足元には陸地はなく、どこまでも濁った汚水が広がっていた。
地震に巻き込まれ、滑落した先は出口も通路もない密室。膝まで浸かるその液体は、彼の防具を、皮膚を、音を立てて溶かし始めていた。
「おい! 誰かいないのか! ここはどこだー!?」
叫び声は湿り気を帯びた厚い壁に吸い込まれ、虚しく消える。遥か高い天井が、時折、亀裂のように不規則に開き、一瞬だけ外の光を投げかけるが、そこへ至るとっかかりはどこにもなかった。カイルはここを、地震で偶然生まれた「酸の泉が湧く閉鎖空間」だと思い込み、迫る死の気配に狂乱した。
2. 異質な墓場
汚水の底に沈んでいるのは、岩ではなく骨、そして「タグ」だった。
「なんだよこれ、骨……? 全部骨かよ! 嘘だろ、これ、冒険者の認識票……!?」
暗闇の中、松明の火に照らされたのは、腐食に耐えた無数の金属製のタグだった。
「ちくしょう、前にもここで事故があったのかよ! 出してくれ! 誰か!」
恐怖で後ずさり、壁に手をつこうとしたが、そこからも無色の液体が絶えず滴り落ちていた。
滴が肩に触れた瞬間、服は一瞬で焼け焦げ、肉を焼く嫌な臭いが立ち昇る。
逃げ場のない汚水は、数時間の間にカイルの脚を、そして意識を驚異的な速さで削り取っていった。
3. 溶ける時間
数時間が過ぎる頃、カイルの足はすでに自重を支えられないほど崩れていた。
浮き上がる場所さえない空間で、彼は自分がただ運悪く「毒の溜まり場」に落ちたのだと信じ、激痛に身を震わせた。
皮膚が剥がれ、神経が酸に焼かれる中で、彼は天井の瞬きを見上げ続けた。
意識が途切れる直前、外から仲間の呼ぶ声が聞こえたような気がしたが、その時にはもう、彼の喉は声を出す機能を失っていた。
カイルが完全に液体へと還ったわずか30分後、その「震災の元凶」であった**超弩級陸亀**は討伐され、仲間たちの手によってその腹が切り裂かれた。彼らが目にしたのは、胃液の中に沈む大量の認識票と、溶け残ったカイルの剣だけだった。
ギルドからの報告書
番号ーG2311VQ1Z9
事案名: 登録名カイルの超弩級陸亀体内における「短時間溶解死」
【概要】
カイル氏は地殻変動(実際には当該生物の移動に伴う震動)の際、偶然にも直下で口を開けていた超弩級陸亀「グランド・タートル」の内部へと滑落しました。内部を満たしていた消化液により、外部からの物理的な救出が成功する直前に絶命しました。
【調査結果】
当該生物の解体調査により、胃部からカイル氏の剣と共に、過去数十年分にわたる行方不明者の認識票などが大量に回収されました。カイル氏の損壊状況からみて、討伐があと30分早ければ、生存状態での救出、あるいは蘇生魔法の行使が可能であったと推測されます。
【回収物について】
回収されたタグのうち、特定可能なものは全て各遺族へと届けられました。多くの未解決事案が、カイル氏の死という犠牲を以て終結することとなりました。
【警告】
• 状況整理の重要性: 行き先や現在地がわからない場合、無闇に動くことは体力を浪費し、事態を悪化させる恐れがあります。不測の事態に陥ったときこそ、まずは立ち止まって状況を整理し、救助を待つための冷静な判断を心がけてください。
あと少し。
その「少し」に届かないのが、人生なのかもしれません…。




