加速する鎧
AIとの共同執筆です。
「ついにここまで来たぞ……伝説の火竜、レッドドラゴンの首はこの俺がもらう!」
重戦士バルドスは、手入れの行き届いたフルメイルの重厚な音を響かせ、最下層へと続く大階段の頂上に立っていた。彼の視線の先には、黄金の山の上で眠る巨大な影。一撃で国を滅ぼすと謳われる最強の魔物がそこにいた。
「この一歩が、歴史を変える最初の一歩だ……!」
バルドスは愛剣を抜き放ち、勝利を確信した叫びと共に、猛然と階段を駆け下り始めた。
1. 英雄の失墜
一段、二段。加速する鋼鉄の巨躯。しかし三段目、勝利の熱狂で視界が散漫になっていた彼の足首は、ほんの数ミリ、石段の縁を捉え損ねた。
「……あっ」
2. 破滅の演奏
ガシャン!ボキッ!ガガガガガガ!
ドラゴンに挑むはずだった鋼鉄の塊は、文字通り「ただの鉄球」と化して階段を跳ねていった。
ゴンッ!バキィッ!ガガガッ!ドスッ!!
階段の角に叩きつけられるたびに、装甲がひしゃげ、内部の骨が複雑に折れ、肉を切り裂く不快な音が迷宮内に反響する。ドラゴンの熱線に耐えるはずだった装甲は、無機質な石の段差によって、中身ごと無残にスクラップへと叩き直されていった。
3. 静寂の終焉
ガシャーーーン……。
階段の最下段。ドラゴンの鼻先わずか数メートルのところで、バルドスは歪な形に固まって動かなくなった。最強の魔物は、自らの寝床のすぐそばで勝手に「鋼鉄の打楽器」のような騒音を立てて自滅した生き物に対し、一度だけ面倒そうに鼻を鳴らした。そして、目を開けることさえせず、再び眠りについた。伝説に残るはずだった戦いは、ドラゴンが欠伸をする暇さえなく、重力と「ガガガ」という断末魔によって幕を閉じた。
報告番号ーG2311V
事案名: 登録者バルドス、ボス部屋直前の階段転落による全身粉砕死
【概要】
登録者バルドス氏は、標的「レッドドラゴン」との接敵直前、突入用の階段にて足を滑らせ転落。装着していたフルメイルの自重が落下の衝撃を増幅させ、停止するまでに全身の骨が粉砕され絶命しました。
【調査結果】
現場付近には激しく金属が削れた跡が残っており、落下の凄まじさを物語っています。魔物側からの攻撃の痕跡は一切認められません。死因は「不注意による転落、および装備重量による多重衝突死」です。
【警告】
• 敵は目の前だけではない: 最強の魔物を倒す前に、自分の足元の「石段」を攻略しなさい。
• 重力は平等: どんな頑丈な鎧であっても、壊れる時はくるのです。
ドラゴンの炎より、一段の段差を恐れるべきです。
• タグは遺族へと返還されました: 遺族は「ドラゴンと戦って死んだ」という名誉を求めていましたが、ギルドとしては「階段でガガガと鳴りながら死んだ」という真実を隠蔽するわけにはいきませんでした。
いかに強力な鎧も重力には敵わなかったんですね…。




