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街中の罠

AIとの共同執筆です。

「いいか、剣は腕で振るんじゃない。腰の回転だ!遠心力を最大に乗せて、一気に振り抜け!」


ギルドの訓練場。

中堅冒険者のベアードは、新人たちを前に熱のこもった指導を行っていた。彼は教え上手で、新人たちからも慕われていた。

「見てろ、手本を見せてやる」

彼は大きく足を踏み込み、愛用の大剣を真横に、薙ぎ払うようにフルスイングした。

それは見事な円を描く、完璧な一撃になるはずだった。

1. 鋭い衝撃


ザシュッ


木を打つ音でも、風を切る音でもない。

何かが潰れるような、嫌な音がした。

ベアードが振り抜いた剣の先には、遅れて訓練場に入ってきたばかりの、別の新人の頭部があった。

その新人は、憧れのベアードの指導を間近で見ようと、少し急ぎ足で背後に近づいてしまったのだ。

「あ……?」

ベアードが振り向いた時、そこには頭の半分まで剣が食い込んでしまった若者が、糸の切れた人形のように崩れ落ちる瞬間があった。

訓練用の木剣ではなかった。ベアードが「手本」として見せるために抜いたのは、研ぎ澄まされた本物の鋼の剣だった。

2. 終わりの静寂

訓練場は、叫び声すら上がらない静寂に包まれた。

床に広がっていく鮮烈な赤。

ベアードの手に残る、肉と骨を断った生々しい感触。

「いや、違う、俺はただ……周りに誰もいないと思って……」

言い訳は、虚しく空に消えた。

死んだ新人は、その日初めてギルドの門を叩いたばかりの、希望に満ちた15歳の少年だった。

3. 断罪と追放

意図的な殺意はなかった。それは誰もが認めた。

しかし、魔物がひしめく外の世界で「背後を確認せずに得物を振る」という失態は、冒険者として致命的な過失である。

ベアードは処刑こそ免れたが、ギルドカードはその場で破棄され、永久追放の処分が下った。

「お前のような『周囲を見ぬ男』に、仲間の背中は任せられない」

彼は街を追われ、武器を手にすることを禁じられた。

彼が今も夜ごと夢に見るのは、自分が描いた完璧な円の軌跡と、その先にいた少年の、一瞬だけ目が合った絶望の表情だった。

ギルドからの報告書

番号ーG-1604A

事案名: 訓練施設内における「過失致死」および「安全管理義務違反」

概要:

ベテラン登録者が訓練場にて真剣を無構えに振るい、後方に接近した新人の頭部を直撃。被災者は即死しました。

調査結果:

加害者は「背後に人がいるとは思わなかった」と供述。しかし、武器を扱う者が全方位の安全確認を怠ることは、戦場においては自殺行為であり、平時においては殺人行為に等しいと判断されました。

警告:

全ての冒険者の皆様へ

• 「周りを見ろ」: これは戦いの基本ではなく、生存の基本です。あなたの剣は敵を斬るためのものですが、不注意一つで仲間を屠る凶器に変わります。

• 安全圏など存在しない: 武器を抜いている間、あなたの周囲3メートルは常に「死域」であることを自覚しなさい。

• 過信は視界を狭くする: 自分の技量に酔いしれている時、あなたの目は背後の現実に届いていません。

あなたが「完璧な一振り」に酔いしれたその瞬間、背後の誰かは「永遠の眠り」についているのです。


冒険者が死ぬのはダンジョンとは限りません。

街だから、ギルド内だからと言って事故が起きないとは限りません。


剣は魔物を倒すために進化した物。

もしそれが人に向けば命など簡単に刈り取ってしまうのです。

あなた方は危険物を常に持ち歩いている、ということを忘れずに…。


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