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愛されてはいけない理由  作者: ねここ


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クロードとの再会



「クロード様!!」


 マリアは両手を広げるクロードに走り寄る。


「クロード様! お元気でした!?」


「マリア!! やっと会えた!」


 クロードも喜びを爆発させマリアとの再会を喜ぶ。


 二人がハグをしようとした時、エリゼがマリアを押し除けクロードとハグをした。


「おい! エリゼ、俺はマリアが良いんだが!?」


 腕の中でクロードが怒り始める。マリアは唖然とし抱き合う二人を見て笑い出す。


「クロード、この間のハグのお礼だ。受け取れ。」


 エリゼはそう言いながらクロードを抱きしめる。クロードはそんなエリゼの態度に呆れながらも二人を見て笑っているマリアに声をかけた。


「マリア、本当に、あの時はごめんな」


「クロード様? どうして謝るのですか?」


 クロードはエリゼのハグを振り解き、マリアに歩み寄る。


「俺、全てが終わったらマリアの事マリアって呼ぼうと思ってた。だけど、マリアがいなくなっちて……」


 クロードはそう言って唇を結んだ。


「クロード様、マリアと呼んで下さって、エリゼ様と一緒にいて下さってありがとうございます」


「ごめんな、マリア」


 マリアは悲しげな表情を浮かべ謝るクロードの手を握り感謝の笑顔を向けた。

  

「マリア、クロードはお前がいなくなってすぐに俺の所に来て散々俺のことを責めて、口も聞いてくれなかった」


 エリゼはクロードの肩をポンポンと叩き、マリアに頷く。

 

「クロード様。ご心配をおかけして……ごめんなさい」


 マリアはクロードの悲しげな表情に、思わず涙が滲む。クロードの気持ちを知り、心配してくれていた現実に胸が熱くなる。

 

「良いんだマリア。今マリアが幸せならそれでいいんだ」


「クロード様、ありがとうございます」


 クロードもマリアの手を握り親しみの笑顔を向けた。 


「ところで、そのネックレスお揃いか?」


 クロードがマリアのネックレスに気が付き声をかける。


「あ、これ、ご存じでしたか? 私が必死で貯めた全財産を使って、エリゼ様にマントのお礼として渡したネックレスと同じデザインの物。先ほどお金持ちの皇帝様から頂いたんです」


 マリアはネックレスを触りながら、嫌味を込めクロードに話しだす。


「あははは、何だそれ、いい話なのかわからない複雑な心情を感じる話だな」


 その様子にクロードは笑いだす。


「結果としていい話だ」


 エリゼは少し拗ねたように言った。


「そうか、そう言うことか。エリゼ、お前がオリーブが好きになった理由、装飾品を付けなかったお前が付けるようになった理由全てがマリアだったんだな」


 クロードはやっと謎が解けたと言うようにエリゼの方に手を置く。

 

「ああ、そう言うことだ」


「エリゼ、お前ずっとマリアを探していたんだな。帝国に帰ったその日にマリアまで連れ戻すなんて。お前尊敬する」


 クロードは再びエリゼにハグをする。


「ありがとうクロード」


マリアは二人の友情に涙を拭った。エリゼをずっと支えてくれたクロードの存在はマリアにとっても特別だ。感謝を込めクロードに頭を下げた。


 *

 

 エリゼが世界統一してからひと月近く祝賀パーティが開かれていた。

 

 貴族の世界にまだ慣れないマリアは宴に参加せず静かに過ごしていたが、最終日エリゼと共に参加することにした。

 

 エリゼを狙う女性陣にマリアの存在を知らしめる時が来たのだ。


 晩餐会まで時間がある。マリアは緊張感からか少し疲れていた。


 エリゼと共に参加する意味は重い。エリゼのそばにいてもいいのだろうかと、不安が胸に広がる。

 元いた世界のことを忘れたことはない。


 犯した罪は死ぬまで忘れることはない。

 だが、エリゼに知られたくない。エリゼがマリアの過去を知る手段はないが、このまま黙ってエリゼのそばにいる罪悪感のような感情に日に日に押しつぶされそうになる。


 マリアはソファーに腰をかけ、ため息をついた。緊張で指先が震える。

 今日着るドレスはエリゼがプレゼントしてくれた物。自分で働かない生活はマリアにとって慣れないものだ。


 ソフィになりすましていた頃は辛いながらも働きながら生き生きと過ごしていた。また、あの時のように生きられたら……


 悶々と考えているうちにマリアは寝てしまった。気がつくと日がくれ、夜になっていた。


 エリゼは居ない。

 

「しまった!! 誰かいますか?!」


 マリアは飛び起き声をかけた。


「はい、マリア様」


 マリアの声を聞き、メイドが部屋に入って来た。


「エリゼ様は? もう晩餐会に?」


「はい、マリア様を起こすなと仰られて晩餐会に行かれました」


「ああ、どうしましょう。あの、私はどうすれば良いのでしょうか?」


 マリアは立ち上がり寝入ってしまったことに動揺する。 


「マリア様、大丈夫です。陛下はマリア様が起きましたら好きな事をして時間を過ごすように、晩餐会は気にしなくても良いと仰られました」


メイドはマリアを慰めるように声をかける。


「本当に私はダメですね」


 自らの失態に落ち込むマリアに、メイドは頭を下げ言った。

 

「マリア様、私がこんな事を申し上げるのは失礼ですが、マリア様はそれが良い所かと思います。自由で、でもお優しい方で私はお仕え出来て嬉しく思っています」


「……ありがとうございます」


 マリアはその優しい言葉にメイドの手を握った。マリアの行動にメイドは驚いたが嬉しそうに頭を下げる。そのメイドは見た目は若いが、芯を持っているような雰囲気がある。


 不思議とそのメイドの言葉がまっすぐ心に届く。


「あなたの名前は?」


 マリアは親しみを込め、メイドに聞いた。


「私はマリーザと申します」


 マリーザはそう言って頭を下げる。


「名前が似ていますね、マリーザとマリア、お友達になれそうですね。よろしくお願いします」


「マリア様お友達なんて、滅相もありません、私はメイドですからそんな身分ではありません」


 マリーザは慌てて首をふる。マリアは遠慮するマリーザに笑顔を向け言った。

 

「私も貴族ではないし、異世界の人間ですから身分など関係ありません。どうか仲良くしてください。マリーザ」


 マリアの言葉にマリーザも笑顔を浮かべ言った。

 

「大変光栄です。どうよろしくお願い致します。マリア様!」


「ところでマリーザ、今から着替え会場に行こうと思います」


 マリアは目の前にかけてある美しいドレスを見て言った。


 エリゼが用意してくれたドレス。

 そのドレスはオフィホワイトのロングドレスで膝下から宝石が散りばめてありキラキラと輝いている。


 マリアの言葉にマリーザは頷き、着替えを手伝った。


「マリア様。とても素敵です。マリア様の短い髪に首元まである襟がバランスよく上品で美しいです」


「マリーザ、ありがとうございます」


「マリーザ、会場に行く前に、せっかくですから庭園にでもお散歩に行きませんか? そこでタイミング見計らって会場に向かおうと思います」


「庭園ですか? そうですね、庭園から二階にある会場が見えますから良いかもしれません。それに、夜だけに咲くお花もありますからご案内いたします」


 二人は部屋を出て庭園に向かった。

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