手堅くいきます
珍しくファームからの始まりにしてくれたイアさんです。お陰でじっくりと装備を整えることができたのはいいんだけど……ヘルメットとベスト、レベル二しかないな~。
回復系は充実したからいいか!
あとは、倒した敵からいただこうそうしよう。
「七ミリ要ります?」
「足りると思うけど、もらっとくかな」
「らじゃ」
流石にデュオでやるときには日本語で喋ってるので楽~。
イアさんのいる倉庫まで行って七ミリ弾を全部置くと、代わりに五ミリをくれた。あざっす!
「回復は?」
「四、八、五です」
「キット一個くれ。包帯しかねぇ」
「どぞー」
また床に置くと、サッとしまうイアさん。
「スコープ等倍しかなかったんだよな。途中でもう少し漁るか」
「ですねぇ」
私もダットサイトしかないし、スナイプするイアさんに譲れるものがない。
幸い屋根付きの車もゲットしたので、そのまま次のエリアに向かいながらファーミングを続けることにした。
「んー。これは」
運転しながら「キルログ見てみろ」と指示されて、アバターの付けているバイザー右上に流れては消えていく文字列に目をやる。
「おっとー。karで無双してますね」
同じ名前が何度も表示され、次々と確殺している様子が見て取れる。
ちなみに、僻地とはいえ無人ではなかったので、イアさんは二キル、私は一キルしてるんだけど。
「もう一人」
「あ、ホントだ。ポンプで!? うへぇ」
誰が誰を何でダウンさせたかが表示されるんだけど、もう一人ショットガンで連続キルしている人がいた。
「キャンプですかね?」
「かもな」
軍事基地は降下する人が多いから、生き残るだけでキル数が酷いことになる。
にしても、賞金はないとはいえ、ショップのカスタムマッチで強気に攻める人がいるのは驚いた。(賞金ではないけど、ショップの割引券とかカフェの無料券とかはもらえるらしい)
「今日は手堅くいって正解だったかもな。あの二人、ストリーマーだわ」
ストリーマーってのは、ゲームのライブ配信をやっている人のことだ。それなりに上手い人が多い。当たり前だけど。
イアさんもライブ配信をやってはいるけど、積極的にチャンネル登録を促しているわけじゃないから、ちょっと違うんだよね。ファンは居るみたいだけどっ。
私がそのことを知っているのは、実はまだ言ってない。言わずに当分傍観してようと思う。
なんとなくだけど、知られたら何かが変わっちゃいそうな気がするんだよね。何かってなんなのか、わかんないんだけども。
「相手が誰でも、全力でぶつかるのみです! あっ、イアさん丁度よいとこに補給物資が!」
「お前のそのポジティブさは見習わないとな……」
ぐいっとハンドルをきって、今し方セスナが落としていったコンテナに車が横付けされる。
「俺は銃とスコープもらうから、メットとベストやる」
「ありがとうございます!」
入っていたのはAWMだ。どのみち私のプレイスタイルには合わない上、使いこなせない。
一番硬い防具をゲットできたんだから万々歳だよ。
あとはなー。なんか別の武器欲しいな。私の技量じゃ、AK使いこなせないんだよね。跳ねすぎて。