To the New World
翼を授かりました。これで世界旅行に行けます。
あとは任せた。
「あのねぇ…俺さ、一回2週間眠らずに実験して論文出したことあるんだよね」
「へ?」
今…なんて言った…?
2週間眠らずに実験して論文出した…?
「え、ちょ、寝ましょ!?!?!?!僕でも1週間しかやったことないですよ!?」
「いや君寝なさい!」
「あなたの方が寝ましょう!」
「まぁそういうので俺は引かれるんだけどね…」
「な、成る程…」
そう言って俺らは飛行機に乗った。
「そういえば飛行機に乗ったことはある?」
「いや…確かないです」
「じゃあ良い機会だね。もし天文学者になって俺のように論文を出すようになればさまざまな国に行くからね。飛行機に慣れておかないと」
「たしかにそうですね…」
「あー、ここかな。俺らの席は。奥にどうぞ」
「あ、失礼しまーす」
俺はそう言って席に座った。
「うーん…何を話そうか…って…はぁ…本当に君のお父さんは…これ、見て」
俺が蘭盧宮さんのスマホを見ると俺は思わず「ぐぅぇ…」と言ってしまった。
「はぁ…イギリスに着いたらカナダに行きましょうか…」
「はい…」
父さんが送ってきていたのは「今さ、俺カナダにいるから連れてきてねー、いつものとこいるから」という内容だった。
「父さんがすいません…」
「いや、優羅君が謝ることじゃないんだよ。でも流石にあいつには塩酸を…」
「塩酸で何するつもりですか!?」
「…」
「蘭盧宮さん!?」
「へへ、これ絶対怒ってんなぁ…天翔。いや、優羅も怒ってんな…絶対」
「だから言ったやん…絶対怒るでってさ」
「まぁ何事にもtrial and errorって言いますから」
「途中英語の発音やめろ」
「つかさー、今2人ともどんな会話してるからなぁ…」
「塩酸かけようぜ。とか」
「え、俺に!?」
「…」
「え!ちょ!待って!?」
「はぁ…一回落ち着きましょう、俺ら」
俺たちは今さっきまで科学について盛り上がっていた。
例えばタングステン以上の金属が見つかるのか、とかブラックホールの中身はどうなっているのか、あとは地球の内部はどうなっているのか。など本当に科学馬鹿なら発狂するであろう内容のことを話していた。
本当に声を我慢するのが大変だった。
「あ!そういえばカナダに君並みの人がいるんですよ!!!」
「蘭盧宮さんッ、ここ機内ッ」
「あ」
周りを見るとほぼほぼ全員の人がこちらを向いていた。
「やってしまった…」
蘭盧宮さんが顔を覆いながら言った。
カナダとイギリス、どちらも良いですよね。
皆様の地雷を踏み抜かなかったと信じたい。