本は便利だ
優羅くんのような人間になりたい。
俺は本を読み、1時間後ノートに書き始めた。
灰重石は、タングステン酸とカルシウムとの塩を成分とした鉱物だ。そのため、タングステン酸塩鉱物に分類される。灰重石の英語名の「scheelite」は、灰重石を研究したカール・ヴィルヘルム・シェーレにちなむ。
蛍光: 青白い
モース硬度: 5(ダイアモンドは10)
化学式: CaWO4(間違えやすい為注意)
結晶系: 正方晶系
色: 白色、黄色(紫外線にあたると青白く光る)
比重: 6.10
光沢: ダイヤモンド光沢
あー…つかれたぁ!!
あれから俺は死ぬほど本を読み進めた。つか灰重石についての量半端なすぎっしょ。
まぁ取り敢えず灰重石については理解できたしね。
そしてまだ30分しか経っていないことに気がついた。
くそが…いつもだったら休み時間に読むだけだったのに…もう読み終わっちまった!!!
俺は後ろにあるクラス本棚に観に行くかと思ったが遠目でみたところ全てクソ簡単な絵本だけ。
くそ…せめて図鑑さえあれば…!
そう思いながらも無駄なので元素記号の復習を行っていた。
「あ、あの…!優羅くん…ここ、分かったよ!!ありがとう!」
「おー、どういたしましてー」
「あのー、何してるの?」
「あー、俺?ふつーに復習してる」
「な、なんかあるふぁべっとって奴が見えるや…すごいな…」
「多分これだったら朝霞も余裕でいけるぞー。簡単だしな」
「む、無理だよ!!何を言ってるの!?」
「しーっ!今授業中だよ!」
俺が注意したが間に合わず、先生がきた。
「ちょっと!2人が解き終わったのはわかるけど、まだな子もいるでしょう?静かにして」
「せんせー、違うんですよ〜。俺が朝霞に虫を掴んでみろよって意地悪言ったからです。ほら、今俺の手の中にいる奴。だから朝霞は悪くないでーす」
俺はそう言いながら窓を開けて虫を逃した。
「せんせー、手、洗ってきます」
俺は先生の返事を待たずして教室を出た。
私は来川 朝霞。
「みなさーん。鉛筆が10本あります。そしてあなたたちは5本新しい鉛筆を買ってもらいました。あなたは今何本持っているでしょうか。
という問題、解けますかー?」
3時間目、私はくっそ嫌いな算数の授業を受けていた。
今日はまとめのプリントをやるんだけど。残念ながら1ミリも分からない。
そして私は「天才」と呼ばれている優羅くんに声を掛けた。
「ここ…わからないんだけど…」
優羅くんは前の席に座ってる。実はこれ…一回も話したことないんだよねー。私がビビりすぎて。つか班で何かを決める時も優羅くんが合理的というものを中心にしてなんでも決めちゃうから私が意見を言う場所がない。
なんか親が優羅くんの両親と親しいらしくて、優羅くんの両親は天文学者なのだ。
なんで同じ学者の子供なのにこんなに…ちゃんと努力してるんだけどなぁ…。
「はぁ…このやり方はやりたくなかったんだけどな。手を使え」
「…て?」
手を使って何をするの?鉛筆を折って考えるとか?
「一個ずつ数えて指を折り曲げてみろー。わかるはずだぞー」
「わ、わかった…!」
そう言って私は取り組み始めた。
「あのー、優羅さん…やってる?」
先生が心配そうに優羅くんに話しかけた。そんなの終わってるに決まってる。
「やってます。何すれば良いですか」
「そ、そっかぁ…丸付け…もやってるねぇ。じゃあ…本…呼んでくれる?静かに…」
「分かりました」
優羅くんはそう言って本を読み始めた。
朝霞ちゃんの容姿は考えてないです。
皆様の地雷を踏み抜かなかったと信じたい…。