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遊柔排球  作者: なり
2/7

開始

「マネージャーさん?この人たちは?」


元のコートに戻りながら聞いてみる。が、反応なし。


「なになに!2人とも練習時間までまだ1時間もあるのに!なんで!?」


テンションの高いマネちゃん。かわいい。


「いっやぁ〜ねぇ。バレー部の練習試合も早く終わった訳だし、練習できんじゃん?」


金髪の男は陽気に話す。


「時間は有限。如何に効率よく練習するかが今後の我々を左右する。無駄にはせんよ。」


後ろから出てきたのは黒髪七三の男。

いや、七三分けってサラリーマンか。


と言うか練習?なに?どゆこと?


「あの〜、練習ってこれ何かの部活なんですか?」


恐る恐る聞いてみるとマネちゃんは誇らしげに言った。


「ソフトバレー部ですっっ!!!!!」


その声は広い体育館に響き渡る。


まだ片付けをしているバレー部がこちらを見ている。

なんだか睨まれているような気もする。


「あ、そうなんすか!じゃあ俺はこの辺で...。」


この学園の運動部は地獄。

体験とかそう言う感じで捉えられたら面倒くさいぞ。


「いいじゃんいいじゃん♪とりあえずさっきみたいに遊んでていいからさ。練習に付き合ってよ、ね?報酬はみかっちゃんと1日デート券って事で♪」


金髪男はマネちゃんの肩に手を回す。

払われたけど。


「みかっちゃん?マネージャーさんのこと?...ですか?」


少しぎこちなくなったが初対面には敬語を使っておこう。


「そうなのです!私は2年生の中寺三門!

でこの金髪が同じ2年の与那嶺寧捻!

ねねって名前可愛いよね!」


「うっせ。」


マネちゃん、中寺さんは自慢そうに、少し煽るように金髪先輩の肩を叩く。


そして金髪先輩。

なんかさっきの遊んどいていいからって言葉少しいらってきたから、金髪先輩のことは寧捻さんと呼ぼう。


中寺さんは咳払いをして仕切り直す。


「そして3年生の内田東先輩です!

七三分けが今日も決まってますね!」


「勿論だとも。」


七三先輩は髪をなぞり自慢げに返答する。

七三先輩、うん、しっくり来た。


終わった雰囲気出してますけど、あれ?残り2人は?


中寺さんはそんな空気を察したかのように男子生徒の方へと向かう。


「この2人は同じクラスの高岩くんと島くん!私の練習相手に拾ってきました!」


拾ってきたは可哀想。


あとごめんねモブさん。

あなたの名前は島という名前だったのですね。


「バレー部の方が終わったら1人で練習もできないし練習相手にってね。2人ともある程度動けるんだよね。」


「ある程度って失礼だな!

いつも付き合ってやってるだろ?そりゃ上手くなって来るよ!」


「だなー。」


御三方は仲がよろしいようで。

それでは俺はこの辺でっと。


触れられていないうちに帰ろうとするも、寧捻先輩に止められてしまう。


「ちゅうかお前の名前は?」


視野広いなこの人。

ま、確かに名乗っていなかった。


「元村、八一です。」


「なるほど!八一くんね!よろしく!」


「自己紹介も終わったことだし、さ、練習練習〜♪」


金髪め!

に、逃げられない。



チーム分けは中寺さん、高岩さん、寧捻さんチーム。そして、俺とモ...島さん、七三先輩のチームとなった。


「サーブはねねからいきまーす!」


中寺さんの合図で試合が始まった。


「よっ♪」


高く上がったボールは縦回転をしている。

助走をつけ豪快なスイング。

ボールは七三先輩へと突き進む。


この軌道でさっきの中寺さんの落ち方を参考にすると、七三先輩もう少し下がった方が。


するとボールは先程のスパイクより遥かに急降下した。


パーン!


そして見事に上げてみせた七三先輩。


「やるじゃん♪」


「与那嶺君のサーブはいつも取っているからね。」


なるほど。ボールを打つ時に回転を掛けることによって、さらに急降下の力を強めたと。


ボールは島さんが上手く俺の方に上げてくれた。


「ナイス!モ...島さん!」


失敬失敬。


お?寧捻さんもう俺の前にいる。はやっ。

そうか普通のバレーでも壁みたいにボール止めてたな。

まぁでも壁は1人。空いてるところに打てばいいだけのこと。


俺の少し右前で壁になる寧捻さん。

空いているのは真っ直ぐ。

と思ったがそこには中寺さんが笑顔で待ち構えていた。


なるほどなるほど。

壁はあくまで誘導。打つ場所を限定させるための策ということですか。


しかし、女性に捕られる程やわではない!


バチーン!


フルスイングしたボールは寧捻さんの手に当たっていた。


「ワンチ♪」


あれ?もう少し横にいたはずでは?


「オーライ!」


中寺さんがボールを上げ高岩さんが寧捻さんへとボールをあげる。


俺が取るべき行動は先程の寧捻さんと同じだ。

この少ない人数でコートは守りきれない。

打つ場所を限定させる為の壁。


同じように斜め前あたりで飛んでみる。

真っ直ぐの後ろには七三先輩がしっかりといる。


さすが七三先輩!


そして打つタイミングで真っ直ぐの方に腕を振る!


バチーン!

ポールは相手コートに落ちた。


「うおおぉぉ!」


見事に当たった!

中寺さん見てくれました!俺の勇姿を!


中寺さんは驚いていた。


ほらほら寧捻さんも悔しがりなさいよ。

素人にボール止められてさぁ?


寧捻さんはにっこりとした満面の笑みだった。


「オーバー♪」


ん?なになに?俺上手くやったよね?


慌てて中寺さんが駆け寄ってくる。


かわいい。


「あのね、普通のバレーとは違ってブロックの際、ネットから手を出しちゃダメなの!」


「俺の真似してブロックしてみたんだろうけどやっぱ素人はここで行き詰まるよなぁ♪」


中寺さんの説明に食ってかかるように寧捻さんが話す。


「くぅ...ま、まぁ反則かもしれませんが?素人がボール止められるんですから簡単なスポーツですね!」


俺は苦し紛れの挑発をする。


「あっはっはっはぁ〜♪わざとだよ、わ・ざ・と♪お前が俺の真似してんだろうなぁって分かってストレート打ってやったら、ほら!見事にオーバーネット♪反則しちゃあ点は取れないんだよ?お分かり?ド素人くん♪」


んだよこいつっ!


「まぁまぁ!素人さんが始めに失敗することだからそうムキにならないで!ねねもいじめない!」


「それじゃあもう1発いきますか〜♪」


あれ?交代制じゃなかったの?


「あ、さっき2対2でやった時は特別ルールね!」


俺が考え事をしているのを察した中寺さんが補足してくれた。


なるほど。


「それじゃあ素人君♪行っくよ〜♪」


先程同様、ボールに縦回転を加えボールを打ってくる。

宣言通りに俺の元へボールは突き進んでくる。


さっきの軌道を参考にして、もう少し前の方で構える。


ここだ!


ボフッ!


鈍い音がした。

ボールは急降下するどころか真っ直ぐ突き進んできた。


今度は伸びるんかいっ!


寧捻さんはニヤニヤとこちらを見ている。


ボールはゆっくりと目の前に落ちた。


「くっそ...。」


分かってたんだ。俺がさっきの軌道を参考にして前に出ること。だからさっきと同じ打ち方で伸びるボールを打ってきた。

壁といい今回のボールといい、

この人は相手の行動を読んでいる?


「さっ、もう一本♪」

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