九話 二の腕素晴らしきかな、緋炎の剣姫
続きが気になった方はコメントで『ナイスバルクッ!!!』
炎纏う剣を斬りつけよう前に出た女に対してプラッツは外角腹斜筋を大きく捻り、勢いをつけて尻尾を横凪に大きく振り回した。
流石の俺でも尾筋については知識はあまりないが其のしなやか且つバルク溢れる強靭な筋筋は人間には真似できない変幻自在な曲線美を体現していた。
「ふん、鈍重な動きだ。いくらデカかろうとそんな攻撃では俺には指一本も触れられないぜっ!」
剣士風の女はプラッツの尻尾が襲い掛かる直前、腓腹筋と大腿筋群を膨らませて素早くバックステップに切り替え後方に飛び退ざった。
見る限りでは内転筋もかなり鍛えているようだ。筋肉の動きに無駄がない。
内に隠れた筋肉にもしっかりと気を配っている点はしっかりと評価すべきだろう。
そのまま即座に後ろの女を抱きかかえて外腹斜筋を引き締め、更に後方に高く跳躍し宙で一回転しながらプラッツの曲線美が織りなす尾の横薙ぎを軽やかに躱していく。
おおっ!広背筋がソソってやがるっ!
「いいぃぃぃぃやああぁぁぁぁぁっっ!!!!何っ!?急に何なのっ!!ちょっ落ちっ落ちちゃうっ!!」
急激な揺れにより意識を取り戻した美と豊饒の女神はプラッツの僧帽筋に必死にしがみ付いている。おお、まるで筋肉番付を間近で見ているようだ。
しかしさすがは美と豊饒の女神。
豊満ながらも重力を物ともしないハリとツヤを持った乳房を大胸筋と上腕二頭筋を全力稼働させながら強く押し潰しつつ、思わず後ろから抱きしめたくなる程にうっすらと程好くキレた腹直筋が生み出しす撓やかで美しい魅惑の曲線美を放つクビレで下半身を流れるように動かし、巧みな腰遣いでプラッツが引き起こす激しい遠心力を完全に殺している。
やはり美と豊饒の女神を名乗るに相応しいだけの健康的且つ美しい肉体を兼ね備えている。
恐らくベットの上では相当の寝技系総合格闘家なのだろう事が窺える。
俺の腰の上で猛り狂う美と豊饒の女神の姿が容易に想像でき…
いかんいかん…しかし許してくれ。俺はこれでも健全な男子高校生なのだ。美と豊饒の女神にしろロヴンにしろ、あれだけの肉体美を目の当たりにしてこの猛り狂う興奮を抑えるには精神的に未熟…という他ない。
美尻についての評価はロヴンに軍配が上がるだろうが、全体的なボディライン、特にウエストライン及びバストラインを含めて評するならば、かなりの僅差で苦悩しつつも恐らく誰もが美と豊饒の女神に軍配を上げるだろう。
「ちょっとミコトッ!変な目で見てないで助けなさいよっ!!この馬鹿っ!!」
あくまで内面を度外視して外面的魅力のみを評価した場合ではあるが。
「アルテナお嬢様、強引な対応をどうかお許しください。此処は危険ですから俺から離れて後ろで隠れていてくれますか?」
「駄目よ!あんな大きな魔物と戦えばレイアだって危ないわ…逃げましょう!私も一生懸命走るから…」
「其れはなりません。それではあのプテラ・サブラに直ぐ様追い付かれてしまいます。それに俺は炎のルーンを刻みし緋炎の剣姫の二つ名を持つ者ですよ。あのような下級モンスター如きに遅れをとる事は決してありません。」
「でも…」
剣士風の女は安全圏まで飛び退ざると幼げな女を岩の物陰に追いやって再び此方に駆け出してくる。
剣に纏う緋色の炎が剣士風の女の周囲に展開し全身で炎を纏いながら揺らめく様に急接近してくる。
「いくぞ!化物!」
次々と飛び掛かるプラッツの曲線美が放つ尾の連撃を巧みなステップで躱していく。
うむ…筋肉脅威度は恐らくプラッツの方が上だろうが筋肉技術熟練度は剣士風の女の方が数段上手の様だ。
更には身体中に纏う緋色の炎のドレスと剣士風の女の巧みな体捌きが生み出す踊とも舞とも評せる回避行動と合わさり、陽炎のように惑いながらプラッツを完全に翻弄していた。
此れは中々に興味を唆る筋肉の語り合いだ。
魔法の織りなす幻想美と躍動する肉体美が融合した更なる美を体現した新境地を見せつけられているようだっ!!!
俺の世界に新たな光が差し込んだっっ!!!
「其処だっ!!」
プラッツの垂直に振り落とされた尾を紙一重で躱した剣士風の女が大腿二頭筋と腓腹筋を大きく肥大化させてプラッツの首元目掛けて凄まじい勢いで跳躍した。
下から振り上げられた剣がプラッツの固い鱗を弾き、大きく体勢を仰け反らせていく。
「GUGYAAAAっっ!?」
「此れは…マズいっ!!」
そのまま天高く跳躍しプラッツの頭上に達した広背筋と僧帽筋を激しく引き締め、三日月のように反り上げた剣士風の女。
剣に纏う緋色の炎が大きく燃え広がり、落下と同時に腹直筋に渾身の力を込め躍動する両腕の前腕伸筋群が上腕二頭筋と上腕三頭筋を更にバンプアップさせ其の巨大な炎の刃を振り下ろしていく。
「此れで終わりだっっ!!!!」
「フンッッッヌバラッッ!!!!」
振り下ろされる炎の刃がプラッツの首元に突き立てられる寸前、プラッツの背を駆け出した俺はフライング・クロスチョップを放つ勢いで跳躍して二人の間に割って入り、すかさず右手でプラッツの上腕頭筋を鷲掴みにしつつ左手の母子内殿筋と虫様筋に意識を集中して人差指と中指の間で其の刃を真剣白刃取りの要領で受け止めた。
「なっっっっ!!!!!!」
その様子を見た剣士風の女は眼輪筋と咬筋を張り大きく目と口を開けて驚愕の表情を露わにしながら空中で静止している。
「ふぅ…その上腕二頭筋と上腕三頭筋の締まり…中々のナイスバルクだっ!あまりのナイスカットに惚れ惚れして危うくプラッツを失うところだった。」
掴んだ炎の刃が霞みのように散り散りとなって消え去り剣士風の女が巧みな身のこなしで落下の衝撃を緩和しながら地に着地した。
「どうどうどう…プラッツ、其処までだ。」
左右に大きく首を振るプラッツの首筋を左手で優しく撫でて制止させていく。
「GYA…GYAO…」
「いや、右腕っ!首筋激しく掴みすぎだから!!プラッツ泡吹いてるっ!逝っちゃうっ!逝っちゃうから止めたげてっ!!!」
「おお…此れはすまない。プラッツ!おいプラッツっ!?大丈夫かっ!」
パァンッッッ!!!
激しく首を揺らめかせて踉くプラッツに気合を込める為、渾身の平手打ちを放った。
「アンタ…自分のペットにトドメ刺してどうすんのよ…」
「プラッツっ!?プラーーーーーーーーーーーーッッッツッッッ!!!!!」
大きく体勢を傾かせて地響きを立てながら地面に倒れ伏したプラッツ。
何故だっ!俺の闘魂注入ではまだ足りないと言うのかっ!?
「な…何なんだアレは…」
今俺の目の前にはあまりにも異常で狂気じみた光景が広がっていた。
パァンッッッ!!!
突如目の前に現れ、俺の緋炎の刃をたった二本の指先で受け止めた異形の男。
パァンッッッ!!!
その体躯は俺の華奢な肉体など及ぶべくもなく、巨岩のように分厚く金剛石のように輝く筋肉に覆われ荘厳な光を放っていた。
パァンッッッ!!!
当初は凄腕の魔物使いかとも思ったが、あの鍛え抜かれた強靭な肉体。
パァンッッッ!!!
アレ程の肉体は俺の知る歴戦のシールダーや屈強なガーディアンでもお目にかかったことの無い程の代物だ。
パァンッッッ!!!パァンッッッ!!!
そんな屈強な男が今、己が飼っていた筈の巨大なプテラ・サブラに対し執拗に平手打ちを繰り返し打ち付けている。
パァンッッッ!!!パァンッッッ!!!パァンッッッ!!!パァーーンッッッ!!!
パンパンパンパン五月蠅いなっ!
「ねえねえ…驚いてるとこ悪いんだけど、ワタシ達、別に貴方達を襲おうとしていたわけじゃないのよ。」
「あ…アンタは…さっきまであのプテラ・サブラに必死にしがみ付いていた女か。」
パァンッッッ!!!
プラッツに闘魂注入を行い続けるミコトを腰を抜かしたまま呆然と眺める剣士風の女の子。
パァンッッッ!!!
ワタシはすかさずその子に近づき上手く説得を試みた。
「驚かせてしまってごめんなさいね。あんなのが目の前に現れたら誰だって勘違いしちゃうわよね。でもワタシ達に敵意は全く無いわっ!!」
パァンッッッ!!!
「そ…そうなのか…確かに今は寧ろあのプテラ・サブラがあまりにも悲惨な状況に追いやられている。では貴方方はこのような場所で一体何をしていたのだ?」
「ワタシ達はちょっと道に迷っていたのよ。其れで人里を求めて彷徨っていたんだけどね…こんな形だけど貴方達に出会えたことは僥倖だわっ!是非私達を街まで同行させて頂戴っ!!!」
あまりにも見目美しい女が両膝をついて俺の泥臭い手を惜しげもなく握り締めている。
女の俺でも見惚れるほど美しいその顔は切実な様子で必死に俺に懇願していた。
パァンッッッ!!!
瞬間、激しい光に辺りが包まれた。
「なっ!?なんだこの神々しい光は!?」
「おおっ!プラッツっ!ようやく目を覚ましたか!」
「なっ!なんだっ!?ほ…ホントに何が起こってるんだ!?」
其処には先ほどまで異形の男に蹂躙されていたプテラ・サブラが頭部を光輝やかせて天を仰いでいた。
「ごめん、ワタシもちゃんと説明してあげたいけどワタシにも意味不明過ぎて全く説明できないわっ!」
その豊満な胸をこれでもかと前に突き出す美しき女神のような女性。
「いや、そんなことを胸を張って言われても…そして…もっと重要な事を聞いてもいいか?」
「大体予想はできるけど敢えて伺いましょう。何を聞きたいの?」
「なんでアイツは全裸なんだっっっ!!!!!!!!!!????????????」
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